高校野球 一関学院(岩手)が京都国際に延長11回 サヨナラ勝ち

夏の全国高校野球、大会1日目の第3試合は、岩手の一関学院が京都国際高校に延長11回、6対5でサヨナラ勝ちしました。

一関学院は1回に1点を先制されましたが、そのウラ、キャプテンを務める6番、小松大樹選手の2点タイムリースリーベースなどで3点を奪ってすぐに逆転しました。

さらに3回には、地方大会で3本のホームランを打った4番の後藤叶翔選手が2打席連続となるタイムリーヒットを打ってリードを広げました。

これに対して京都国際は4点を追う8回に2点を返し、9回には、1番、平野順大選手の2点タイムリーヒットで追いつき、試合はこの大会初めての延長戦に入りました。

そして、延長11回に一関学院は、1アウト二塁のチャンスで、リリーフのピッチャーとして途中出場していた寺尾皇汰投手がタイムリーヒットを打って6対5でサヨナラ勝ちしました。

一関学院は、平成14年の夏以来、20年ぶりに甲子園で勝利し、2回戦に進みました。

一方、京都国際は、チーム内で新型コロナウイルスの感染が広がり、ことし春のセンバツを直前で辞退するなかでつかんだ2大会連続の夏の甲子園でしたが、左投げのエース、森下瑠大投手が3回4失点と本来の力を発揮できず1回戦で姿を消しました。

コロナでセンバツ辞退の京都国際 1回戦敗退も笑顔 その理由は…

ことし春のセンバツではチーム内で新型コロナウイルスの感染が広がり、大会を直前で辞退することになった京都国際高校。
つらい経験を乗り越えて臨んだ夏の甲子園は、1回戦敗退となりましたが、選手たちには笑顔がありました。

京都国際は、センバツを辞退したおよそ2週間後に練習を再開しましたが、選手たちの状態はなかなか上向かず、ひじやひざの関節の痛みを訴える選手が相次ぎました。
3年生のエース、森下瑠大投手もその1人で、利き腕の左ひじを痛みが襲い、およそ2か月、ピッチング練習ができませんでした。
先が見えずチームの士気も上がらないまま近づいてくる最後の夏に向けて森下投手が大切にしたのが、練習から常に笑顔を絶やさないことでした。

もともとは“ポーカーフェース”という森下投手が笑顔で練習に取り組む姿を見てキャプテンの辻井心選手も「野球ができることは当たり前ではないから最後の夏は笑って終わろう」と呼びかけ、チームの雰囲気は自然と明るくなっていきました。

そして、6日の試合、森下投手は「状態は70%ぐらいだった」と自身で振り返ったとおり、立ち上がりから一関学院の強力打線に甘く入ったストレートを狙われ、3回までに4点を失いました。
本来の力を発揮できず、マウンドを降り、ライトの守備にまわることになりましたが、森下投手は常に明るい表情で、チームをもり立てました。

それにつられるかのように3年生を中心に笑顔が増えていき、土壇場の9回、平野順大選手も笑顔で打席に立ち、一時、同点に追いつく2点タイムリーヒットを打ちました。

試合後には「最後の夏は楽しまないと損。まだみんなと戦えるのがうれしかったです」と話すなどつらい経験をした仲間と最高の舞台で戦える喜びを感じていました。

目標としていた日本一の夢は絶たれましたが、森下投手も涙はなく「センバツを辞退したあとから苦しいことばかりでしたが、最後に高校野球でいちばんいい場所で試合ができ楽しかったですし、自然と笑顔が出ました」と充実した表情を浮かべていました。

森下投手、そして京都国際の3年生は、コロナを乗り越えてつかんだ甲子園を笑顔であとにしました。

一関学院 サヨナラ打の寺尾皇汰投手「後ろにつなごうと」

延長11回にサヨナラヒットを打った一関学院の寺尾皇汰投手は「自分は長打が打てないので後ろにつなごうと思って打席に入りました。打った瞬間の感触はよくなかったんですが、最後までバットを振り抜いて内野の間を抜けたのでよかったと思います」と振り返りました。

