【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(10日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる10日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ドネツク州の集合住宅にミサイル攻撃 “15人死亡”

ロシア軍が完全掌握を目指して攻撃を続けるウクライナ東部ドネツク州では9日、北部の町で5階建ての集合住宅がミサイルで攻撃され、ウクライナの非常事態庁は少なくとも15人が死亡したと明らかにしました。

ドネツク州のキリレンコ知事は「住民によると9歳の子どもを含む34人が住んでいた可能性が高い。現在、救助活動が行われている」としています。

現場を撮影した映像からは、建物が大きく壊れて、がれきの山になっているなか、救助隊員たちが手や重機を使ってがれきを取り除きながら、救助活動を行っている様子が確認できます。

ゼレンスキー大統領「高精度兵器でロシアの攻撃 低下させる」

ウクライナのゼレンスキー大統領は9日に公開した動画のメッセージでロシア軍の攻撃により各地で死傷者が出ているとしたうえで「ドンバスでのロシア軍砲兵部隊の残忍な攻撃は一日たりともやまない。このようなテロ行為を本当に止めることができるのは高精度かつ強力な兵器だけだ」と述べました。

そのうえで、アメリカの国防総省が追加の軍事支援を行うと発表したことについて「アメリカに感謝したい。追加の高機動ロケット砲システム=ハイマースやその他の高精度兵器によりロシアの攻撃能力を低下させることができる」と述べて、ロシア軍への抵抗を続ける姿勢を強調しました。

ゼレンスキー大統領の出身地に砲撃 2人死亡

ウクライナ当局によりますと、中部のクリビーリフで9日、ロシア軍の多連装ロケットシステムによるとみられる砲撃があり、20歳と41歳の女性がそれぞれ死亡したということです。

ウクライナ大統領府のティモシェンコ副長官がSNSで公開した着弾の瞬間の映像では、せん光とともに大きな爆発音が響き渡り、市民はあわてて屋内に避難していました。クリビーリフはゼレンスキー大統領の出身地で、大統領は攻撃の前日にも、街を訪れ兵士をねぎらったばかりでした。

また、ウクライナ第2の都市ハルキウも9日、ロシア軍のミサイル攻撃を受け、現地からの映像では爆発音とともに市街地から黒い煙が立ち上っていました。この攻撃で12歳の少女1人を含む6人がけがをしたほか、2階建ての集合住宅の屋根が大きく崩れ落ちました。

ウクライナ側は、ロシア軍の短距離弾道ミサイル「イスカンデル」による攻撃だとして、非難を強めています。

ウクライナ侵攻に批判的発言 モスクワ区議に実刑判決

ロシアの国営通信によりますと、首都モスクワの裁判所は8日、モスクワの区議アレクセイ・ゴリノフ氏に対し、ロシア軍に関するうその情報を広め軍の信頼を失墜させたとして、禁錮7年の実刑判決を言い渡したということです。

ゴリノフ議員はことし3月、地区の議会で「隣の主権国家で敵対的な行動が行われている」などと、ウクライナへの軍事侵攻に批判的な発言をしたことを理由に4月、身柄を拘束されました。

議員の弁護士は判決を不服として控訴する方針を示しています。

プーチン政権は、軍事侵攻に反対する国内世論が高まることに神経をとがらせ、3月には、情報統制の強化につながる改正法を成立させました。

このうち刑法では「ロシアの国民の保護と平和維持のため、ロシア軍の活動について信頼できる報道を装い明らかにうその情報を拡散すること」などを新たに刑罰の対象とし、最大で懲役もしくは禁錮15年が科されることになりました。

ロシアのメディアによりますと、今回、この法律が適用されて初めて実刑判決が言い渡されたということです。

イギリス国防省「ロシア軍 増援部隊には旧式の装備」

ロシア軍の部隊について、イギリス国防省は9日「ロシアは国中から予備の部隊を移動させ、将来の攻撃作戦のためウクライナの近くに集めている」と分析しています。

一方で「プーチン大統領は7日、『ウクライナでの本格的な戦闘は始まってもいない』などと主張したが、増援部隊の多くは、その場しのぎのグループで、旧式で不適切な装備品が配備されている」とロシア軍の抱える課題を指摘しています。

これに対してアメリカの国防総省は8日、ウクライナに4億ドル、日本円でおよそ544億円の追加の軍事支援を行うと発表しました。

またウクライナのゼレンスキー大統領はアメリカ・CNNテレビのインタビューで「アメリカだけでなく、各国の指導者たちに支援を求める」と述べ、ロシア軍の大規模な攻勢に備えるため、軍事支援を強化するよう、欧米各国に改めて訴えました。