米 ペロシ下院議長 岸田首相と会談後に記者会見【詳細】

アメリカのペロシ下院議長が4日から日本を訪問。5日、岸田総理大臣と
会談し、台湾海峡の平和と安定を維持するため緊密に連携していくことを確認しました。

ペロシ議長の日本での発言や動きなどについての詳細です。

ペロシ議長は大統領権限を継承する順位が副大統領に次ぐ2位の要職で、アメリカの現職の下院議長が台湾を訪問するのは1997年のギングリッチ氏以来25年ぶりです。

中国外務省 “ペロシ議長とその家族に制裁措置”

中国外務省は「ペロシ議長は、中国の深刻な懸念と断固とした反対にもかかわらず中国の内政に著しく干渉し、『1つの中国』の原則を踏みにじった」として、法律に基づき、ペロシ議長とその家族に対して制裁措置をとると発表しました。

具体的な制裁の内容は明らかにしていません。

中国外務省は、これまでに「関連する対抗措置は強力かつ効果的で、アメリカと台湾独立勢力が実感し続けることになる」と強調し、あらゆる対抗措置を行う考えを示していました。

ペロシ下院議長 都内で記者会見(5日午前)

アジアを歴訪しているアメリカのペロシ下院議長は5日午前、都内で記者会見を行いました。

この中でペロシ議長は3日まで台湾を訪問したことについて「中国は台湾を孤立させようとしているが、われわれの友情は強固だ。台湾を孤立させてはならない」と述べました。

そして、訪問を受けて中国が台湾を取り囲むように大規模な軍事演習を行うなど圧力を強めていることについて「中国はわれわれの訪問を口実に使っているかもしれない」と述べました。

そのうえで「今回の訪問は現状を変更するものではない」と繰り返し述べ、アメリカの台湾政策に変更はないという考えを強調しました。

さらに、訪問はペロシ議長個人の実績づくりのためだったのではないかとただされたのに対して「私のためではなく、台湾の人々や台湾のためのものだ」と述べました。

また今回の訪問が米中関係に与える影響については「米中関係の在り方は今回の訪問で決まるのではなくより大きく、長期的な課題だ」と述べたうえで「経済的な利害を理由に中国の人権状況について声を上げなければ、われわれは人権について語るすべての道徳的な権威を失うだろう」と指摘しました。

その一方で「われわれは中国と協力しなければならないことを認識すべきだ」とも述べ、気候変動などの分野では米中の協力も必要だと強調しました。

また5日朝に行われた、岸田総理大臣との会談については「われわれの友好関係について前向きな議論ができた。そして同じ視点を共有することができた」と述べました。

岸田首相 ペロシ下院議長 台湾海峡の緊密連携を確認

岸田総理大臣とペロシ下院議長は総理大臣公邸でそろって記念撮影に臨んだあと、5日午前8時からおよそ1時間、朝食を交えながら会談しました。

この中で岸田総理大臣は、安倍元総理大臣が銃撃され亡くなったことを受けて、アメリカ側から弔意が示されたことに対し謝意を伝えました。

そして、日米同盟の強化や自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取り組みなどをめぐって意見が交わされ、岸田総理大臣は、ペロシ議長のリーダーシップとアメリカ議会の支援に期待を示しました。

また両氏は、中国や北朝鮮、そしてロシアによるウクライナ侵攻などの地域情勢や「核兵器のない世界」の実現などについても意見を交わしました。

このうち台湾情勢をめぐって岸田総理大臣は、中国が軍事演習で発射した弾道ミサイルの一部が日本のEEZ=排他的経済水域内に落下したことは、日本の安全保障と国民の安全に関わる重大な問題だとして、中国を強く非難し抗議したと説明しました。

そのうえで、地域や国際社会の平和と安定に深刻な影響を与えるものだとして中国側に軍事演習を即刻中止するよう求めたことを伝えました。そして両氏は台湾海峡の平和と安定を維持するため、引き続き日米両国で緊密に連携していくことを確認しました。

岸田首相とペロシ下院議長が会談(5日午前8時)

岸田総理大臣とペロシ下院議長は5日、総理大臣公邸でそろって記念撮影に臨んだあと午前8時からおよそ1時間、朝食を交えながら会談を行いました。

会談では、日米同盟の抑止力と対処力の強化や自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた協力の在り方などのほか、中国や北朝鮮を含めた地域情勢やロシアのウクライナ侵攻などをめぐって意見が交わされたものとみられます。

