コロナ全数把握の簡素化 医療機関 負担減へ「さらに見直しを」

新型コロナの全数把握をめぐり、重症化リスクの低い患者については、システムへの入力を最小限にする方針を国が示したことについて、作業の負担が課題となっている医療機関からは、さらに見直しを進めてほしいという声が上がっています。

東京 中野区で発熱外来を行うクリニックでは、検査で陽性となった患者や別の機関で陽性が確認されて登録を依頼された患者の情報を「HER-SYS」と呼ばれるシステムに登録する作業をスタッフが担っています。

システムには氏名や生年月日などのほか、ワクチンの接種回数、発熱などの症状の有無などの記入項目があり、情報が足りない場合は電話で聞き取って追記しているということです。

クリニックで登録の対象となったのは、今月に入ってから5日までの5日間で合わせて139人に上り、追加で10人ほどのスタッフを雇って登録作業を行っていますが、それでも診察の依頼が来る発熱患者をすべて受けることはできず、一部は断っているということです。

国は「HER-SYS」のシステムを使って新型コロナに感染した人の情報を一元的に集約していますが、重症化リスクの低い患者は入力項目を最小限にする方針を4日、発表しました。

これについてクリニックの医師は、根本的な改善にはつながらず、さらなる見直しを進めてほしいと訴えています。
「みやびハート&ケアクリニック」の渡邉雅貴院長は「患者から聞き取りをして登録する行為自体は変わりがない。もっとデジタルツールを使い、負担が無くなるよう考えてもらいたい」と話しています。

都内保健所 “重症化リスク高い人に十分な対応できない“

一方、都内の保健所では職員たちが療養証明書の発行などの業務に追われ、重症化リスクが高い人たちへの対応が十分にできない可能性があるとして、危機感を強めています。

東京 北区の保健所では、先月は1週間の感染の届け出が前の月に比べて最大で7倍に増え、職員たちが自宅療養者の健康観察のほか、療養証明書の発行などの業務に追われています。

職員が感染するケースも増えていて、先月はおよそ70人の職員のうち10人が出勤できない状態になり、応援の職員を呼んだり派遣会社から人を採用したりして対応に当たっています。

保健所によりますと、自宅で療養する患者の中には、人工透析の必要がある人など重症化のリスクが高いにもかかわらず、専門的な治療が必要なため入院先が見つからないケースもあり、丁寧な健康観察が必要ですが十分な対応ができていないおそれもあるとして危機感を強めています。

また、企業や会社から求められる療養証明書の発行作業も業務のひっ迫に拍車をかけています。

保健所では、療養証明書の発行には患者自身がスマートフォンやパソコンで入力するシステム「My HER‐SYS」の利用を呼びかけています。

北区保健所の前田秀雄所長は「膨大な業務量により組織の効率的な運営に非常に支障が出ている。コロナで療養しているという証明は『My HERーSYS』でも対応できるので、企業や学校、保険会社は利用してほしい」と話していました。