新型コロナ 1週間の新規感染者 37都県で過去最多に

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、11の道県では前の週の2倍以上になるなど、すべての都道府県で増えていて、37の都県では過去最多となっています。

こうした中、医療現場では、患者の急増に診療制限に踏み切る病院も出てきています。

全国各地の感染状況のデータとともに、現場で何が起きているのか、まとめました。

全国で急速な増加続く

全国では
▽先月23日までの1週間では前の週に比べて1.00倍、
▽先月30日は1.23倍、
▽今月7日は1.78倍、
▽今月14日は2.13倍と増加のペースは上がり続けていました。
▽今月21日まででは1.72倍と、ペースはやや下がったものの急速な増加は続いています。

1日当たりの平均の新規感染者数はおよそ11万4426人と、感染の第6波のピークだったことし2月初めを超えて過去最多となっています。

1週間平均での新規感染者数は11の道県で前の週の2倍以上になるなど、すべての都道府県で増加し、37の都県で過去最多となっています。

沖縄県 1日当たり約3712人(過去最多)

沖縄県は、
▽今月7日までの1週間は前の週の1.23倍、
▽今月14日は1.57倍、
▽今月21日まででは1.38倍と増加が続いています。

1日当たりの新規感染者数はおよそ3712人で、直近1週間の人口10万当たりの感染者数は1770.79人と、全国で最も多く、過去最多の状態が続いています。

東京都 1日当たり1万8823人(過去最多)

東京都は
▽今月7日までの1週間は前の週の2.02倍、
▽今月14日は2.21倍、
▽今月21日まででは1.66倍と増加のペースはやや下がったものの急速な増加が続いています。
1日当たりの新規感染者数は1万8823人で、過去最多となっています。

神奈川県 1日当たり約8869人(過去最多)

神奈川県は
▽今月7日までの1週間は前の週の2.00倍、
▽今月14日は2.24倍、
▽今月21日まででは1.85倍で、1日当たりの新規感染者数は過去最多のおよそ8869人となっています。

埼玉県 1日当たり約6153人(過去最多)

埼玉県は
▽今月7日までの1週間は前の週の1.93倍、
▽今月14日は2.32倍、
▽今月21日まででは1.85倍で、1日当たりの新規感染者数は過去最多のおよそ6153人となっています。

千葉県 1日当たり約5019人

千葉県は
▽今月7日までの1週間は前の週の2.03倍、
▽今月14日は2.26倍、
▽今月21日まででは1.79倍で、1日当たりの新規感染者数はおよそ5019人となっています。

大阪府 1日当たり1万2400人

大阪府は
▽今月7日までの1週間は前の週の1.92倍、
▽今月14日は2.24倍、
▽今月21日まででは1.80倍で、1日当たりの新規感染者数は1万2400人となっています。

京都府 1日当たり約2221人

京都府は
▽今月7日までの1週間は前の週の1.86倍、
▽今月14日は2.32倍、
▽今月21日まででは1.58倍で、1日当たりの新規感染者数はおよそ2221人となっています。

兵庫県 1日当たり約5197人

兵庫県は
▽今月7日までの1週間は前の週の1.86倍、
▽今月14日は2.20倍、
▽今月21日まででは1.82倍で、1日当たりの新規感染者数はおよそ5197人となっています。

愛知県 1日当たり約7675人(過去最多)

愛知県は
▽今月7日までの1週間は前の週の1.78倍、
▽今月14日は2.34倍、
▽今月21日まででは1.84倍で、1日当たりの新規感染者数は過去最多のおよそ7675人となっています。

岐阜県 1日当たり約1364人(過去最多)

岐阜県は
▽今月7日までの1週間は前の週の1.76倍、
▽今月14日は2.06倍、
▽今月21日まででは1.72倍となっていて、1日当たりの新規感染者数は過去最多のおよそ1364人となっています。

三重県 1日当たり約1159人(過去最多)

三重県は
▽今月7日までの1週間は前の週の1.74倍、
▽今月14日は2.11倍、
▽今月21日まででは1.56倍で、1日当たりの新規感染者数は過去最多のおよそ1159人となっています。

その他の地域

北海道は
▽今月7日までの1週間は前の週の1.17倍、
▽今月14日は1.56倍、
▽今月21日まででは2.00倍で、1日当たりの新規感染者数はおよそ2031人となっています。

宮城県は
▽今月7日までの1週間は前の週の1.58倍、
▽今月14日は1.89倍、
▽今月21日まででは2.02倍で、1日当たりの新規感染者数は過去最多のおよそ1145人となっています。

広島県は
▽今月7日までの1週間は前の週の1.33倍、
▽今月14日は1.77倍、
▽今月21日まででは1.67倍で、1日当たりの新規感染者数は1362人となっています。

