【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(28日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる28日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア 軍事演習「ボストーク」来月30日から実施へ

ロシア国防省は26日、極東地域などを管轄する東部軍管区で、4年に1度行われる軍事演習「ボストーク」を来月30日から9月5日まで行うと明らかにしました。演習を予定している場所として発表された13か所の中には、北方領土の択捉島と国後島にある演習場の名前も含まれています。

また、前回4年前の演習には中国の陸軍と空軍が初めて参加しましたが、今回は「外国の部隊も参加する」としているものの、具体的な国の名前は明らかにされていません。ロシアとしては、ウクライナへの軍事侵攻を続ける中、大規模な軍事演習を行うことで、十分な兵力があると内外にアピールする狙いもあるとみられます。

ウクライナ大統領 顧問 “ロシア軍に第2の発電所制圧された”

ロシア軍は、全域の掌握をねらう東部ドネツク州や南部の各地で攻撃を続けています。

ウクライナ大統領府で顧問を務めるアレストビッチ氏は27日、ドネツク州にあるウクライナ第2のブフレヒルシク発電所が、ロシア軍に制圧されたと発表しました。

ドネツク州のキリレンコ知事がSNSで明らかにしたところによりますと、州内では、27日の攻撃で市民5人が死亡し、8人がけがをしたということで、市民の犠牲者が増え続けています。

また、ウクライナのベレシチュク副首相は28日、SNSで「敵は意図的に民間のインフラを破壊し続けている。ガスや電気、水の供給に問題があるかもしれない」と述べたうえで、ドネツク州の市民に対し、避難するよう呼びかけました。

ウクライナ側はヘルソン州で反撃強める

ウクライナ側も、ロシアが掌握したとする南部のヘルソン州で、このところ反撃を強めています。

ウクライナメディアによりますと、ゼレンスキー大統領は27日、ロシア軍が支配地域への補給路として使っていたとみられる、アントニウスキー橋を攻撃したと明らかにしました。

これについて、戦況を分析しているイギリス国防省は、橋は使用できなくなった可能性が高いと指摘し「ヘルソンは、ほかの占領地から事実上切り離されている。この損失は、占領を成功させようとするロシアにとって大きな障害になるだろう」と述べました。

ウクライナ軍は、ヘルソン州の奪還を目指して反撃を強めていて、南部でも戦闘が激しさを増しています。

FRB大幅利上げ「戦争が経済活動の重荷に」

アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は27日まで開いた会合で、0.75%の大幅な利上げを決めました。

FRBの金融政策を決める会合は声明で「物価上昇率は新型コロナウイルスのパンデミックにともなう需給の不均衡や、食品とエネルギー価格の高騰などを反映して高止まりしている」としたうえで「ロシアのウクライナに対する戦争が人々と経済にとてつもない苦難をもたらしている。戦争と関連するできごとがインフレ圧力をもたらし、グローバルな経済活動の重荷になっており、FRBの会合としてはインフレリスクを高いレベルで注視している」として大幅な利上げを決めた理由を説明しています。

一方で前回の会合の声明で「経済活動は第1四半期に低下したあと、持ち直している」としていた表現がなくなり、今回の声明では「消費と生産に関する指標がこのところ鈍化している」と指摘し、経済活動全体が減速しているという認識を示しています。

米国務長官 “ロシア外相と近く電話会談” 軍事侵攻後初

アメリカのブリンケン国務長官は27日、首都ワシントンで記者会見を開き、「ロシアのラブロフ外相と近日中に話すことになる」と述べ、近く、電話で会談すると明らかにしました。

そのうえで「アメリカ人の解放について取り上げる。不当に拘束された人たちだ」と述べ、
▽ロシアで違法薬物を所持していたとしてことし2月に拘束されたアメリカの女子プロバスケットボールの選手と、
▽スパイ活動をしていたとして4年前に拘束された元海兵隊員の男性の解放に向けて話し合うとしています。
また、ブリンケン長官は、ロシア軍による封鎖で黒海に面するウクライナの港から小麦などの輸出が滞っている問題についても取り上げる考えを明らかにしました。

一方、ロシア外務省は、国営の通信社に対して「何の照会もない」と述べ会談を巡ってアメリカ側からの接触はないとしています。

アメリカとロシアの外相が会談すれば、ことし2月にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって以降、初めてで、協議の内容が注目されます。

黒海沿岸でロシア軍のミサイル攻撃続く

ロシア国防省は27日、ウクライナ東部ドネツク州にあるウクライナ軍の指揮所4か所を破壊したほか、南部のミコライウ州や南東部のザポリージャ州にある弾薬庫をミサイルで攻撃したと発表しました。

また、ウクライナの非常事態庁などによりますと、26日、南部の港湾都市オデーサから南に60キロほどにあるリゾート地がロシア軍のミサイル攻撃を受け、1人がけがをするなど、黒海沿岸の地域で攻撃が続いています。

ウクライナの港から小麦輸出を トルコに共同調整センター設置

ロシア軍による封鎖で黒海に面するウクライナの港から小麦などの輸出が滞っている問題の解決に向けて、トルコのイスタンブールに、船の安全な航行を監視する「共同調整センター」が設置され、日本時間の27日夜、現地で開所式が行われました。

「共同調整センター」は、ロシアとウクライナが、今月22日、仲介役のトルコと国連とともに交わした合意に基づいて新たに設置されたもので、日本時間の27日夜8時すぎからトルコのイスタンブールで開所式が行われました。
式典では、仲介役のトルコのアカル国防相が「センターは世界的な食料危機を防ぐという歴史的、人道的責任を負う。センターの努力が停戦にもつながると信じている」と述べました。

センターには、黒海沿岸の地図が表示された大型モニターが設置され、ロシア、ウクライナ、トルコ、国連の4者の代表がテーブルを囲んでいました。

これを受けて、ウクライナ海軍は声明を発表し、南部の港湾都市オデーサなど3つの港で、業務が再開されたとしています。
ただ、ロシアは、オデーサなど港湾施設が集まる黒海沿岸への攻撃を強めていて、食料供給の安定化に向けてセンターが着実に役割を果たしていけるかは予断を許さない状況です。