濃厚接触者の待機期間 5日間に短縮 社会経済活動の維持のため

新型コロナの感染の急拡大を受け、岸田総理大臣は後藤厚生労働大臣ら関係閣僚と対応を協議し、社会経済活動を維持していくため、22日から濃厚接触者に求める待機期間をこれまでの原則7日間から5日間に短縮することを決めました。

2日目と3日目の抗原検査が陰性→3日目に待機解除可能に

新型コロナの感染の急拡大を受け、岸田総理大臣は22日午後、総理大臣官邸で後藤厚生労働大臣や山際新型コロナ対策担当大臣らと対応を協議しました。

その結果、社会経済活動を維持していくため、22日から濃厚接触者に求める自宅などでの待機期間をこれまでの原則7日間から5日間に短縮し、さらに2日目と3日目の抗原検査が陰性であれば、3日目に待機を解除できることを決めました。
また、発熱外来が受診しづらくなっている現状を踏まえ、症状のある人が受診前に自分で検査できるよう、発熱外来で抗原検査キットを配るとともに、その検査結果を医師が配置されている自治体の窓口などに連絡すれば、健康観察を受けられる体制を整備するとしています。

さらに、医療提供体制の構築のため、医療機関などに対する財政支援策のうち、今月末が期限となっているものを、9月末まで延長するとしています。
このあと後藤厚生労働大臣は記者団に対し、現在開発が進められているオミクロン株に対して高い効果が出るよう改良したワクチンについて、早ければことし秋以降に、すべての人を対象に接種することも想定して準備を進める方針を明らかにしました。

そして「社会経済活動をできる限り維持しながら、重症化リスクのある高齢者を守る対策に全力を挙げて取り組んでいきたい。改めてマスクの適切な着用や手洗い、3密の回避や換気などの基本的な感染防止対策を徹底してほしい」と呼びかけました。

どうなる?「待機期間」

濃厚接触者の自宅などでの待機期間は、これまでより2日間短縮されることになりました。

具体的には、感染者が発症した日か、感染者が無症状の場合は検体を採取した日、または、感染が判明して家庭などで感染対策を取り始めた日の中で、最も遅い日の翌日から5日間が過ぎて症状が無ければ、待機が解除されます。

また、2日目と3日目に抗原検査キットで検査を行い、いずれも陰性であれば、その時点で待機が解除されます。

ただその場合でも、7日間は、自分で体温を測るなどして体調を確認することや高齢者との接触を控えることが求められます。

一方、これまでも、医療従事者のほか、高齢者施設や保育所の職員などのいわゆる「エッセンシャルワーカー」は、毎日検査を行い、陰性と確認されれば、症状が無く、かつ3回目のワクチン接種を受けていることなどを条件に、出勤できるとしていて、この扱いは継続されます。

どうなる?「行動制限」

政府は、現時点では医療のひっ迫が深刻な状況ではなく、行動制限を行った場合の社会経済的な損失と得られる効果を勘案し、行動制限は必要ないという立場です。

ただ、後藤厚生労働大臣は、先の記者会見で「今後、ウイルスの特性に変化が生じるとか、病床がひっ迫する事態が見込まれれば、行動制限を含む実効性の高い強力な感染拡大防止措置を講ずることになる」と述べました。

また山際新型コロナ対策担当大臣は、22日の記者会見で「状況が変われば、当然、政府の方針も柔軟に変わっていく。必要があればちゅうちょなく方針を変えて対応する」と述べました。

政府は、医療のひっ迫状況などを見極めながら、新たな行動制限について検討することにしています。

期間短縮の背景は

感染の急拡大を受けて、経済界からは、濃厚接触者となったことで、症状が無くても出勤できず、業務に支障が出ているといった声があがっています。

また、医療従事者などは、濃厚接触者となった場合でも、毎日の検査で陰性が確認できれば出勤できることになっていますが、実際には、濃厚接触者となったことで出勤を控えるケースもあり、医療現場では人手不足が懸念されています。

こうしたことから、政府は、新規感染者数が過去最多となったものの、感染の抑え込みと社会経済活動の両立を図るべきだとして、濃厚接触者の待機期間の短縮に踏み切りました。