福岡県は
▽今月7日までの1週間は前の週の1.92倍、
▽今月14日は2.24倍、
▽今月21日まででは1.76倍で、1日当たりの新規感染者数は過去最多の6690人となっています。

このほか、
▽秋田県は今月21日までの1週間は前の週の2.33倍、
▽福島県は2.09倍、
▽栃木県は2.27倍、
▽群馬県は2.03倍、
▽新潟県は2.04倍、
▽山梨県は2.11倍、
▽富山県は2.02倍、
▽山口県は2.08倍、
▽香川県は2.05倍と2倍を超えていて、いずれも過去最多の感染者数となっています。

「1日の感染者数 20万人超もおかしくない」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博 教授は、現在の感染状況について「この状態が続けば全国で1日の感染者数が20万人を超えてもおかしくないような状況になっている。感染力が強いとされるオミクロン株の『BA.5』にすべて置き換わるのが7月の末から8月の初めで、それまでは感染者数の増加が続くことを考えておかないといけない。医療のひっ迫を最小限に抑えながらピークをできるだけ小さくして乗り切ることができるのか、非常に大事な時期にさしかかっている」と述べました。

そのうえで「いま行動制限を出さないで乗り切ろうとしているが、基本的な感染対策をやらなくてよいということではない。夏休みに入り、学校での広がりは一定程度抑えられ、家庭への感染の持ち込みは減らすことができる。このタイミングを生かして感染の広がりを抑えることが大事だ」と述べ、ワクチンの接種や換気、少しでも症状がある人は検査を受け周りに広げない対策をとること、それに食事のときでも人と話す際には不織布のマスクを着用することなど、基本的な対策の重要性を強調しました。

一方で、舘田教授は「全国の感染者数が1日で20万人を超え、30万人に近づくような状態が見えてくると、医療のひっ迫、重症者の増加、社会インフラがまひする危険も考えなくてはならなくなる。そういう兆候が見られるならまん延防止等重点措置など、強い制限も考えないといけない」と指摘しました。

抗原検査キット 買い求める人が急増

新型コロナウイルスの感染の急拡大で検査の需要も大幅に増えています。

抗原検査キットを販売する薬局では、在庫が確保しにくくなる中、グループ内の店舗で調整するなどして対応にあたっています。

東京 渋谷区の薬局では医療用の抗原検査キットを販売しているほか、東京都の指定で、PCR検査と抗原検査の無料検査も行っています。

薬局によりますと、感染の急拡大に伴って抗原検査キットを買い求める人が急増していて、今週は、2週間前のおよそ10倍にのぼっているということです。
また、無料検査のために訪れる人も増えていて、このうち抗原検査は、2週間前の4倍を超えているということです。

この店舗では22日時点で一般への販売と無料検査用あわせておよそ150回分のキットを確保していますが、メーカーが出荷量を調整しているため納品には遅れが出始めているということです。

このため、同じグループの4つの店舗の間で比較的在庫に余裕がある店舗から検査キットを郵送し対応しているということです。

『薬局恵比寿ファーマシー』の管理薬剤師、篠原久仁子さんは「感染状況に応じて検査キットを回し合ってなんとか対応している状況です。必要としている人に確実に届けられるようにしたいです」と話していました。

救急受け入れ増加 募る危機感

新型コロナウイルスの感染の急拡大に伴って地域の拠点病院では救急の受け入れが増加してしますが、医師や看護師が感染したり濃厚接触者になったりして出勤できなくなるケースが相次ぎ、今後、救急の受け入れが難しくなるおそれがあると危機感を募らせています。

川崎市の新百合ヶ丘総合病院では先月まで20件ほどだった1日の救急の受け入れが今月はおよそ30件まで増加し、34床あるコロナの専用病床も満床に近い状態が続いています。
特に救急センタ-では受け入れ後にコロナの感染がわかった場合、部屋を20分間換気し消毒するため時間がかかり、その間に別の患者の受け入れ要請があると断らざるえない状況も生じているということです。

20日も受け入れまで救急車で待ってもらうケースもあり、夕方以降、救急で受け入れた10人の患者のうち5人にコロナの感染がわかり、対応に追われていました。

こうした中で医師と看護師、職員、およそ1000人のうち、感染したり濃厚接触者になったりして出勤できなくなった人が60人ほどにのぼり、前の週のおよそ2倍に増加しています。

病院ではさらに感染が広がった場合、外来の診察や救急の受け入れを制限せざるをえない事態になると危機感を募らせています。

新百合ヶ丘総合病院の伊藤敏孝救急センター長は「患者が増えるなかで、職員が少なくなると救急を制限する必要が出てくるまさに綱渡りの状況だ。夏に増える心筋梗塞や脳梗塞のほか、交通事故などの患者が今後、運ばれてきても対応できないという状況も出てきてしまう」と話しています。

