【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(15日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる15日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

黒海のズミイヌイ島をめぐり激しい攻防か

ウクライナ軍が、ロシア側から奪還した黒海の拠点のズミイヌイ島について、イギリス国防省は「ロシア側は、ウクライナがこの島を拠点とするのを阻止しようとしているが、ロシア軍の戦闘機は攻撃に失敗した」と指摘しています。
ウクライナ政府は、黒海のズミイヌイ島を奪還したことで、ドナウ川沿いにある港から黒海を抜けて農作物を輸出するルートが開放されたとしていますが、この島をめぐっても、ロシアとウクライナの間で激しい攻防が続いているものとみられます。

ロシア軍 潜水艦から巡航ミサイル「カリブル」発射

ウクライナ西部のビンニツァ州で町の中心部がロシア軍のミサイルによる攻撃を受け、子ども3人を含む少なくとも23人が死亡した攻撃について、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は14日、ロシア軍が潜水艦から巡航ミサイル「カリブル」を発射したとするウクライナ側の分析を紹介したうえで、「ロシアは、東部のハルキウ市や、南部のミコライウ市でも都市の住宅地への組織的なミサイル攻撃を続けている」と指摘しています。

また、ロシア軍が掌握を目指すドネツク州の状況について分析しているイギリス国防省は15日、ロシア軍がウクライナ軍の拠点のスロビャンシクとクラマトルシクを攻略するため、東側からゆっくりと進軍させ、まずは周辺の町の掌握を目指しているという見方を示しています。

北朝鮮 ウクライナの断交発表に強く反発

北朝鮮は13日、ウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州にある親ロシア派の武装勢力が事実上、支配している一部の地域を、独立国家として承認することを決定しました。

これに対してウクライナ外務省は、北朝鮮を強く非難したうえで、北朝鮮との断交を発表しました。

北朝鮮外務省の報道官は15日、国営の朝鮮中央通信を通じてウクライナ外務省の発表について談話を発表し、「国家どうしの親善を発展させるのは、主権国家の合法的な権利だ。わが国の正当な主権行使に言いがかりをつける権利や資格はない」として強く反発しました。

さらにウクライナに対して、「アメリカによる、わが国への不法な敵視政策に積極的に同調していて、正義が著しく欠如している」とも主張し、不満をあらわにしています。

北朝鮮は、ウクライナ侵攻をめぐりロシアを擁護する立場を繰り返し強調していて、ウクライナを非難することで、伝統的な友好国で、後ろ盾でもあるロシアとの連携強化を印象づけたい思惑もあるとみられます。

ウクライナ “戦争犯罪”の捜査めぐり特別法廷の設置訴え

ウクライナで行われた疑いのある戦争犯罪などの捜査を行っているICC=国際刑事裁判所があるオランダのハーグで、14日国際会議が開かれ、ICCのカーン主任検察官のほか欧米などの40を超える国から外相や大使などが出席し、ウクライナのゼレンスキー大統領とクレバ外相もオンラインで参加しました。

この中でゼレンスキー大統領は「軍事侵攻という重大な犯罪に関わる決定をした者たち全員に、処罰は免れないという原則を適用しなければならない」と強調しました。

また、クレバ外相は「ウクライナは侵略犯罪を犯したロシアを非難する。犠牲になった多くの人たちのため、あらゆる手段で正義を追い求める」と述べたうえで、ロシアの政府や軍の指導者の責任を確実に問うことができるよう、特別法廷の設置を訴えました。

終了後の記者会見では、特別法廷をめぐる質問が相次ぎ、オランダのフクストラ外相が前向きに検討する姿勢を示した一方で、ICCのカーン主任検察官は「できないことではなく、できることに集中したい」などと述べるにとどめました。

仏 革命記念日 ロシア周辺のNATO加盟国部隊がパレードで行進

フランスでは、革命記念日にあわせた軍事パレードが行われ、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、ロシア周辺のNATO=北大西洋条約機構の加盟国の部隊が招かれ、連帯をアピールしました。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中で行われたことしの軍事パレードには、バルト3国やポーランド、それにルーマニアなど、ロシア周辺のNATO加盟国の部隊が招かれ、それぞれの国旗を掲げて行進しました。

