中国 大規模な軍事演習続け台湾への圧力強める 米に対抗措置も

アメリカのペロシ下院議長が台湾を訪問したことを受けて、中国軍は、5日も大規模な軍事演習を続け、台湾に対する軍事的な圧力を強めています。

一方、中国政府は、アメリカとの軍事分野での協議を中止するなどの対抗措置も発表し、バイデン政権に強い姿勢を示しています。

アメリカのペロシ下院議長が台湾を訪問したことへの対抗措置だとして、中国軍は、4日から台湾を取り囲むように合わせて6か所の海域と空域で大規模な演習を行っています。

中国軍で東シナ海を所管する東部戦区は、5日も、計画どおり、台湾周辺で実戦的な合同演習を行ったと発表しました。

また、台湾国防部は、5日も、多数の中国軍の航空機や艦艇が、台湾海峡の「中間線」を越えて活動したとして「重大な挑発行為だ」と非難しました。

演習は、7日まで行われる予定で、台湾周辺では緊張した状況が続いています。

一方、中国外務省は、5日、ペロシ議長とその家族に対する制裁措置に加え、米中両軍の対話などアメリカとの軍事分野での協議を中止したり、気候変動問題に関する協議を一時的に停止したりするなどの対抗措置を発表しました。

中国としては、台湾問題への関与を強めるバイデン政権に強い姿勢を示し、
国内的に弱腰と批判されることをかわすとともに、国際社会でも台湾への支持が広がらないよう揺さぶりをかけるねらいもあるとみられます。

専門家「台湾海峡など封鎖で日本も非常に大きなダメージ」

中国が台湾周辺で行っている大規模な演習について、中国の軍事情勢に詳しい専門家は、ことし後半の共産党大会を前にアメリカのペロシ下院議長の訪問を受け入れた台湾への懲罰だという見方を示すとともに、台湾海峡などが封鎖されれば日本も非常に大きなダメージを受けると指摘しています。
元海上自衛官で中国の軍事情勢に詳しい笹川平和財団の小原凡司 上席研究員は、NHKのインタビューに応じ、今回の演習について分析しました。

小原上席研究員は「中国はアメリカとは衝突できないと考えても、台湾に対し何らかの懲罰行動をとらなければならない状態にある」として、習近平国家主席が党のトップとして異例の3期目入りを目指すことし後半の共産党大会を前にペロシ議長の台湾訪問を許したという国内の批判を避けるため演習を行ったという見方を示しました。

また、今回の演習を通じて、実際に中国が台湾に攻め込んだ場合、どのような作戦を行うかが明らかになったとして「アメリカにとって情報戦の成果だ。アメリカのほうがうまく立ち回ったといえる」と分析しています。

このほか、演習が行われている海域に日本のEEZ=排他的経済水域も含まれることから「日本への物流を支えている台湾海峡やバシー海峡が封鎖されれば、日本は非常に大きなダメージを受けることになる」と話していました。

そのうえで、小原上席研究員は、さらに危険が高まれば、観光客も含めて最大で5万人程度と見込まれる台湾の在留邦人をどのように退避させるか、日本として考えていく必要があると指摘しました。

米高官「まったくもって無責任」

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は、5日「まったくもって無責任だ」と非難しました。

カービー氏は、軍事分野での協議について、中国が挑発的な軍事行動をとっているときこそ、重要だと強調しました。

ただ、軍の間のすべての対話が途絶えたわけではないとして、不測の事態を招かないよう、アメリカとして中国側との対話を継続していく考えを示しました。

さらにカービー氏は、ペロシ下院議長やその家族に対する制裁について「議長には訪問する権利があり制裁は不当だ」と非難するとともに、中国が気候変動問題に関する協議を一時的に停止するとしたことについては、世界のほかの国にも影響を与えると訴えました。

また、アメリカ国防総省は、声明で「中国が一方的に関係を断ち切ったとはいえ、われわれは依然として意思疎通に前向きであり、危機管理やリスクの軽減のための仕組みづくりに努める」として中国との偶発的な衝突が起きないよう引き続き対話のルートの確立に取り組む考えを示しました。