都内の小児病院 救急搬送件数が通常の3倍の日も

新型コロナウイルスの急速な感染拡大で、救急患者を受け入れている東京都内の小児病院では救急搬送の件数が通常の3倍に上る日もみられています。基礎疾患のない子どもが重症化しているケースもあり、対応にあたる医師は重症化を防ぐためにワクチンの接種も検討してほしいと話しています。

子どもの救急患者を受け入れている東京 府中市の東京都立小児総合医療センターでは、コロナの感染拡大で今月初め以降、患者が急増し、1日の救急搬送が通常の3倍ほどのおよそ300件に上る日もあるということです。

病院には、21日の時点で27人が入院していて、このうち、基礎疾患のない1人を含む5歳未満のこども2人が酸素投与などが必要な中等症相当となっているということです。

また、基礎疾患がない5歳未満の子ども1人が全身に症状が出て重症化し、人工呼吸器で治療を受けているということです。

病院では、症状が重くない場合には患者を迅速に受け入れることが難しい状況になっているということで、治療にあたる堀越裕歩医師は、「すでに第6波のピーク時と同じ程度のひっ迫状況になってきている。コロナ患者がこれ以上増えると予定していた別の病気の手術をキャンセルするなど、高度医療を制限しなければいけなくなる。重症化を防ぐためにワクチンを接種できる年代の子どもは接種を検討してもらいたい」と話しています。

【コロナ病床 満床の小児病院も】
東京都内の小児病院の中には、すでにコロナの病床が満床になっている病院も出てきています。

東京 世田谷区の国立成育医療研究センターでは、コロナ患者用の一般病床が36床ありますが、今月20日の時点で、コロナに感染した子どもに加えて感染した妊婦や感染の疑いがある子どもも入院し満床となっています。

コロナに感染して入院している子どもは25人で、このうち、基礎疾患のある12歳未満の子ども2人は呼吸症状が悪くなり、酸素投与を受けているということです。

治療にあたっている大宜見力医師は、「現在は、自宅療養が難しい軽症の子どもをなんとか受け入れているが、今後感染が拡大すると、基礎疾患があり重症化リスクが高い子どもの感染も増えてくる。迅速な治療が必要な患者をすぐに受け入れられない事態にならないか懸念している」と話しています。

沖縄 診療制限に踏み切る病院相次ぐ

新型コロナの感染急拡大で、沖縄県内の救急病院の中には診療制限に踏み切る病院が相次いでいます。

NHKの取材に応じた医療関係者は「医療に優先順位をつけて、今、助けていかないと助からない命を選定せざるを得なくなってしまう」と強い危機感を示しました。

沖縄県内で新型コロナに対応している病院では勤務できない医療従事者があわせて1100人にのぼり、院内クラスターも相次いで発生しています。
救命救急センターがある浦添市の浦添総合病院は救急部門に注力するため、来週25日から一般外来を縮小する方針を決めました。

新型コロナの対応にあたる感染防止対策室の原國政直室長は職員が50人程度勤務できず、看護師不足が起きていると現状を説明しました。

原國室長は、「1人が離脱するたびに病棟のベッドを1、2床と閉めざるを得ない。陽性で入院が必要と言われても診る人がいないという深刻な状況だ」と話しました。

そして「救命救急センターとして重症な患者を断らずに受けきる使命がある。申し訳ないが、医療に優先順位をつけて、今、助けていかないと助からない命を選定せざるを得なくなってしまう」と強い危機感を示し、一般外来を縮小する方針に理解を求めました。

そのうえで、「自分が重症にならなかったとしても、重症者の数が増えていくと、救急搬送が必要な時に救急車が来ないとか、たらい回しになるなどして診察が受けられない状況が起きることが危惧される」とし、不要不急の外出を避けるなど1人1人が感染対策に取り組むよう訴えました。

大阪の保健所 電話連絡の対象をリスクの高い人に絞って

新型コロナウイルスの感染が急拡大する中、大阪の保健所では、業務のひっ迫を避けるため、電話をかけて連絡する対象を高齢者などリスクの高い人に絞って対応しています。保健所は「入院が必要な重症患者などを優先するため理解してほしい」と呼びかけています。
大阪 枚方市保健所では対応する新型コロナの感染者が急増していて、1週間前に比べておよそ2倍のペースで感染が確認されています。

以前は、感染が確認されたすべての人に電話をかけて症状を聞き取り入院調整などを行ってきましたが、ことし1月から始まった第6波の際は業務がひっ迫し、感染の確認から電話まで5日程度かかったケースもあったということです。

そのため、今回の感染拡大にあたっては、保健所から電話をかける対象を高齢者や持病がある人など重症化するリスクの高い感染者に絞っています。21日もおよそ700人の感染が新たに確認されましたが、保健所から電話をかけたのはこのうち1割程度だということです。

