海より危険!子どもの川遊び

川で犠牲になる子どもの数は海の2倍以上。
子どもにとって川は身近な存在で気軽に入れる分、より危険になっています。

ただ事故が起こると、“親がちゃんと見てないから”とも言われがちですが、実は大人が近くで見ているだけでは防げません。

大自然の中ではじける子どもの笑顔を守るためには、どうすればいいのでしょうか。

(大阪放送局記者 中本史)

子どもは川で犠牲になる

「川って身近だからみんなノリで入っちゃうんですよ。だけど、ナメたら命を落とすんです」

そう話すのは、大阪大学人間科学研究科“子どもの安全ラボ”で子どもの事故を研究する岡真裕美研究員です。水難学会のメンバーでもあります。
この10年間で中学生以下の子どもが川で亡くなったり、行方不明になったりした人数は203人。海で犠牲になった子どもの2倍以上です。
大人は海の事故での犠牲が多いのに、なぜ子どもは川?

大阪大学人間科学研究科 岡真裕美 研究員
「川が身近にあることが大きいと思います。海は、わざわざ沿岸部に出かけていくので気軽に入るものでもない。そして目の前に果てしなく海が広がる風景をみると、親も“流されたら怖い”という気持ちが芽生えて慎重な遊ばせ方をします。一方、川は身近にある。対岸が見えるし、浅そうだし、ちょっと足をつけてみよう、とその場のノリで入れてしまうんです」

川はなぜ危険?

しかし、安全そうに見える川は危険が隠れています。

「すべりやすい!」
川底の石などにコケが生えていてすべってしまいます。
そのまま流されてしまうこともあります。
「見えない穴・流れがある!」
浅く見え川でも突然深い穴があり、はまってしまうとおぼれます。
手前は流れが緩やかに見えても、中央付近は速くなっています。

「沈みやすい!」
川は淡水なので海と違い浮力が少なく沈みやすくなっています。
流されやすく、おぼれやすい川。
何かあったら助けに駆けつければいいと思いがちですが、大人が近くで見ているだけでは防げないと言います。

大阪大学人間科学研究科 岡真裕美 研究員
「川の中では、大人もスムーズに動けません。ちょっと離れたところにいる子どもが足をすべらせた時、助けにいこうとしても思うように進めず、間に合わない場合もあります。目の前で子どもが流されていく、そんな悲痛な光景を目にする可能性があるんです」

川での事故を防ぐポイント

では、事故を防ぐポイントはどこにあるのでしょうか。
川の専門家、河川財団の菅原一成研究員にききました。
「川に入る前」
●現在地と上流の天気をチェックします。2、3日前に上流で降った雨で下流側が増水していることもあります。

●必ず大人も子どもも体に合ったライフジャケットとウォーターシューズを準備します。スニーカーでも代わりになります。かかとが固定されないサンダルなどは、はかないようにしてください。
「入るとき」
●安全なのは、流れがゆるやかで水深は子どものおしりまでの深さの場所です。ひざぐらいの浅さでも、流れが速いと流されます。

●子どもと一緒に大人も入り、大人が下流側に位置取ります。子どもが流された場合、受け止めるためです。

子どもへの注意点

子どもに起きやすい川の事故の特徴もあります。

視聴者からの投稿には「中学生ぐらいになると、せきから飛び込んでしまう」というものがありました。
子どもがつい飛び込んでしまう高さのある場所のリスクは?

河川財団 菅原一成 研究員
「小さなダムのようなせきの下は、水が地盤をけずっていくので深い穴ができやすい。その穴で逆流が起きて、回転する流れにまきこまれ、脱出できずにおぼれてしまう。また、下の白い泡は“ホワイトウォーター”と呼ばれる空気を含んだ水のため、ライフジャケットを着ていても、沈むなどおぼれる要素がいくつもあります。水量のある滝つぼも同じことが起きるので、落差のあるところは危険なので、遊ばないことが大事です」
また、小さい子どもによくあるのが、川でサンダルやボールが流されて取りに行っておぼれるケースです。
河川財団 菅原一成 研究員
「やはり子どもはサンダルをなくすと親に怒られるという気持ちがあります。事前に親子で“ものが流されても怒らないよ、取りに行かないでね”ということを話してあっておいてほしい」

安全に、大自然で遊ぶ!

となると、川に行かないのが一番安全ですよね…?

河川財団 菅原一成 研究員
「川は危険となると近寄りがたくなる気持ちもわかります。しかし、川にはたくさんの生き物がいて水の流れがあり、広い空があり、日常では味わえない貴重な体験、楽しい心に残る体験ができる。せっかく身近に大自然があるのですから、リスクを知って対策を取って安全に遊んでほしいです」

河川財団では、“水難事故マップ”で川の事故があった場所を公開していて、こうした情報を活用してほしいと呼びかけています。

NHK大阪でもこうした川遊びのリスクをまとめた動画を作り、ツイッターなどで発信しています。

動画は以下のリンク先から見ることができます。
ページ中段の「SHORT MOVIES」のコーナーにあります。
どうぞご活用ください。

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