【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(20日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる20日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア ラブロフ外相「ドンバス地域以外も掌握視野」

ロシアのラブロフ外相は20日に伝えられたロシアの国営通信社とのインタビューで、「今や地理的な条件は変わった。ドンバス地域だけでなく、ヘルソン州やザポリージャ州も含まれる」と述べ、プーチン政権が軍事侵攻の開始当初から掌握をねらうウクライナ東部の2州にとどまらず、南部など周辺地域の掌握も視野に入れていることを明らかにしました。

EU ロシアからの天然ガス供給 完全に止まる可能性指摘

ロシアからEU=ヨーロッパ連合の加盟国への天然ガスの供給が減っていることを受けて、EUのフォンデアライエン委員長は20日の記者会見で「ロシアはわれわれを脅迫している。エネルギーを武器として使っている」と非難し、ロシアからの天然ガスの供給が今後、完全に止まる可能性もあると指摘しました。

そしてこの冬を乗り切るために来月から来年3月までの天然ガスの使用量を15%減らすよう加盟国に提案しました。

ロシア「無人機破壊を指示」 英 “ウクライナ軍が橋を攻撃”

ロシア国防省は20日、ショイグ国防相がウクライナで戦闘を続ける前線部隊を視察したと発表しました。
ショイグ国防相は現地の司令官から戦況の報告を受けたうえで「ロシアとの国境地帯で攻撃を行うウクライナの無人機を破壊するペースを加速させるよう指示した」としていて、ウクライナ軍がロシアが掌握した地域で無人機を使って攻撃を仕掛けているとして作戦を強化するよう指示しました。
ショイグ国防相はこのところ前線部隊の視察を相次いで行っていて、18日にも現地の司令官に対し「敵側は長距離ミサイルと大砲で攻撃している」としたうえで、ウクライナ軍が使用するミサイルを優先的に攻撃するよう指示するなど、ウクライナ軍の攻撃能力をそぐねらいがあるとみられます。
ロシア軍は掌握を目指す東部ドネツク州で地上作戦を本格化させようとしていますが、一方のウクライナ軍は欧米から供与された兵器を使ってロシア側が掌握したと主張する南部ヘルソン州などで反撃を続けています。

戦況を分析するイギリス国防省は20日、ウクライナを縦断しヘルソン州から黒海につながる交通の要衝のドニプロ川で19日、ウクライナ軍が川にかかる橋を攻撃したと指摘しました。
イギリス国防省によりますと、ロシア側はヘルソン市を含むこの地域を重視していて、この橋はロシア軍にとって物資の補給や部隊を撤退させるために必要なルートだったため、今後もロシア軍がこの橋を支配し続けるかどうかはこの地域の戦況の重要な要素になると分析しています。

プーチン大統領 制裁解除を求める姿勢示す

ロシアのプーチン大統領はトルコのエルドアン大統領と会談後に行ったロシアメディアなどとの個別会見で「輸出再開に協力するが、ロシア産の穀物の輸出に関するすべての制限措置が解除されることも必要だ。国際機関との交渉ではパッケージにしていて、アメリカを含め、今のところ誰も反対していない。近い将来どうなるか見てみよう」と述べました。
欧米によるロシアへの制裁の解除を求める姿勢を改めて示した形です。

ウクライナ大統領夫人 アメリカ大統領夫人と会談 支援訴えたか

ウクライナのゼレンスキー大統領の妻オレーナ氏は19日、ワシントンのホワイトハウスでアメリカのバイデン大統領とファースト・レディーのジル氏の出迎えを受けました。
このあとジル氏とオレーナ氏が会談し、ジル氏は冒頭、ことし5月にウクライナにある避難民の受け入れ施設を訪問したことを振り返り「悲しみや痛みを感じずにはいられなかった」と述べ、避難した母子の精神的なケアについてアメリカとして検討を進めていると明らかにしました。
会談の内容は明らかになっていませんがオレーナ氏はロシアによる侵攻が続くウクライナへの支援を訴えたものとみられます。
オレーナ氏は20日、アメリカの連邦議会で演説を行うことになっています。

プーチン大統領「ノルドストリーム」について言及

ロシアのプーチン大統領はイランでの一連の会談を終えたあと、ロシアメディアなどとの個別会見に応じ、ドイツに天然ガスを送る主要なパイプライン「ノルドストリーム」について言及しました。
「ノルドストリーム」を運営するロシアの政府系ガス会社ガスプロムは、定期点検を理由に今月11日からガスの供給を停止していますが、ロシア側が、点検が終わる予定の21日以降も経済制裁を科すドイツに対し揺さぶりをかけるため、供給を再開しないのではないかという懸念が出ています。
プーチン大統領は、供給を再開するかどうかについて明言しませんでしたが「われわれのパートナーが、自分たちの失敗の責任をロシアやガスプロムに押しつけようとしているが、全く根拠がない。ガスプロムは常にすべての義務を果たしてきたし今後もそうし続けるだろう」と述べ、エネルギー価格の高騰などは欧米側に責任があると批判しました。
そのうえで「最近、ロシア産の石油の量と価格を制限しようとするばかげた話を耳にするが、ガスと同じことになる。価格が高騰するだけだ」と述べ、欧米側のさらなる経済制裁をけん制しました。また、プーチン大統領は、現在のエネルギー危機を解決するためには、ウクライナ情勢を受け、ドイツが計画を停止した新たなパイプライン「ノルドストリーム2」を稼働させる必要性にも言及し、欧米側に揺さぶりをかけるねらいがあると見られます。

