ロシア軍と中国軍の艦艇 活発な動き 時間差で日本列島を周回

ロシアのウクライナ侵攻後、日本周辺でのロシア軍の艦艇の航行が相次いで明らかになっています。中でも注目を集めたのが、先月、中国軍の艦艇と時間差で行った日本列島を周回するような航行でした。

ロシア軍艦艇の動き

一連の航行の始まりは6月9日でした。

北海道の根室半島の南東、およそ170キロの太平洋でロシア海軍の駆逐艦とフリゲート艦、合わせて5隻が活動しているのを海上自衛隊が確認しました。

6日後の6月15日には、この5隻に、別の駆逐艦などを合わせた7隻が、襟裳岬の南東、およそ280キロの海域を南下しているのが確認されます。

7隻は翌16日には千葉県沖を航行し、さらに17日にかけて、伊豆諸島の須美寿島と鳥島の間を通過。

そして、2日後の6月19日には、駆逐艦1隻とフリゲート艦1隻を除く5隻が、沖縄本島と宮古島の間を北西に進み、東シナ海に入ったのが確認されます。

5隻は、2日後の6月21日には、対馬海峡を通って日本海に入り、結果的に、ロシア海軍の船団は艦艇を入れ替えながら10日余りをかけて、日本列島の周りを航行しました。

中国軍艦艇の動き

一方、中国軍の艦艇も、同じような時期に日本列島を周回するように航行しました。

6月12日から13日にかけて、ミサイル駆逐艦や情報収集艦など4隻が対馬海峡を北東に進み、日本海に入ったのが確認されます。

その後、4隻は2隻ずつ二手に分かれ、
▽ミサイル駆逐艦2隻が、6月16日から17日にかけて宗谷海峡を、
▽情報収集艦など2隻が、6月16日に津軽海峡を、
それぞれ東に向けて通過しました。

そして、6月19日には、情報収集艦を除く3隻が、宮城県沖およそ220キロの太平洋を南下しているのが確認されます。
3隻は、先に太平洋を南下していたロシア軍の艦艇と同じようなルートを通って、6月21日に伊豆諸島の須美寿島と鳥島の間を通過。

そして、6月29日から30日にかけて、沖縄本島と宮古島の間を北西に進み、半月ほどをかけて日本列島を、ほぼ1周しました。

時間差で、それぞれ日本列島を周回するように航行したロシア軍と中国軍の艦艇。

海上自衛隊で司令官を務めた元海将の香田洋二さんは「ロシアによるウクライナ侵攻以降、インド太平洋地域をめぐって同調する姿勢を強める日本とアメリカに対し、中ロの連携や海軍力を誇示するねらいがあったと思う。こうした航行は今後、増える可能性がある」と話しています。

防衛省はそれぞれの航行の目的について情報収集と分析を進めています。

自衛隊基地に米軍無人機を配備 監視態勢強化へ

東シナ海などで活動を活発化させる中国を念頭に、警戒・監視態勢を強化するため、日米両政府は、アメリカ軍の無人機を自衛隊の基地に初めて配備する方針を決め、鹿児島県にある海上自衛隊鹿屋航空基地への配備計画が進められています。

配備される無人機は

配備が計画されているのは、アメリカ軍の無人偵察機「MQ9」で、全長はおよそ11メートル、航続距離は8500キロです。

過去にはアフガニスタンやイラクでの軍事作戦に投入されたことがありますが、防衛省によりますと、今回、鹿屋基地に配備が計画されている無人機は、情報収集のための偵察型で武器は搭載しないとしています。

防衛省は7月以降、およそ2か月の準備期間を経て、無人機8機を1年間運用する計画だとしていて、準備作業にあたるアメリカ軍の関係者が20日に現地に入りました。

防衛省は、無人機の配備に伴って、アメリカ軍の関係者が最大でおよそ200人駐留し、市内のホテルに宿泊すると説明しています。

米軍の無人機配備 地元は

日米両政府は、ことし1月に行われた外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2プラス2」で海洋進出の動きを強める中国を念頭に両国の施設の共同使用を増やしていくことで一致。

鹿屋基地で現地調査を行ったうえで、ことし5月、地元の鹿屋市に対し、無人機を配備する意向を伝えました。

鹿屋市の中西市長は7月11日、安全保障上の観点などから「容認はやむをえない」として計画の受け入れを表明し、その後、住民への説明会を開いて受け入れを決めた経緯を説明しました。

鹿屋基地にアメリカ軍の部隊が長期間、駐留するのは過去に例がなく、住民からは事件や事故の発生といった市民生活への影響や、部隊駐留の長期化、それに施設の共同使用の拡大による“米軍基地化”などを懸念する声が出されました。
こうした中、鹿屋市は21日、配備の期間は1年で延長は行わないこと、国は事件や事故の未然防止に努め、発生した場合は国の責任で適切に対処すること、それに地域振興の取り組みに国が最大限協力することなどを定めた協定を九州防衛局と結びました。