フランス政府は毎年、革命記念日の軍事パレードに同盟国や友好国の首脳などを招いていて、ことしはロシアによる軍事侵攻を受けて、NATOの連帯をアピールする場となりました。

ゼレンスキー大統領 “一刻も早くロシアに追加制裁を”

ウクライナのゼレンスキー大統領は、西部ビンニツァ州の街の中心部がロシア軍の攻撃を受けたことについて、14日に公開した動画で「たった1回のミサイル攻撃で10歳に満たない3人の子どもを含む23人が死亡した。これは、残念ながら最終的な数字ではなく、行方不明者が何十人もいると報告されている」と明らかにしました。

その上で「ロシアがテロ国家だと正式に認められなければならないことが改めて証明された。平和な街と市民の生活を毎日のように破壊することを許している国は、世界のどこにもない」と強く非難し、一刻も早くロシアに追加制裁を科すよう欧米各国に求めました。

国連事務総長 市民への攻撃を非難

ウクライナ西部ビンニツァ州の街の中心部がミサイル攻撃を受けて大勢の市民が死傷したことについて、国連のグテーレス事務総長は14日、報道官を通じてコメントを出し「がく然としている」としたうえで「市民や民間施設に対するいかなる攻撃も非難し、説明責任を求めていく」と強調しました。

ロシア メディア統制強化の改正法成立

ロシアでは14日、国内外のメディアが誤った情報や偽のニュースを伝えたとみなされた場合、一定期間の活動停止や登録の無効を命じる権限を検察トップの検事総長に与える改正法が成立しました。

対象は、ロシアの人々の生命財産や公共の秩序を脅かす誤った情報のほか、軍の信用失墜につながる情報を流したとみなされた国内外のメディアです。

また、活動停止の期間は、▼はじめは3か月以内、▼繰り返せば6か月以内と定められ、▼さらに違反が繰り返されていると判断されれば、メディアの登録が抹消される可能性もあるとしています。

さらに、外国でロシアのメディアの活動が禁止されたり制限されたりした場合は、対抗措置としてその国のメディアのロシア国内での活動を禁止または制限できるとしています。

ロシアでは、ことし3月に情報統制の強化につながる改正法が成立しましたが、ウクライナへの軍事侵攻の長期化に伴い、プーチン政権への厳しい批判を続ける海外メディアに対して合法的な活動の停止までちらつかせながら、圧力を強める姿勢を鮮明にした形です。

ロシア 軍事侵攻の長期化を見据え法整備

ロシアでは、ウクライナへの軍事侵攻のさらなる長期化を見据えて、複数の法案が議会で可決され、14日、プーチン大統領が署名し、成立しました。

成立した法律の1つは、国家への反逆行為を罰するもので、軍事行動や紛争の途中で、敵側についた場合、最大で懲役または禁錮20年の刑に処することなどが定められました。

また、国外で活動する軍や治安機関を支援するため、政府が特定の企業に対し、物資の提供を強制する法律も成立し、これによってプーチン政権はウクライナでの「特別軍事作戦」に必要な兵器の修理や物資の供給に関する需要に対応できるようになります。

国立博物館 展示品を別の場所に

ロシアによる軍事侵攻が長期化する中、ウクライナ各地の国立博物館などでは、貴重な文化財を守るため、展示品を別の場所に避難させていて、国民が自国の文化に直接触れることができない状態が続いています。

このうち、西部のリビウにある国立博物館は、1905年に開館したウクライナ最大級の博物館で、およそ18万点の書物や絵画、芸術品が収蔵されています。

しかし、ロシア軍によって文化財が破壊される被害が各地で相次いでいることから、この博物館の歴史で初めて、展示品を別の場所で保護することに決め、ことし2月から移動させてきました。

このため、キリスト教の宗教画などが展示されていた部屋でも、すべての絵が取り外されて空になっていて、再び公開できるめどは立っていないということです。