プーチン大統領 “海上発射型の極超音速ミサイル 近く配備”

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアは、東部ドネツク州で攻勢を強め、ウクライナ政府は現地の住民を避難させる考えを示す一方で、南部で反転攻勢に出ています。
こうした中、ロシアのプーチン大統領は海軍の記念式典で演説し、海上発射型の極超音速ミサイル「ツィルコン」を近く配備すると明らかにし、アメリカなどをけん制したものとみられます。

ロシア軍は、全域の掌握をねらうウクライナ東部ドネツク州で攻勢を強めていて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、30日の分析で、中心都市ドネツク市やその北にあるバフムトの周辺で戦闘が今後激化するという見通しを示しています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は30日、ドネツク州に残る住民に避難を命じる考えを示し、ベレシチュク副首相も、冬を迎える前に避難を終える必要があると強調しました。

一方、ウクライナ軍は、南部で反転攻勢に出ていて、29日にはロシア軍兵士100人以上を殺害し、戦車7両を破壊したと主張するなど、反撃をさらに強める構えを示しています。

こうした中、ロシア第2の都市サンクトペテルブルクでは、海軍の創設を記念する式典が開かれ、海上発射型の巡航ミサイル「カリブル」を搭載した艦艇や潜水艦など合わせて40隻余りの軍艦のほか、42機の航空機、それにおよそ3500人の海兵隊員が参加しました。

式典では、プーチン大統領が演説し「重要なのは海軍力だ。海軍力は、国の主権と自由を侵害するあらゆるものに迅速に対応し、ロシアの国境や、世界の海洋のあらゆる地域で戦略的な任務を確実に遂行することができる」と述べたうえで、海上発射型の極超音速ミサイル「ツィルコン」を数か月以内にフリゲート艦に搭載する方針を明らかにしました。

また、プーチン大統領は「『ツィルコン』を搭載した艦艇の任務領域は、ロシアの安全保障上の利益に基づき決定される」と述べ、ウクライナとともにアメリカなどをけん制したものとみられます。