岸田総理大臣とペロシ議長の会談は、米中間の緊張が日中間にも波及する中で行われ、台湾情勢や中国との関係をめぐりどのようなやり取りが交わされたのか注目されます。

ペロシ下院議長 日本に到着(4日午後9時50分ごろ)

アメリカのペロシ下院議長は4日午後9時50分ごろ、訪問先の韓国から専用機で東京のアメリカ軍横田基地に到着しました。

ペロシ議長は5日、岸田総理大臣と面会する方向で調整が進められているほか、細田衆議院議長らと会談を行う予定で一連の日程を終えたあと帰国することになっています。

中国 “演習区域に日本のEEZが含まれる見解 存在しない”

日本側の抗議に対し、これまでのところ中国政府の公式な反応はありませんが、日本側が演習区域に日本のEEZが含まれているとして懸念を伝えたことについて、中国外務省の華春瑩報道官は4日の記者会見で「両国は関連海域で境界を画定しておらず、演習区域に日本のEEZが含まれるという見解は存在しない」と主張しました。

一方、国営の中国中央テレビに出演した軍事専門家は弾道ミサイルの一部が初めて台湾の上空を通過したという見方を示しました。

演習は7日まで行われ台湾周辺では緊張した状況が続いています。

米高官 中国非難 “日本の安全に関与”

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は4日、記者会見し中国が台湾の周辺海域に向けて弾道ミサイルを発射したことについて「挑発的な行動で緊張を著しく高めている。台湾海峡や周辺地域の平和と安定を維持するというわれわれの長年の目標に反するものであり無責任だ」と述べて非難しました。

そのうえでオースティン国防長官が台湾の東側のフィリピン海で活動していた原子力空母「ロナルド・レーガン」に対してこの海域にとどまるよう命じたことを明らかにしました。

さらに中国が発射したミサイルの一部が日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下したと推定されることに触れアメリカとして日本や台湾を含めた周辺地域の安全に関与していくことを強調しました。

一方で、アメリカは危機は望んでいないとして中国政府との対話を継続するとともに「誤解によるリスクを減らす」と述べ、今週アメリカ軍が予定していたICBM=大陸間弾道ミサイルの発射実験について延期することを明らかにしました。

中国弾道ミサイル 日本のEEZに落下か(4日午後8時50分ごろ)

岸防衛大臣は4日夜、防衛省で記者団に対し「中国は4日午後3時ごろから4時すぎにかけて9発の弾道ミサイルを発射したもようだ。このうち5発がわが国のEEZ=排他的経済水域内に落下したものと推定される」と述べました。

そのうえで、落下した地点についてはEEZ内の5発は中国が公表していた沖縄県の波照間島の南西の訓練海域に、EEZの外側の4発は与那国島の北北西と台湾の南西、それに台湾の北部の訓練海域と推定されるとしています。

また防衛省はEEZ内の5発のうち4発が台湾の上空を飛しょうしたと推定されるとしています。

そして日本の船舶や航空機への被害について岸大臣は、「いま確認している限りない」と述べました。

そのうえで、岸大臣は「わが国の安全保障および国民の安全に関わる重大な問題であり強く非難する。また、中国に対して外交ルートを通じて抗議した。防衛省・自衛隊としては引き続き情報の収集、分析、警戒監視などに全力をあげていく」と述べました。

防衛省によると、中国の弾道ミサイルが日本のEEZ内に落下するのは初めてだということです。

ペロシ下院議長の台湾訪問受け 中国軍 大規模演習を開始(4日)

中国国防省は現地時間の4日正午、日本時間の4日午後1時に台湾を取り囲むように合わせて6か所の海域と空域で実弾での射撃なども含めた「重要軍事演習」を開始したとNHKの取材に対して明らかにしました。

中国軍で東シナ海を所管する東部戦区は、陸軍の部隊が4日午後、台湾海峡に向けて長距離の実弾射撃演習を行ったと発表しました。

また、ロケット軍の部隊もきょう午後、台湾東部の海域に向けて複数のミサイルを発射したとしています。

アメリカのペロシ下院議長が3日まで台湾を訪問したことを受けて、台湾を不可分の領土と主張する中国は激しく反発していて、中国国防省はきょう談話を発表し東部戦区が行った演習について「アメリカと台湾の結託に対する厳正な抑止力だ」としています。

