プーチン大統領 テヘラン到着 トルコ・イランの大統領と会談へ

ロシアのプーチン大統領は、日本時間の19日夜、イランを訪問し、ライシ大統領やトルコのエルドアン大統領との会談に臨む予定です。
国際的に食料危機への懸念が強まる中、ウクライナ産の小麦などの輸出再開をめぐっても話し合う見通しで、プーチン大統領の出方が焦点の一つです。

ロシアのプーチン大統領は、日本時間の19日夜10時ごろ、イランの首都テヘランに到着し、このあと、イランのライシ大統領や最高指導者ハメネイ師との会談に臨む予定です。

一連の会談では、核開発問題を抱えるイランと欧米の経済制裁への対応について話し合い、戦略的な関係を強化したいねらいとみられます。

また、プーチン大統領は、同じくテヘランを訪れているトルコのエルドアン大統領ともウクライナへの軍事侵攻後、初めて対面での会談を行う予定です。

トルコは、国連とともにウクライナ産の小麦など、農産物の輸出再開に向けた協議を仲介していて今月13日、ロシアとウクライナを交えた4者で実務者レベルの協議を行うなど交渉は大詰めを迎えています。

国際的に食料危機への懸念が強まる中、両首脳は、小麦の輸出再開をめぐっても話し合う見通しで、プーチン大統領の出方が焦点の1つです。

一方、ロシア、イラン、トルコの3か国の首脳会談も行われ、シリア情勢などについても意見が交わされる見通しです。

プーチン大統領としては、アメリカのバイデン大統領が先週、中東を歴訪した中で、友好関係にあるイランやトルコとの連携を印象づけ、欧米側への対抗軸を鮮明にしたい思惑とみられます。

3か国首脳会談 トルコの立場は

トルコのエルドアン大統領は今回、ロシアが軍事侵攻を始めて以来、プーチン大統領と初めて対面での会談を行う予定です。

この中では、トルコが国連とともに仲介して協議を進めているウクライナ産の小麦などの輸出再開についても、意見を交わす見通しです。

また、NATO=北大西洋条約機構の加盟国でありながら、「全方位外交」を展開するトルコは、欧米諸国などが制裁を科すロシアとイランとも対話ができる関係を維持しています。

背景には両国との強い経済的なつながりがあり、特に天然ガスの輸入は、合わせて5割ほどをロシアとイランに頼っていて、自国の経済が低迷する中で両国からの安定的なエネルギー供給はエルドアン政権の生命線ともいえます。

こうした両国とのパイプをいかして欧米側との橋渡し役ともなってきたトルコが、今回の会談の中でどのような役割を果たすかが注目されます。

イランの立場は

イランはロシアによる侵攻を軍事的に支援しないとする立場を示す一方、軍事・防衛面でロシアと協力関係にあります。

17日、NHKのインタビューに応じた精鋭部隊、革命防衛隊の元司令官、キャナニモガダム氏は、イランがロシアに無人航空機を供与する準備をしているというアメリカ政府の見方について「軍事オペレーションに使われるドローンをロシアに送ることには絶対に反対だ。イランは戦争に反対している」と述べ、これまでのイランの立場を強調しました。

一方で「ドローンにはさまざまな機能がある。民生用であればロシアに供与できるだろう」と述べ、民生用の供与であれば問題がないという考えを示しました。

また、両国の関係について、イランの核施設を守るために、ロシアから地対空ミサイルシステム「S300」が配備されている点や、内戦が続くシリアなどで協力して軍事オペレーションを行っている点を踏まえたうえで「広範囲での協力が行われている。両国の防衛分野での協力は新たな時代に入ったといえる」と指摘しました。