米バイデン大統領 サウジアラビア首脳と会談へ 関係改善にかじ

中東を訪問しているアメリカのバイデン大統領は日本時間の15日、世界有数の産油国サウジアラビアに移動し、首脳らと会談を行うことにしています。ガソリン価格が記録的な高値で推移する中、人権問題を理由に批判を続けてきたサウジアラビアとの関係の改善にかじを切ることになります。

中東を訪問しているバイデン大統領は15日、ヨルダン川西岸のベツレヘムでパレスチナ暫定自治政府のアッバス議長と首脳会談を行います。

会談ではパレスチナの医療機関への支援などを打ち出すことにしていて、イスラエル寄りの政策を推し進めたトランプ前政権時代に悪化した関係の改善につなげたい考えです。

その後、バイデン大統領は世界最大の原油輸出国でもあるサウジアラビアに移動し、サルマン国王やムハンマド皇太子との会談に臨むことにしています。

バイデン政権はこれまで、ムハンマド皇太子が政府に批判的なジャーナリストの殺害に関与したなどとして厳しく非難してきましたが、ガソリンが記録的な高値で推移する中、サウジアラビアとの関係の改善にかじを切ることになります。

バイデン大統領の訪問に対しては人権問題を軽視しているとの批判も出ていて、会談でムハンマド皇太子と握手するかどうかにも注目が集まっています。

また、サウジアラビアでは16日にGCC=湾岸協力会議の加盟国など産油国の首脳らとの会合にも出席して原油の増産を呼びかけることにしています。

なぜサウジアラビアと関係改善へ?

アメリカのバイデン大統領が訪問する中東サウジアラビアは世界最大の原油輸出国で、主な産油国でつくるOPEC=石油輸出国機構を主導する立場にあります。

また、OPEC非加盟の産油国を加えた「OPECプラス」と呼ばれる生産調整のグループでも、サウジアラビアはロシアとともに大きな影響力を持っています。

そのOPECプラスは2020年、原油価格の歴史的な下落を受け、大幅な協調減産に踏み切りましたが、その後は徐々に生産量を回復させ、ことしに入り、以前の生産量に迫っているとみられ、今後の生産方針の行方が注目されています。

ガソリン価格の記録的な高騰に苦しむアメリカとしては、来月に予定されるOPECプラスの生産方針の協議を前に、サウジアラビアとの関係を改善し増産に向けて協力を取り付けたい狙いがあります。

しかしサウジアラビアとしては、増産の見返りにアメリカの協力を引き出したい思惑があるとみられるものの、増産をきっかけに原油価格が暴落することにでもなれば、国家歳入が打撃を受けるだけに慎重に判断するとみられます。

記者の元婚約者「悲しみと絶望増すだけ」

サウジアラビア政府に批判的な記事を書いていたジャーナリストのジャマル・カショギ氏が、2018年にトルコでサウジアラビア当局者などに殺害された事件をめぐり、アメリカのバイデン政権はサウジアラビア政府を批判してきました。

しかし今回、事件の真相が究明されないまま、バイデン大統領がサウジアラビアを訪問し、関係改善にかじを切ることについて、カショギ氏の婚約者だったハティジェ・ジェンギズさんはツイッターに「親愛なるバイデン大統領、この訪問は正義と説明責任によって私たちの苦悩と悲しみを癒やすどころか、悲しみと絶望を増すだけだ」と投稿し、批判しています。