一方、台湾国防部は、中国軍が4日午後、台湾の北部や南部、それに東部の周辺海域に向けて11発の「東風」弾道ミサイルを発射したと発表しました。

また、中国福建省の沿岸にある台湾が実効支配する離島の周辺で長距離ロケットなどの実弾射撃を行ったことを確認したとしています。

そのうえで「地域の平和を破壊する理性のない行動を非難する」としています。

中国軍は今月7日まで演習を行うとしていて、地域の緊張が一層高まることが懸念されます。

ペロシ下院議長「訪問は米が台湾とともにあることを強く示す」

台湾を訪問したペロシ下院議長は3日、声明を発表し、「訪問はアメリカが台湾とともにあることを強く示すものだ。われわれは、抑圧的な行為にさらされても自由を守る台湾を支援するという議会の決意を改めて確認した」としています。

そのうえで「双方のパートナーシップは確固としたもので、下院も上院も民主党も共和党も議会の支持は揺るぎないものだ」として与野党ともに台湾への支持では一致していると強調しました。

そして、中国などを念頭に「この地域や世界中でアメリカが専制主義から民主主義を守っていくことを支援し続ける中で、台湾の人々とアメリカの連帯はかつてないほど重要となっている」として台湾への関与を続けていくと改めて表明しました。

バイデン政権は、ペロシ議長の台湾訪問に反発する中国が、台湾周辺での軍事行動を活発化させているとして緊張を高める口実にすべきではないと批判していますが、中国側は、すでに台湾周辺で大規模な軍事演習を行うとしていて地域の不安定化が懸念されています。

ペロシ下院議長 韓国に到着(3日午後9時半ごろ)

韓国の通信社、連合ニュースは、専用機で台湾を出発したアメリカのペロシ下院議長が、3日夜9時半ごろ、韓国の首都ソウル近郊のオサン(烏山)空軍基地に到着したと伝えました。

関係者によりますと、ペロシ議長は4日まで韓国に滞在し、キム・ジンピョ(金振杓)国会議長と会談したあと、共同記者会見を行う予定だということです。

ペロシ下院議長 台湾離れる(3日午後7時すぎ)

ペロシ議長は3日、日本時間の午後7時すぎに一連の日程を終えて台湾をあとにしました。

ロシア外相 台湾訪問を一方的に批判

アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問をめぐり、ロシアのラブロフ外相は3日、訪問先のミャンマーで、記者団に対して「世界に対してやりたい放題だということを示したいのだ。中国にとってこれがどういう意味を持つか十分に分かっているのに、刺激する必要はない」と述べ、中国を刺激しているなどと一方的に批判しました。

中国外務省「対抗措置、あるべきものはすべてある」

アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問を受けて、中国外務省の華春瑩報道官は3日の記者会見で「ペロシ議長の行っていることは民主主義を守ることではなく、中国の主権と領土の一体性に対する挑発と侵害だ。危険な挑発行為は、純粋に個人的な政治的利益を得ようとするもので非常に醜い茶番劇だ」と述べ、強く反発しました。

そのうえで「『1つの中国』の原則と、核心的利益において、中国に妥協と譲歩の余地はない。この点をアメリカはよく理解するべきだ」と述べ、けん制しました。

そして「具体的な対抗措置について、あるべきものはすべてある。関連する措置は強力かつ効果的でアメリカと台湾独立勢力が実感し続けることになる」と強調しました。

共同会見 ペロシ下院議長「台湾との連帯かつてないほど重要」

ペロシ下院議長は、台湾の蔡英文総統との会談後の共同記者会見で、従来の「1つの中国」政策は堅持するとしたうえで、「台湾との連帯はかつてないほど重要だ。われわれは現状維持を支持している。武力によって台湾に何かが起きることは望んでいない」と述べ、アメリカが関与を続けていくと強調し、中国をけん制しました。

専門家“台湾を封鎖するような演習か”

台湾メディアによりますと、台湾を囲むように6か所で行われる今回の中国軍の演習は、1996年の「台湾海峡危機」と比べて、陸により近い場所で行われるほか、台湾が領海だと主張する海域も一部含まれるということです。
元海上自衛官で中国の軍事情勢に詳しい笹川平和財団の小原凡司上席研究員は、6か所での演習はこれまでで最も多いとして、「台湾を取り囲み封鎖するような演習を行うことが考えられる」と指摘しました。

