国の特別天然記念物「トキ」 佐渡市以外の放鳥候補地決定へ

国の特別天然記念物のトキについて、環境省は、新潟県佐渡市以外でも放鳥を行い定着を目指すことにしていて、その候補地として、石川県の能登半島地域と島根県出雲市を選ぶ方針を固めました。

トキは、かつて国内の広い範囲で生息していましたが、乱獲などの影響で、一時、姿を消し、佐渡市で人工繁殖と野外へ放つ放鳥の取り組みが進められてきました。

その後、佐渡市でトキの生息数が回復し、島の外にも飛来する姿が目撃されるようになったことから、環境省は、佐渡市以外の地域でも定着させることを目指し、新たに放鳥を行う計画です。

全国から候補地を募集し、専門家も交えて検討した結果、
▽石川県の能登半島の9つの市と町、
▽島根県出雲市の2か所を選ぶ方針を固めました。

いずれも、広い水田や森林があって、過去にトキが生息し、環境整備や住民の理解促進に取り組んでいることが理由です。

新潟県長岡市と近隣の合わせて5つの市町村も応募していましたが、地元での調整が、さらに進んだ時点で判断することになりました。

また、放鳥はしないものの、飛来したトキが生息できるよう、ねぐらや巣作りの環境整備を進める地域として、
▽栃木県小山市と周辺の自治体、
▽秋田県にかほ市、
▽宮城県登米市を、選ぶ方針です。

環境省は2035年ごろまでには、佐渡市以外でもトキを定着させたいとしていて、今回の候補地で環境面の調査を行い、放鳥の時期などを検討することにしています。

「ニッポニア・ニッポン」江戸時代 日本のほぼ全域で生息

トキは「ニッポニア・ニッポン」の学名を持ち、江戸時代には日本のほぼ全域で生息していました。

しかし明治以降、羽毛を取るための乱獲や、農薬の使用で餌となる虫が減ったことなどにより数が激減しました。

そのため昭和27年に、国の特別天然記念物に指定されました。

国は、野生のトキを捕獲し繁殖を目指しましたが、平成15年、最後の1羽となった「キン」が死んで、日本の野生のトキは絶滅しました。

一方、中国から贈られたトキの人工繁殖に成功し、新潟県佐渡市で繁殖と野生復帰のための放鳥が進められてきました。

環境省によりますと、佐渡市での野生のトキの生息数は、去年12月時点で478羽まで回復し、島の外でも定着には至っていないものの、飛来する姿が見られるようになったということです。

環境省はトキの生息数を1000羽以上にするため、2035年ごろまでに佐渡市以外でも定着させたいとしていて、放鳥する候補地の選定も、この取り組みの一環です。