EU アルバニア・北マケドニアと加盟に向けた交渉を開始

EU=ヨーロッパ連合は、バルカン半島のアルバニアと北マケドニアの2か国と加盟に向けた交渉を始めました。

EU内ではバルカン半島でもロシアの影響力が強まることへの懸念が高まっていますが、アルバニアと北マケドニアは政治や経済、司法など多くの分野でEUの高い基準を満たす必要があり、両国の加盟までに数年はかかる可能性があります。

イラン最高指導者ハメネイ師「NATOは危ない存在」

プーチン大統領は19日、イランの首都テヘランで最高指導者のハメネイ師と会談しました。ハメネイ師は、ウクライナ情勢について「市民が苦しむことを喜べない」と述べた一方、「ロシアが主導権をとっていなければ相手側が戦争を始めただろう。NATO=北大西洋条約機構は危ない存在だ」と述べ、軍事侵攻に踏み切ったロシア側の立場に理解を示しました。

アメリカなどがイランとロシアに制裁を科していることについて、ハメネイ師は「西側から制裁を受けるなか、両国の経済的な協力は互いの利益になる」と述べ、原油やガスなどエネルギー分野での協力を呼びかけました。これに対しプーチン大統領は「欧米の制裁は、原油価格の高騰や食料危機などを引き起こし、みずからを傷つけている」と述べたうえで「われわれはロシアとイランの間で自国の通貨を利用する仕組みを作り上げようとしている」と応じたとしています。

プーチン大統領 ウクライナ小麦輸出問題 打開へ前向きな姿勢

ロシアのプーチン大統領は19日、イランの首都テヘランを訪問し、同じくテヘランを訪れたトルコのエルドアン大統領とウクライナへの軍事侵攻後、初めて対面で会談しました。
会談の冒頭、プーチン大統領は、ロシア軍による黒海の封鎖でウクライナ産の小麦などの輸出が滞っている問題について「トルコの仲介の努力に感謝したい。われわれは前進した。すべての問題が解決したわけではないが事態が動くことはよいことだ」と述べ、事態の打開に前向きに取り組む姿勢を示しました。

これに対し、エルドアン大統領も「この会談の結果は世界によい影響を与えるだろう」と応じました。

この問題をめぐってはロシアとウクライナ、それに仲介役のトルコと国連を交えた4者が、今週にも大詰めの交渉を行う見通しです。会談の後の記者会見で両首脳は、問題の解決に向けた方策について具体的に言及しませんでしたが、世界的に食料価格が高騰する中、今回の会談がウクライナからの小麦などの輸出の再開につながるかどうか、今後のロシアの対応が焦点となります。

ドネツク州 集合住宅にミサイル 住民死傷

ウクライナ東部ドネツク州のクラマトルシク中心部で、集合住宅がロシア軍のミサイル攻撃を受け、少なくとも1人が死亡し6人がけがをしたと、地元の州知事がSNSに投稿しました。ロイター通信が配信した、攻撃を受けたとされる集合住宅の映像には焼け焦げた外壁や、多くの窓が壊され、部屋の中に破片が散乱している様子が写っています。
攻撃で義理の息子が重体になっているという70代の女性は「とても強い爆発を感じました。息子は車の近くにいましたが、頭を打ち、意識がありません。医師たちによると、見通しは厳しいそうです」と涙を流しながら話していました。

ロシア ウクライナ南東部ザポリージャ州をミサイルで攻撃

ロシア国防省は19日、ウクライナ南東部のザポリージャ州をミサイルで攻撃し「ナチスの施設にいたおよそ200人の武装勢力を殺害した」と主張しました。さらに、南部オデーサ州ではミサイル攻撃で欧米側が供与した兵器の弾薬庫を破壊したとして、ウクライナへの軍事支援をけん制しました。また、ロシア軍は、東部ドネツク州でも、ミサイル攻撃で装甲車や弾薬庫を破壊したと発表し、今後、州全域の掌握に向け、地上作戦を本格化させると見られています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は18日の分析で、ロシア軍がドネツク州内で、まずはウクライナ側が拠点としているスロビャンシクの周辺の町から徐々に攻勢を強めるという見方を示しています。

「ロシア軍が原発を軍事基地として使用」ウクライナ側が非難

ロシア軍による掌握が続くヨーロッパ最大規模の原子力発電所について、ウクライナの原子力発電公社エネルゴアトム社のペトロ・コティン総裁は、今月15日、NHKのオンラインインタビューに応じ、「最近、ロシア軍が原発の敷地に新たにミサイル発射装置を持ち込み、そこから攻撃している」と述べ、ロシア軍が原発に兵器を持ち込み、軍事基地として使用していると指摘しました。

また、コティン総裁は、「ロシア軍は、自分たちを守るために原発を利用している。ウクライナ軍からは原発の敷地を攻撃できない」と述べ、ロシア軍が、核燃料が保管されるなど外部から攻撃できない原発を盾にして、ウクライナ側にミサイル攻撃を行っていると非難しました。