国連WFP事務局長 “来年は食料入手困難の問題発生するだろう”

ロシアによるウクライナ侵攻の影響で世界各国で食料危機が懸念される中、国連のWFP=世界食糧計画のビーズリー事務局長が、NHKのインタビューに応じ、「ことしは食料価格の高騰が貧困層を直撃したが、来年は食料が生産できず手に入らない問題が発生するだろう」と、強い危機感を示し、国際社会に協力を呼びかけました。

世界各国で食料支援を行っている、WFPのビーズリー事務局長は11日から日本を訪れていて、12日午後、都内でNHKのインタビューに応じました。

この中でビーズリー事務局長は、「紛争や気候変動、新型コロナの影響で経済が疲弊しているうえに、世界の食料庫だったウクライナから食料が供給されなくなっている。燃料や肥料のコストも高騰し、世界に嵐が吹き荒れている」と述べ、未曽有の食料危機への警鐘を鳴らしました。

そのうえで、「ことしは食料価格の高騰が貧困層を直撃したが、来年は干ばつや肥料の不足によって食料がそもそも生産できず、手に入らない問題が発生するだろう」と述べ、アフリカやアジアなど82か国で3億4500万人が深刻な食料不安に直面するとしています。

そして、「ウクライナの港の閉鎖は食料安全保障への宣戦布告だ。いままさに国連を交えトルコ、ウクライナ、ロシアが交渉している」と述べ、食料輸出の再開に向けた交渉が続けられていることを明らかにしました。

さらに、食料危機への警戒からこれまで食料を輸出していたほかの国の中にも輸出を止める動きが広がっているとして、「すでに26か国が食料の輸出を禁止していて、サプライチェーンが機能しなくなれば、貧困層だけでなく幅広い層が影響を免れない」として、食料の自由な取り引きを妨げないよう、各国に求めました。

そのうえでビーズリー事務局長は、日本は資金援助に加え農業用水の確保などの分野で貢献ができるとして、日本を含む国際社会に一層の協力を呼びかけました。