そのうえで、▼海峡に設定された演習区域は、海上輸送路の物流を遮断するほか、▼北部の区域では航空機を使って兵士を送り込む作戦や▼東部の区域では空母を展開する作戦、▼それに南西側の区域ではミサイルの発射などが想定されている可能性があるという見方を示しました。

中国SNS 多くは政府支持のコメント

アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問を受けて、日本時間の3日正午ごろ、中国版ツイッターの「ウェイボー」では、台湾やペロシ議長に関連する話題が検索ランキングの上位10位までを占め、関心の高さをうかがわせました。

このうち、中国国防省の報道官の談話を掲載したニュースのコメント欄では、「中国は一つしかない」などと政府の主張を支持するコメントが多く見られました。

また、台湾との貿易で中国が一部の品目について輸出入を暫定的に停止すると発表したニュースに対しては、全面的な経済制裁を求めるコメントも投稿され、事実上の台湾への経済制裁だという受け止めが広がっています。

中国政府 台湾の2団体に懲戒措置を発表

中国政府で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室は、3日、台湾外交部が所管する2つの団体について「『民主』などを名目に国際的に『台湾独立』活動を行っている」などとして懲戒措置をとることを決めたと発表しました。

2つの団体は「台湾民主基金会」と台湾で海外援助活動を担う「国際合作発展基金会」で、中国本土の組織や企業、個人がこれらの団体に協力することを禁止し、資金やサービスを提供すれば法律に基づいて処罰し、必要な措置をとるとしています。

台湾「中国の軍事演習は台湾封鎖も同然」

中国軍が4日から7日まで台湾を囲むように合わせて6か所の海域や空域で軍事演習を行うとしていることについて、台湾国防部は「台湾を封鎖するのも同然で、われわれの領海と領土の主権を著しく侵害し、国連海洋法条約などに違反している」と厳しく非難しました。

北京 アメリカ大使館は厳重警備

中国がアメリカのペロシ下院議長の台湾訪問に強く反対するなか、首都・北京にあるアメリカ大使館では、3日朝から、大勢の警察官が配置され、厳しい警備態勢が敷かれていました。

抗議活動などは行われていませんでしたが、大使館の周囲には警察車両とともに警察官が数メートルおきに立っていて、周囲を確認しながら警戒にあたっていました。

北朝鮮外務省報道官「中国政府を全面的に支持」

アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問について、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は、3日、外務省報道官の談話を伝え「アメリカの破廉恥な内政干渉と、意図的な政治、軍事的挑発策動こそが、地域の平和と安全を害している」と批判しました。

そのうえで「われわれは、台湾問題についての干渉行為を糾弾、排撃し、中国政府の立場を全面的に支持する。中国の統一の偉業を阻害しようとするアメリカの企ては挫折を免れないだろう」として伝統的な友好国の中国への支持を強調しました。

北朝鮮としてはアメリカに対抗するため、中国との連携を強めたい思惑があるとみられます。

台北の蔡英文総統と会談 連帯を強調(午前11時半すぎ)

台湾に到着したアメリカのペロシ下院議長は日本時間の3日午前11時半すぎから台北の総統府で蔡英文総統と会談しました。

蔡総統は、台湾とアメリカの友好関係を促進した功績をたたえて勲章を授与し、「ペロシ議長は台湾の最も揺るぎない友人だ。台湾の民主主義の発展に関心を持ち続け、長期にわたって国際社会への参加を支持してくれていることに心から感謝する」と述べ、25年ぶりとなるアメリカの現職の下院議長の訪問を歓迎しました。

これに対して、ペロシ議長は中国などを念頭に「世界は今、民主主義と専制主義のどちらを選ぶのか迫られている」と述べたうえで、「台湾と世界の民主主義を守るためのアメリカの決意は揺らぐことはない」として、台湾との連帯を強調しました。

円買い戻しの動きも “米中対立への懸念”

3日の東京外国為替市場、円相場は一時3円以上、値下がりしましたが、アメリカのペロシ下院議長と台湾の蔡英文総統の会談を受けて米中対立への懸念から円を買い戻す動きも出ています。