9回途中にリリーフでマウンドに上がり京都国際の反撃を同点まででしのいだ場面については「マウンドに上がったときは緊張して腕も振れませんでした。2点取られたあとはしかたないと割り切って、腕を振って投げられました」と話していました。

また、今後に向けては「目標のベスト8に向けていいスタートになったと思います。自分たちのチーム野球で目標に届くように頑張りたいです」と意気込みを話しました。

一関学院 小野涼介投手「丁寧に投げることを意識」

一関学院で先発ピッチャーとして好投した小野涼介投手は「アウトコースに丁寧に投げることを意識しました。バッターによってタイミングをずらせたことも抑えられたことにつながったと思います」と振り返りました。

次の試合に向けては「変わらず、テンポのよいピッチングを心がけていきたい」と話していました。

一関学院 高橋滋監督「先輩たちの思い背負い戦ってくれた」

一関学院の高橋滋監督は「2年前は夏の甲子園が中止になったなかでも岩手のチャンピオンを目指してきました。きょうは、先輩たちの思いを背負って一丸となって戦ってくれて喜びもひとしおです。本当に苦しい試合だった分、20年ぶりに甲子園で勝利し、校歌を聞けてうれしかったです」と喜びを表しました。

そして、先発した小野涼介投手について「京都国際の打線に臆することなく、岩手の大会どおり落ち着いてピッチングしてくれました」と話しました。

また、2回戦の明豊高校との対戦に向けては「期間が空くので疲れをしっかりとってまたベストの状態で一関学院らしい野球を展開したいと思います」と意気込みを語りました。

京都国際 森下瑠大投手「自分の修正力がよくなかった」

京都国際で先発したエースの森下瑠大投手は「自分が打たれ流れ悪くしてしまい全然だめでした。相手のスイングが鋭く、ストレートが真ん中に入って打たれてしまった。自分の修正力がよくなかったです」と3回4失点でマウンドを降りたピッチングを振り返りました。

また、チーム内で新型コロナウイルスの感染が広がり、ことし春のセンバツを直前に辞退したなかで迎えた夏の甲子園については「辞退してから思いどおりに全然行きませんでした。それでも、チームが夏に向けて頑張っていたので、それに後押しされて頑張ることができました。高校野球のいちばんいい舞台でプレーできて楽しかったです」と話し、充実した表情を見せていました。

そのうえで京都国際の代わってセンバツに出場し準優勝した近江高校のエース、山田陽翔投手と「夏の甲子園で投げ合おう」と約束していたことを明かし「ふがいない投球をしてしまい、僕はもう日本一を取ることができないので、『後は任せた』と伝えたいです」と話していました。

京都国際 辻井心主将「3年生がカバーできず心残り」

京都国際の3番で、キャプテンの辻井心選手は、11回にサヨナラのタイムリーヒットを打たれた場面について「サヨナラの瞬間は頭が真っ白で、何も考えられませんでした。投手陣がふんばてくれていましたが、自分たち3年生がカバーできず心残りです」と悔しさをにじませました。

そのうえで、春のセンバツは新型コロナの集団感染で開幕直前で出場を辞退し、夏の甲子園に出場した経緯について「センバツの辞退もあって苦しかったですが、3年が支えてくれて、また、キャプテンを任せてもらって感謝しかないですし、最後に甲子園の舞台で終わることができて、すごくうれしいです」と振り返りました。

そのうえで、後輩の選手たちに「この悔しさをいかして、春のセンバツと夏の甲子園に出るだけではなく、日本一を目指して頑張ってほしい」とエールを送りました。

京都国際 小牧憲継監督「詰めが甘かった。私の責任」

京都国際の小牧憲継監督は終盤に4点差を追いつきながら延長戦で敗れた試合について「ある程度苦戦は覚悟していましたが、終盤こちらに流れが来るので辛抱しようと試合に臨みました。詰めが甘かったです。私の責任です」と振り返りました。

エースの森下瑠大投手については「けがをしたあと、投げ始められたのが先月で、無理させない程度にちょっとずつ時間をかけて戻してきましたが、センバツ前の彼の本来の力と比べると60から70%くらいしか出ていなかったように感じます。それでも、悔しい経験や挫折を乗り越えながら彼は成長してきたので、この経験を次の舞台で生かしてくれると思います」と将来に期待を込めていました。