“第7波”対策 分科会 検査のさらなる活用など緊急提言案示す

新型コロナウイルスの感染急拡大を受けて、政府の対策分科会が開かれ、専門家が「第7波」への対策として、検査のさらなる活用や効率的な換気などを求める緊急提言の案を示しました。

14日の会合では、「第7波」の拡大をできるだけ抑え、医療のひっ迫を避けるために、必要な対策について専門家がまとめた案をもとに議論が行われました。

提言案では、オミクロン株の「BA.5」の拡大などで今後、入院患者や重症者が増加し、医療や介護の負担が極めて大きくなるおそれがあり、直ちに対策を取る必要があるとしています。

そして、具体的な対策として、検査をさらに活用し、国の承認を受けた抗原検査キットを薬局で簡単に買えるようにすることや、帰省で高齢者に接する人が事前に検査を受けられる体制を確保することなどを求めています。

また、効率的な換気で、飛まつや、密閉された室内を漂う「マイクロ飛まつ」や「エアロゾル」と呼ばれる、ごく小さな飛まつによる感染を防ぐことが重要だとして、空気の入り口と出口を確保して空気の流れを妨げないようにすることを求めています。

さらに、ワクチン接種の加速や医療体制の確保を求めたほか、基本的な感染対策の徹底を呼びかけています。

そのうえで、提言案では、「第7波」の感染が収束する見通しが立てば、「コロナを疾病の1つとして日常的な医療提供体制の中に位置づけるための検討を始める必要があるのではないか」とも記しています。

この案は分科会での議論を経て、緊急提言として示される予定です。

「検査の活用」

新型コロナウイルスの検査をどう活用するか、政府の分科会は高齢者施設や学校、保育所など、具体的な場面ごとの活用方法をまとめて示しました。

このうち、高齢者施設については、地域で感染拡大が起き、感染リスクが高まっている場合▼施設の職員には抗原定性検査も活用して週に2回から3回の検査を行うこと、▼施設の利用者には、帰省した親族との接触が想定されるお盆や年末年始などの節目で必要に応じて検査をすること、▼施設内で感染が確認された場合には、幅広く検査を行うとしています。

また、学校などについては、集団感染の防止を検査の目的としたうえで、▼ふだんの部活動は日頃行動をともにしているメンバーで行うことから、そのつどの検査は必要ないとしている一方、大会前や修学旅行の前には、地域の感染状況によっては健康観察とともに検査を実施することが考えられるとしています。

さらに▼校内で感染が複数確認された場合は、関係する教職員や生徒などに検査することが有効だとしています。

一方で、保育所や幼稚園などでは未就学児に検査を行うことが現実的ではないとしていて、▼保育士や教職員などが外部からウイルスを持ち込まないよう週1回程度の検査を行うとしています。

さらに濃厚接触者が業務に復帰する場合、4日目、5日目に抗原定性検査で陰性を確認した場合には5日目から復帰が可能となっていますが、事業者が業務に復帰する必要があると判断して検査を行う場合には、事業者が検査体制を確保することが必要だとしています。

「効果的な換気」

感染の拡大を防ぐための効果的な換気について、政府の新型コロナ対策分科会は具体的な方法をまとめた提言を示しました。

提言では、飛まつと密閉された室内を漂う「マイクロ飛まつ」や「エアロゾル」と呼ばれるごく小さな飛まつによる感染を防ぐことが重要だとしていて、効果的な換気のポイントをまとめています。

具体的には、室内では換気の装置がない場合、▼2つの方向の窓を開けて空気の流れを作ることや、▼ごく小さな飛まつが漂うリスクが低い場所から高い場所に向けて空気の流れを作るとしています。

その際には二酸化炭素濃度をセンサーなどでモニターし、おおむね1000ppm以下の濃度に維持できるようにするとしています。

また、飛まつの対策でパーティションを使う場合には、空気の流れを妨げないよう▼パーティションを空気の流れと平行になるよう配置するほか、▼横の人との距離を1メートル以上確保出来る場合は空気のよどみを作らないために3方向をふさがないよう求めています。

提言では、クラスターが多発した高齢者施設や学校、保育所などでは換気が不十分だったことが感染拡大の原因になったと考えられるケースが見られるとしていて、施設の特性に応じて換気してほしいとしています。