市場関係者は「アメリカが金融引き締めに慎重になるのではないかという見方が後退したことから円相場は午前中、3円以上、値下がりしたが、アメリカのペロシ下院議長と台湾の蔡英文総統が会談したと伝わると米中対立への懸念から比較的安全な通貨とされる円を買い戻す動きが進んだ」と話しています。

沖縄 与那国島 中国の軍事演習に注意呼びかけ

中国国営の新華社通信は、中国軍が4日から台湾周辺で軍事演習を行うと伝えました。台湾に近い沖縄県与那国島の漁協は、軍事演習に関する情報が関係機関から得られていないとしたうえで、漁業者に対し注意を呼びかけることにしています。

報道などで中国軍が軍事演習を行うとされているエリアは、島の漁業者がふだん操業している場所から50キロから100キロほど離れているとしています。

与那国町漁業協同組合の嵩西茂則組合長は「これまでも島周辺では台湾が演習を行っていたが、今回は位置も異なり中国軍の演習とのことで怖いです。これですぐに戦闘が始まるとは思わないが、偶発的な衝突などがあれば与那国は危険に陥るので心配しています」と話していました。

松野官房長官 中国の軍事演習発表で懸念伝える

アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問をめぐり、松野官房長官は、中国側が台湾周辺で軍事演習を開始すると発表した地域に日本のEEZ=排他的経済水域も含まれているとして、中国側に懸念を伝えたことを明らかにしました。

一方、松野官房長官は、ペロシ議長の日本訪問について、「訪日中の日程や、会談相手については現在、調整を行っている。日米間の人的交流をさらに強化するものとして歓迎する」と述べました。

中国政府 台湾との輸出入の一部停止を発表

中国政府は3日、台湾との貿易で天然の砂やかんきつ類など、一部の品目について輸出入を暫定的に停止すると相次いで発表しました。

このほか、複数の台湾メディアは1日夜、中国の税関当局が台湾企業100社余りが扱う水産物や茶葉などの食品の輸入を書類の不備を理由に突然停止を決めたと伝えています。

中国政府はこうした措置についてアメリカのペロシ下院議長の台湾訪問との関係に言及していませんが、中国はこれまでも台湾産の果物や養殖魚の輸入を突然停止し、台湾側が「政治的な圧力だ」と反発した経緯もあり、今回も圧力の一環という見方が出ています。

中国外相「米は平和と安定の『最大の破壊者』」

アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問を受けて、中国外務省は、王毅外相の談話を発表し、「ペロシ議長は中国側の厳正な申し入れにもかかわらず台湾を訪問し、悪意をもって中国の主権を侵害するとともに公然と政治的な挑発を行い、中国国民の強い憤りを引き起こした。これはアメリカの一部の政治家が両国関係の『トラブルメーカー』に成り下がり、アメリカが台湾海峡の平和と地域の安定の『最大の破壊者』になったことを改めて証明するものだ」と強く反発しました。

そのうえで「アメリカは中国が情勢をエスカレートさせていると主張しているが、アメリカが先に台湾問題で中国を挑発し、主権を侵害したのであり、議長の台湾訪問に前例があると 主張しているが、過去の過ちが再び過ちを犯す口実になってはならない。アメリカが『台湾カード』を使ってアジア太平洋地域をかき乱すのを直ちにやめるよう求める」とけん制しました。

専門家「中国の対応次第で事態悪化も」

ペロシ下院議長の台湾訪問の影響について、オバマ政権などでアジア政策を担当したジェフリー・ベイダー氏は、短期的には中国軍による軍事演習の活発化や台湾当局へのサイバー攻撃、それに今回台湾を訪問した議員らの地元選挙区の企業などへの中国側の経済的報復などが考えられるとしています。

また長期的な米中関係への影響については「アメリカが『1つの中国』政策を放棄しようとしていると中国が考えるおそれがある。そうなれば中国は、台湾に対して武力行使や、より攻撃的な姿勢で向き合わなければならないという結論に至ることもあり得る」と指摘しています。

そのうえでバイデン政権の対応について「中国が台湾に対して軍事的、政治的、経済的に強い態度に出れば事態は複雑になる。アメリカ国内からの圧力が強まり、中国と話し合うのではなく、対抗措置を取ることで、関係が悪化してしまうリスクがある」として、中国側の対応次第では強く応じざるを得なくなり事態が悪化するおそれがあるとしています。