無症状や軽症の人を含めたすべての感染者に対しては、携帯電話にショートメッセージを送っていて、市独自のURLに誘導し、みずからの健康状態を入力してもらっています。入力された情報をもとに、持病がないかや妊娠中でないかなどを保健所が改めて確認し、必要だと判断した場合は、電話することにしています。

枚方市保健所の白井千香所長は「行動制限がない中での感染拡大で、これから感染者数はさらに増加していくと思うので警戒しないといけない」と話しています。そして「軽症でも熱が出て心配だと思うが、入院が必要な重症患者などを優先するため理解してほしい」としたうえで、「どうしても熱が下がらないとか、ごはんが食べられずに衰弱していて、誰も支援がない場合などはかかりつけの医療機関や保健所に連絡してほしい」と呼びかけていました。

東京都 “救急要請”が必要な症状の目安を示

新型コロナウイルスの「第7波」による感染の急速な拡大で、感染しても自宅で療養するケースが増えています。

東京都は、状態が悪化した際に救急要請が必要な症状の目安を示し、1つでも当てはまる場合にはすぐに救急車を呼ぶよう呼びかけている一方、発熱やせき、けん怠感などの症状が軽い人はかかりつけ医や保健所、相談窓口などに連絡するよう呼びかけています。

東京都がまとめた救急要請をする緊急性が高い症状の目安は、表情や外見について
▼「顔色が明らかに悪い」
▼「唇が紫色になっている」
▼「いつもと違う、様子がおかしい」などと家族が確認した場合としています。

また、患者本人の症状として
▼「息が荒くなった」
▼「急に息苦しくなった」
▼「日常生活の中で少し動くと息があがる」
▼「胸の痛みがある」
▼「横になれない、座らないと息ができない」
▼「肩で息をしている、ゼーゼーしている」
▼「ぼんやりしている」
▼「もうろうとして返事がない」
▼「血液中の酸素の値を測るパルスオキシメーターの数値が90以下になっている」
といった合わせて12の項目を挙げていて、1つでも当てはまればすぐに119番通報して救急車を呼ぶよう求めています。
また、救急要請が必要なほどには緊急度が高くない場合でも、
▼「家の中での移動や食事、トイレ、着替えなど生活動作がつらい」
▼「せきがひどい、たんが多い、発熱が続いている」
▼「経験したことのないひどい全身のけん怠感がある」
▼「パルスオキシメーターの数値が93以下になっている」のうち、1つでも当てはまればすぐにかかりつけ医や保健所などに連絡してほしいと呼びかけています。

その一方で、
▼「発熱、せき、かぜのような症状は軽い」
▼「せきだけで息切れはない」
▼「味がしない、鼻が詰まっていないのににおいがしない」
▼「軽いけん怠感がある」
▼「パルスオキシメーターの数値が96以上」などの場合は、症状の悪化を感じたときにかかりつけ医や相談窓口に連絡するよう呼びかけています。
救急車を呼ぶ目安について、日本救急医学会の理事で帝京大学の森村尚登 主任教授は「救急車を呼ぶことを我慢して自宅で症状が悪化してしまうケースもある。自分の状態が東京都などがまとめている緊急性が高い症状のリストに当てはまる場合は、迷わずに救急車を呼んでほしい。自分の症状が当てはまるかどうか迷う場合は、救急相談センターや発熱相談センターなど、行政が設置している電話相談窓口に連絡してほしい」と話しています。

千葉県 専用サイトの登録を一時停止

新型コロナの感染が急拡大する中、千葉県は、抗原検査キットなどで陽性だった場合、インターネットで登録して医師の診断が受けられる専用サイトについて、登録者が想定のおよそ17倍となり対応が追いつかなくなったとして登録を一時、休止しました。
千葉県は感染の急拡大で発熱外来の予約が取りにくくなっているとして、抗原検査キットなどで陽性だった場合、インターネットで登録して医師の診断を受けられる専用サイト「陽性者登録センター」を21日、開設しました。

このサイトは「第6波」の時にも開設され、今回は1日およそ100人の登録者を見込んでいましたが、21日、1日で想定のおよそ17倍にあたる1751人に上ったということです。

このため千葉県は診断を担当する4人の医師だけでは対応が追いつかないとして、登録を一時、休止しました。

県は今後、対応する医師の人数を増やすとともに、これまで電話で行っていた診断をメールに変更するなどして週明けにも登録を再開したいとしています。

千葉県健康福祉政策課の岡田慎太郎課長は、「想定が甘かった。登録が休止になりご迷惑をおかけしていることを重く受け止めている。早期の再開に向けて全力で取り組みたい」と話しています。