コロナ自宅療養 “市販薬使った「セルフケア」浸透を” 専門家

新型コロナウイルスに感染し、自宅で療養する人が増える中、国は先週、自分で検査した結果をもとに、医療機関を経ずに療養に入る対応を広げるなどとする、新たな対策の方針を示しました。
専門家は医療機関にかからない患者が多くなるため、市販の薬などを使った「セルフケア」の方法を知ってもらうことが必要だと指摘しています。

感染の第7波では自宅療養をする人が先週の時点で100万人を超えた一方、重症化する人の割合は小さく、国の新たな方針もあり、発症してから療養が終わるまで、一度も医療機関を受診しない患者が多くなるとみられています。

これについて、感染症の専門医で札幌市のコロナ対策の助言を行う北海道科学大学の岸田直樹客員教授は「市販薬を使って対応する『セルフケア』の方法を浸透させることが必要だ」と指摘し、「かぜ症状」には複数の症状を同時に抑えるものより、せきなど特につらい症状の緩和に特化した薬、全身症状の場合は解熱鎮痛薬が有効で「アセトアミノフェン」や「イブプロフェン」を含む薬を選ぶことを勧めています。

一方で、症状が緩和しないからといって、決められた用法・用量以上に服用することは避けてほしいとしています。

さらに、猛暑で発熱による脱水症状のリスクが上がるため、経口補水液などで水分補給を行うこと、首や脇を冷やすなど薬以外の対応で症状を和らげることも重要だとしています。

岸田医師によりますと、先月、札幌市内で新型コロナ患者の症状を調べたところ、最も多かったのはのどの痛みやせきで6割ほど、次いで頭痛や38度以上の高熱がおよそ4割、筋肉や関節の痛み、強いけん怠感が3割弱などとなっていたということで、岸田医師は「薬を飲んで症状を和らげ、自然に治っていくまで切り抜けるというような考え方をしてほしい。薬局で買える薬の中には成分の種類や量が処方薬とほぼ変わらないものもあり、薬剤師などに相談して選ぶことができる」と話しています。

一方で、市販薬では対処できない医療機関の受診が必要な症状を見逃さないことも大事で、食事ができないほどのどの痛みがある、せきをするとき胸に痛みがある、高熱が下がらず数日続く、といった場合は、医療機関を受診してほしいとしています。

さらに、より緊急性が高い水が飲めない、歩けない、息が苦しいといった症状が出た場合は、迷わず救急要請するよう呼びかけています。

また、判断に迷う場合は自治体が設置するコロナ相談窓口や、救急安心センターの「#7119」などに相談できるため、あらかじめ電話番号などを確認しておくことも大事だとしています。

岸田医師は「一般の人が、注意すべき症状をすべて把握するのは現実的ではない。相談しても不安が残るときは医療機関を受診すべきだ」と話しています。