アメリカ海軍 フィリピン海に展開

アメリカ海軍は2日、原子力空母、「ロナルド・レーガン」が台湾の東側のフィリピン海で活動していると明らかにしました。

アメリカなどのメディアは「ロナルド・レーガン」とともにミサイル巡洋艦、「アンティータム」と駆逐艦、「ヒギンズ」がフィリピン海に展開していると伝えています。

アメリカ海軍は「定期的な活動だ」と説明していますが、アメリカのメディアは「ペロシ議長が台湾を訪問するなか、周辺の海域にはアメリカと中国の艦艇が配置され、緊迫している」などと伝えています。

アメリカ「『1つの中国』政策に変わりはない」

アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は2日、ペロシ下院議長の台湾訪問について「議長には台湾を訪問する権利がある。今回の訪問は議長自身が決めたことであり議会は独立した機関だ。バイデン大統領は議長の決断を尊重する」と述べました。

そのうえで「今回の訪問はアメリカが長く堅持してきた方針と一致するものであり、中国政府が何らかの危機に結び付けたり、台湾海峡やその周辺での軍事活動の口実にしたりする理由は何もない」と述べ、アメリカの「1つの中国」政策に変わりはないと改めて強調し、反発を強める中国をけん制しました。

ロシア「アメリカの明確な挑発行為」

アメリカのペロシ下院議長が台湾を訪問したことを受けて、ロシア外務省は2日、声明を発表し「中国に対するアメリカの明確な挑発行為とみなす」として、アメリカの動きを非難しました。

そのうえで「アメリカ政府に対し、地域の安定と国際的な安全保障を損なうような行動を慎み、アメリカの覇権が存在しない新しい地政学の現実を認めるよう求める」としています。

また「中国側には、自国の主権と領土の一体性を守るために必要なあらゆる措置を講じる権利がある」として中国側を支持する姿勢を示しました。

“台北101”の壁面に「民主主義の友に感謝」

アメリカのペロシ下院議長が台湾に到着したのに合わせて台湾で最も高いビル「台北101」の壁面には中国語で「民主主義の友に感謝」や「アメリカと台湾の友好は永遠」などのメッセージが表示されました。

また英語でも「ありがとう、ペロシ下院議長、台湾へようこそ」などと台湾訪問を歓迎するメッセージが点灯されました。

専門家 “中国は反発も衝突までには発展しない”

中国政治に詳しい早稲田大学の天児慧名誉教授は民主党のペロシ下院議長が台湾を訪問した背景について「アメリカがことし秋に中間選挙を控え、民主党が不利な状況に置かれているとも言われる中で中国に対する強硬な姿勢を国内向けに見せる。その材料として、台湾を訪問することによってアメリカが世界のリーダーシップを握っているということをアピールした」と指摘しています。

中国の受け止めについては「習近平国家主席としてはペロシ下院議長の台湾訪問を何も抵抗しないで見過ごすと、口だけの腰抜け外交などと国内から強い反発が出るため、強気の態度を示さないとならない。一方でアメリカとの対立に拍車をかける状態にすれば、コロナ禍で経済的な問題を抱えているなかで新たな火種を作り出すことになるので、非常に頭が痛いと思う」と話しています。

そのうえで中国の対応について「目立つけれど実害が出ないのは軍事的な威嚇を何回か続けるということだろう。しかしそれは威嚇であって攻撃をするわけではない」と述べ、演習などで反発の意思は示すものの、軍事的な衝突までには発展しないとみられるという認識を示しています。

中国「重大な政治的挑発、決して受け入れられない」

アメリカのペロシ下院議長が台湾に訪問したことを受けて、中国外務省は声明を発表し「ペロシ議長は中国の強烈な反対と厳正な申し入れにもかかわらず台湾を訪問し『1つの中国』の原則に著しく違反し、両国関係の政治的な基礎に深刻なダメージを与えた。中国は断固反対するとともに厳重に非難する」と激しく反発しました。

そのうえで「いかなる形や理由であれ、台湾を訪れることは重大な政治的挑発であり、中国は決して受け入れられず中国国民も認めない」としています。

そして「中国は必ずや必要なあらゆる措置をとる。これによって生じる一切の結果は、アメリカと『台湾独立』勢力が責任を負わなければならない」として、対抗措置をとる考えを示しました。

