ヨーロッパ中央銀行 11年ぶり利上げ インフレ抑え込みへ

ヨーロッパ中央銀行は急速に進むインフレを抑え込むため政策金利を0.5%引き上げるとともに、これまで続けてきたマイナス金利を解除することを決めました。利上げは11年ぶりとなります。
金融引き締めを加速するアメリカやイギリスなどと歩調を合わせる形となり、大規模緩和を続ける日銀の金融政策の方向性の違いが際立つことになります。

ヨーロッパ中央銀行は21日、ドイツのフランクフルトで理事会を開きました。

これまで景気下支えのため利上げには慎重な姿勢でしたが、ロシアによるウクライナ侵攻などでエネルギー価格や食料価格が上昇しています。

このためインフレを抑制しようと政策金利を0.5%引き上げることを決めました。利上げは2011年以来、11年ぶりになります。

また金融機関から資金を預かる際の金利をマイナス0.5%から0%に引き上げることもあわせて決定しました。2014年から続けてきた異例のマイナス金利も解除することになります。

ヨーロッパ中央銀行は金融引き締めを加速するアメリカのFRB=連邦準備制度理事会やイギリスのイングランド銀行などと歩調を合わせ金融引き締めに大きくかじを切ることになり、大規模緩和を続ける日銀の金融政策の方向性の違いが際立つことになります。

世界各国の中央銀行 利上げ進める

今、世界各国の中央銀行はインフレを抑え込もうと急ピッチで利上げを進めています。

アメリカのFRB=連邦準備制度理事会は先月、およそ27年半ぶりとなる0.75%の大幅利上げを決めたのに続いて、来週の会合でも大幅な利上げに踏み切るという見方が強まっています。

イギリスのイングランド銀行も先月まで5回連続で利上げしました。政策金利は2009年2月以来、およそ13年ぶりの水準まで引き上げられました。

さらにマイナス金利政策を取り、金融緩和的なスタンスだったスイス国立銀行も先月、利上げに踏み切りました。マイナス0.75%を0.5%引き上げてマイナス0.25%にするというものです。

オーストラリアの中央銀行に当たる連邦準備銀行はことし5月に11年半ぶりとなる利上げに踏み切り、その後も利上げを続けています。

今月に入っても韓国の中央銀行が過去最大の上げ幅となる0.5%の利上げを決めたほか、カナダの中央銀行がみずから異例だと表現する1.0%の大幅利上げに踏み切っています。

新たな債券買い入れ措置の導入決定

ヨーロッパ中央銀行は、利上げによって多額の債務を抱える国の金利が上昇し市場が不安定になるのを避けるため、新たな債券買い入れ措置の導入を決めました。

イタリアやスペインなどヨーロッパ南部の国を念頭に金利上昇でリスクにさらされる国債や公的債券が対象で、具体的な買い入れの基準や規模はそのリスクの大きさによって判断するとしています。

ユーロ圏は異なる経済や財政事情を抱える19か国の集合体で、1つの金融政策のもとで利上げすると域内で分断が生じる問題がかねてから指摘されていました。

先月、ヨーロッパ中央銀行の理事会で利上げの方針を打ち出したあとイタリアやスペインなど相対的に財務基盤が弱い国の国債が売られ、金利が急上昇する事態となり、市場を安定させる措置の導入が検討されてきました。

今後、大幅な利上げを効果的に進めるためにも、ヨーロッパ中央銀行は新たな措置で市場の安定を図る考えです。

ヨーロッパ中央銀行総裁「あらゆる手段を調整する用意ある」

ヨーロッパ中央銀行のラガルド総裁は理事会後の記者会見で「インフレはエネルギー価格や食料価格の上昇などでしばらくの間、望ましくないほど高いままだろう。そして通貨ユーロの下落もインフレの要因になっている」との見方を示しました。

そのうえで「物価目標2%に向けてインフレを抑え込むため権限の範囲内であらゆる手段を調整する用意がある」として、インフレ抑制に力を入れていく考えを示しました。