【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(17日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる17日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領の妻 犠牲の女の子を悼む投稿

ウクライナ西部のビンニツァが14日、ロシア軍にミサイルで攻撃され、子ども3人を含む24人が死亡したことを受けて、ゼレンスキー大統領の妻、オレーナ夫人は、犠牲になった4歳の女の子を悼むコメントを、自身のフェイスブックに投稿しました。

この中でオレーナ夫人は「この素敵な女の子と出会ったのは、クリスマスに向けたビデオを撮影した時で、明るくて愛情いっぱいに育てられた女の子でした。生きている時の姿を見て下さい。私も彼女の家族とともに涙を流しています」とコメントしました。

投稿には、女の子がオレーナ夫人やほかの子どもたちと一緒にクリスマスの飾りに色を塗ったり絵を描いたりしている動画も添えられ、1500件を超える反応が寄せられていました。
中には「どれだけ人を殺せば気が済むのか。子どもたちが亡くなっていくのを見るのは耐えられない」というロシア軍への非難や「これを見ても、世界は何もしないのか」といった国際社会への不満も寄せられています。

各地でロシア軍のミサイル攻撃 市民の死者増加

ウクライナでは16日も、南部オデーサなど、各地でロシア軍によるミサイル攻撃が相次ぎ、市民の死傷者が増え続けています。専門家は、「ロシア軍は、戦線から離れた場所にも攻撃することで、ウクライナ国民の士気をくじくねらいがある」と分析しています。

ウクライナでは14日、西部のビンニツァ州へのロシア軍によるミサイル攻撃で、子ども3人を含む24人が死亡しました。

ウクライナの公共放送は、この攻撃で亡くなった4歳のリザちゃんについて詳しく伝えています。リザちゃんは、ダウン症で、生後6か月のときに心臓の手術も受けたということです。攻撃を受けたのは、母親のイリーナさんに連れられてセラピーを受けた帰りで、リザちゃんはその場で死亡し、母親も大けがをして病院で治療を受けているということです。

ロシア軍によるミサイル攻撃はほかでも相次いでいて地元当局などによりますと、16日は、南部の港湾都市オデーサで男性1人がけがをしたほか、広い範囲で火災になりました。また、北東部ハルキウ州のチュフイウにも攻撃があり、3人が死亡し、3人がけがをし、ロイター通信のまとめでは、14日以降の都市部への攻撃でウクライナ全土で合わせておよそ40人が死亡したということです。

ウクライナ国防省「ロシア軍の攻撃の約7割は民間を標的」

ウクライナ国防省の報道官は15日、ロシア軍によるウクライナへの攻撃のおよそ7割は民間施設などを標的にしていて、軍事施設などの目標に向けられたのは3割にとどまるという見方をウクライナメディアに明らかにしました。

そのうえで報道官は、発射されたミサイルを破壊することが重要で、そのためには最新鋭の防空システムといった欧米の軍事支援が必要だと改めて強調しました。

ゼレンスキー大統領「ロシアはテロリスト国家そのもの」

ウクライナのゼレンスキー大統領は15日、各地でロシア軍によるミサイル攻撃が相次いでいることについてモナスティルスキー内相から報告を受けました。

ウクライナ大統領府によりますと、このなかでゼレンスキー大統領は子ども3人を含む24人が死亡したビンニツァ州の被害状況や、ミコライウ州への砲撃で大学の建物が攻撃を受け2人がけがをしたことについても説明を受けたということです。

ゼレンスキー大統領は「ロシアは民間人を標的にし、そのふるまいはテロリスト国家そのものだ。われわれは犯罪の命令を下した者と命令に従った者を見つけ出し、罰するためにあらゆることをする」と述べました。

軍事専門家「ミサイル攻撃は国内世論への影響ねらいか」

ウクライナ軍に長年在籍した経験がある軍事専門家のセルヒー・ズフーレツ氏(54)は、ロシア軍によるミサイル攻撃がウクライナ各地で相次いでいることについて「ウクライナの人々に恐怖を植え付けることでロシアと交渉すべきだという国内世論を高め、政府への圧力につなげようとしているのではないか」と分析しています。

一方、東部ドンバス地域でロシア軍の攻撃の規模や範囲が縮小しているという見方があることについてズフーレツ氏は「ロシア軍が行っている部隊の再編は、2週間から1か月かかるのではないか。ただ、完全に休止するのではなく攻撃は引き続き行われている」と指摘しました。

一方、ズフーレツ氏は、南部でウクライナ軍が反撃の構えを見せていることについて、本格的な戦闘は始まっていないとの見方を示したうえで「南部のへルソン州を奪い返すためには2、3か月しか残されていない」と述べ、降雨量が増える季節が到来することを考慮すると時間的な猶予はあまりないとの見方を示しました。

そして、「東部の戦況次第で、南部にどれだけの兵力を振り分けられるかが決まる」として、東部の戦況が南部の戦線にも重要な意味を持つと指摘しました。

捕虜の親ロシア派戦闘員「何のために戦っているのか」

ウクライナの司法省は、NHKを含む複数の外国メディアに、所在地や戦争捕虜の顔を明かさないことなどを条件に国内にある収容所の内部を公開しました。

収容所は、もともとは刑務所でしたが、ことし2月のロシア軍による侵攻以降は戦争捕虜の収容所となっていて、15日の時点では、ロシア兵やウクライナ東部の親ロシア派武装勢力の戦闘員、少なくとも20人が収容されていました。

このうち、東部ドンバス地域で戦っていた29歳の戦闘員がNHKのインタビューに応じ「上官は、最初、戦闘は3日間で終わり家に戻ることができると話していた」と述べ、軍事作戦が短期間で終わると説明されていたことを明らかにしました。

そのうえで「何のために戦っているのか分からない。双方で多くの人が死んでいる。政治的に解決すべきだ」と語りました。

ウクライナのビソチカ副司法相「捕虜は国際人道法に基づいて」

収容所には医療やスポーツのための施設もあり、ウクライナのビソチカ副司法相はNHKに対し、「ICRC=赤十字国際委員会の訪問を受け入れるなど、戦争捕虜を国際人道法に基づいて扱っている」と強調しました。

ただ、「ウクライナ人の捕虜を取り戻すためにも、ロシア兵などの捕虜が必要だ」とも述べ、捕虜交換をめぐるロシアとの交渉を進める上でも捕虜の存在は必要だと指摘しました。