中国は、このほか台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室などが「断固反対する」などとした声明を相次いで発表しました。

台湾防空識別圏に中国軍機 延べ21機が進入

台湾本島の南西沖に設定している防空識別圏に2日、中国軍機延べ21機が進入したと、台湾国防部が3日未明に発表しました。内訳は殲16戦闘機延べ10機、殲11戦闘機延べ8機などとなっています。

アメリカのペロシ下院議長が台湾を訪問に反応した可能性があります。

訪問めぐりアメリカでは大きな議論に

ペロシ下院議長の台湾訪問をめぐっては、中国側が「訪問を強行すれば、中国は断固とした強力な措置をとる」などと強くけん制したことからアメリカでは、訪問前から大きな議論を呼んできました。

バイデン大統領は先月20日、「軍はいま行くのはよい考えだとは思っていない」と述べたほか、有力紙、ワシントン・ポストは、先月23日、バイデン政権は台湾海峡の緊張が一気に高まることを懸念し、ペロシ議長に対し、訪問のリスクを説明したと伝えました。

一方、トランプ前政権で国防長官を務めたマーク・エスパー氏は先月26日、シンクタンクのイベントで「自己抑止をすべきでない。脅しには立ち向かわなければならない」と述べたほか、共和党の議員や一部の民主党の議員からも訪問を後押しする声が上がっていました。

バイデン大統領と習近平国家主席は日本時間の先月28日、電話による首脳会談を行い、両首脳は対話を継続し、今後、対面での首脳会談の時期を模索していくことで一致しました。

バイデン政権の高官はペロシ議長の台湾訪問をめぐるやり取りが首脳会談の中で行われたか明らかにしませんでしたが、ペロシ議長が中国の反対を押し切る形で台湾を訪問したことで米中関係の悪化は避けられず、台湾海峡の緊張が高まることも懸念されます。

ペロシ下院議長「アメリカの揺るぎない関与を示すもの」

ペロシ下院議長は台湾に到着した直後に同行している議員らと声明を発表し、「アメリカ議会の代表団の台湾訪問は、台湾の活力ある民主主義を支援するというアメリカの揺るぎない関与を示すものだ」とその意義を説明しています。

そして「世界が専制主義か民主主義かの選択を迫られる中で、2300万人の台湾の人々とアメリカの連帯はこれまでになく重要だ」としています。

そのうえで今回の訪問について「長年にわたるアメリカの政策と矛盾するものではない。アメリカは一方的に現状を変更しようとする試みに反対し続ける」として、アメリカの台湾政策に変更はないと強調しています。

“台湾総統府のサイトに台湾域外からサイバー攻撃”

台湾総統府の報道官は2日、総統府のサイトが、大量のデータを送りつけてシステムをダウンさせようとする「DDoS(ディードス)攻撃」と呼ばれるサイバー攻撃を受けたと発表しました。

攻撃は台湾域外から行われ、攻撃のデータ量は通常の200倍にのぼり、サイトの表示が一時できなくなりましたが、およそ20分後に復旧したということです。

中国軍 台湾周辺で軍事演習の開始を発表

アメリカのペロシ下院議長が2日夜、台湾に到着した直後、中国軍で東シナ海を所管する東部戦区は2日夜から台湾周辺で軍事演習を開始すると発表しました。それによりますと、台湾の北部や南西部、それに南東部の空と海上で軍事演習を行うほか、台湾海峡でも長距離の実弾射撃などを行うとしています。

また、中国国営の新華社通信は中国軍が4日から7日まで台湾周辺で重要な軍事演習を行うと伝えました。演習は台湾を囲むようにした合わせて6か所の海域や空域で実施し実弾での射撃なども行うとしています。

演習に伴って、4日の現地時間の正午、日本時間の午後1時以降、該当する地域に船舶や航空機が入らないよう求めています。

さらに中国国防省の報道官も、2日夜遅く、「アメリカの行為は『台湾独立』勢力に誤ったシグナルを送り台湾海峡の緊張をエスカレートさせるものだ。中国軍は軍事行動を展開し対抗していく」とする談話を発表しました。

