プーチン大統領 “ロシア産の穀物も制裁に妨げられず輸出を”

ロシアのプーチン大統領は、トルコのエルドアン大統領と会談し、ウクライナの港からの穀物の輸出継続に向けて協力する姿勢を示す一方、ロシア産の穀物や肥料についても欧米の制裁に妨げられずに輸出される必要があると強調しました。

ロシアのプーチン大統領は5日、ロシア南部のソチを訪れたトルコのエルドアン大統領と会談しました。

ウクライナでは、ロシア軍による封鎖で黒海に面する南部の港から農産物の輸出が滞っていますが、先月、トルコと国連の仲介によって輸出再開で合意しました。

会談の冒頭、プーチン大統領は「ウクライナからの穀物輸出は、あなたと国連事務総長の仲介で解決され供給が始まった」と述べ、謝意を示しました。

会談後、ロシア大統領府が発表した共同声明でも、ウクライナ産の穀物の輸出継続に向けて協力する姿勢を示す一方、ロシアからの穀物と肥料の輸出についても妨げられないようにする必要があると強調していて、欧米側の制裁をけん制した形です。

ウクライナ南部の港からは、今月1日、穀物を積んだ最初の船が出港したのに続き、5日には新たに3隻の船が出発していて、今後の継続的な穀物輸出につなげられるかが課題となっています。

一方、ウクライナの戦況では、南部を中心にウクライナ軍も反撃していて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は4日「ウクライナが戦略の主導権を握り、ロシア軍はウクライナ軍の反撃に対応して戦力の再配置などを余儀なくされているようだ。ウクライナが初めて積極的に戦況をつくることを可能にしているとみられる」と指摘しました。

具体的には、ロシア軍は掌握を目指してきた東部ドネツク州で、ウクライナ側の拠点、スロビャンシクなどの攻略を断念したとみられる一方で、ウクライナ軍が反撃を続ける南部ヘルソン州や南東部ザポリージャ州を防衛するため、部隊や装備の移転を進めているとしています。

また、ロシアが一方的に併合した南部クリミアについてもロシア軍は大砲や航空機などを再配備していると指摘し、欧米からの兵器を活用したウクライナ軍の反撃への対応に追われている可能性が出ています。