米下院議長の台湾訪問は1997年以来

アメリカ連邦議会の現職の下院議長が前回、台湾を訪れたのは、25年前の1997年です。

当時の共和党のニュート・ギングリッチ議長は、アメリカが1979年に台湾と断交して以来、アメリカ連邦議会の下院議長として初めて台湾を訪れ、李登輝総統などと会談しました。

会談後の記者会見でギングリッチ氏は「中国が武力によって台湾を統一しようとすれば、アメリカはあらゆる手段で台湾を防衛する」などと述べ、中国側は「内政干渉だ」として強く反発しました。

アメリカから要人が相次ぎ台湾訪問

近年、アメリカからは要人の台湾訪問が続いています。

おととし8月、当時のトランプ政権のアザー厚生長官による訪問はアメリカと台湾が1979年に断交して以来、大統領権限を継承する順位が最も高い閣僚の訪問となりました。

バイデン政権に代わってからも、大統領の意向を受けた非公式の代表団として、元高官らが去年4月とことし3月の2回、台湾に派遣されています。

議員団の訪問も相次いでいて、去年6月には超党派の上院議員3人が訪問し、台湾で当時不足していた新型コロナウイルスワクチンがアメリカ政府から提供されると表明しました。このとき、議員らは、韓国のソウル近郊にあるオサン空軍基地からアメリカ軍の輸送機に乗って台北を訪れていて、台湾有事の際に在韓アメリカ軍が出動することを示唆したという見方があります。

ヨーロッパからもおととし、チェコで大統領に次ぐ地位のビストルチル上院議長が、先月にはヨーロッパ議会のベーア副議長が訪れています。

ペロシ下院議長が台湾到着

アメリカのペロシ下院議長は2日夜、専用機で台北の空港に降り立ち、呉※ショウ燮 外交部長らの出迎えを受けました。
※ショウは「かねへん」に「りっとう」

台北にあるアメリカの代表機関「アメリカ在台協会」によりますと、ペロシ議長は3日まで滞在し、台湾の指導者らと米台関係や平和・安全保障問題などについて意見を交わすということです。

ナンシー・ペロシ氏は、1940年生まれの82歳。

アメリカ西部カリフォルニア州選出で、1987年から18期連続で民主党の下院議員を務めています。

2003年に議会下院の党トップ、院内総務の職に就いたのに続き、2007年には女性として初めての下院議長となりました。

民主党きっての対中強硬派として知られ、かねてから中国の人権状況を厳しく批判してきました。

ことし開かれた北京オリンピックとパラリンピックに向けては中国の新疆ウイグル自治区で民族などの集団に破壊する意図をもって危害を加える「ジェノサイド」が続いているなどとして「外交的ボイコット」をすべきだと訴えました。

また、香港で大規模な抗議デモが相次いだ2019年には、民主活動家の黄之鋒氏らと首都ワシントンで面会し香港での人権の尊重と民主主義の確立を支援する考えを示しました。

さらに中国の弾圧からインドに逃れたチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世とも会談を重ねています。

細田衆議院議長とペロシ下院議長が会談

細田衆議院議長は、アメリカのペロシ下院議長と5日、会談し、日米関係のさらなる強化に両国の議会の協力は欠かせないとして、今後も議員や議会どうしで緊密に連携していくことで一致しました。

アメリカのペロシ下院議長は、5日朝、総理大臣公邸で岸田総理大臣と会談したあと、午後1時半ごろからおよそ45分間、細田衆議院議長や海江田副議長らと衆議院議長公邸で会談しました。

冒頭、細田議長は、5日の衆議院本会議をペロシ議長が傍聴し亡くなった安倍元総理大臣への弔詞の贈呈に立ち会ったことに謝意を伝えたうえで「安倍氏は日米の安全保障や経済の発展などに大変尽力された。安倍氏の遺志を継ぎ、議会内の合意を得ながら、アジアの平和と発展に寄与していきたい」と述べました。

これに対し、ペロシ議長は「日本は、アジア太平洋地域の安全保障・経済・ガバナンスの分野でリーダーシップをとっている。世界の平和や経済の繁栄、人の尊厳を守る観点から、議会が果たす役割は大きく、両国の議会の協力が不可欠だ」と応じました。

そして、両議長は、今後も議員や議会どうしで、日米間で緊密に連携していくことで一致しました。

一方、台湾情勢をめぐるやり取りはなかったということです。