新型コロナ “第7波入り”発言も 感染確認 東京で倍増 全国も

東京都の小池知事が「第7波に入ったとも考えられる」とも発言した7日。
新型コロナウイルスの新規感染者数の発表は、東京都で8529人と前の週の2.4倍に。
全国でも4万7977人と、こちらも前の週の2倍を超えました。(午後7時半時点)

医療機関では発熱などを訴える患者が急増し、対応に追われています。
新型コロナウイルスをめぐる日本と世界の動きをまとめました。

専門家「急激な感染拡大に直面している」

7日の感染確認が8529人だった東京都。
7日までの7日間平均は5127.7人で、4月28日以来5000人を超えました。

東京都は7日、都内の感染状況と医療提供体制について専門家が分析・評価するモニタリング会議を開きました。
このままのペースで増えた場合、今月20日時点では1万5000人余りに、さらに来月3日時点では5万4000人余りになるとして「急激な感染拡大に直面している」と指摘しました。
オミクロン株のうち、感染力がより高いとされる「BA.5」の疑いがあるウイルスの割合が増えていて、置き換わりが進んでいるとしています。
そして、現在およそ5000床ある新型コロナの患者用の病床を増やすための準備に入るほか、家庭内での感染を防ぐための宿泊療養施設を今より3000室多いおよそ1万2000室に拡充する方針を明らかにしました。

東京都 小池知事「第7波に入ったとも考えられる」

会議のあと、東京都の小池知事は記者団に対し「感染は急速に拡大していて、第7波に入ったとも考えられる。強い警戒感を持って、改めて感染防止対策の徹底をお願いしたい」と述べました。
そのうえで「若い人たちには3回目のワクチン接種を行ってほしい。国には、通知が来た人や医療従事者が4回目の接種を受けられる環境を整えてほしい」と述べました。

発熱外来に患者が急増 予約枠が連日埋まる

全国的に増加が続く感染者。
大阪 中央区で新型コロナの発熱外来を開設しているクリニックでは、先週後半から受診する患者が増え始めました。
一日当たりの予約枠は15人程度で、今週に入ってからは連日埋まり、患者は20代が中心ですが、中には50代、60代もいて、のどの痛みと発熱の症状を訴えるケースがほとんどだということです。

子どもの感染増加 熱中症疑い?→ 陽性確認も

子どもへの感染も増えています。
東京 港区の小児科のクリニックの発熱外来では、先週から受診する患者の数が増え、今週は一日30人以上が訪れています。

中には保護者が熱中症を疑って受診し検査をしたところ、コロナの陽性になった子どももいたということです。
また、コロナ以外のウイルス性の感染症の患者も増えていて、いずれも発熱やせきなどかぜのような症状を引き起こす「RSウイルス感染症」や「ヒトメタニューモウイルス感染症」と診断される子どもも相次いでいます。
「クリニックばんびぃに」の時田章史院長は「一日中検査をしたり処方したりというのが続く日もあり、複数の感染症の流行を肌で感じている。さらに熱中症もあり家庭では区別が難しいと思う。もし新型コロナだった場合、軽い症状でよくなることもあるが、放っておけばほかの人にうつしてしまうおそれもあるので発熱などがあれば自己判断せず医療機関を受診してほしい。コロナを過剰に怖がることはないが子どもでも重症化するケースもあり、感染を拡大させない努力は引き続き大事だ」と話していました。

感染確認 20歳未満が3割以上を占める

国のまとめによりますと、今月5日までの1週間で新型コロナの感染が確認された人のうち、10歳未満は2万6995人、10代は2万6244人で、20歳未満の子どもや若者が全体の3割以上を占めています。
また、5歳から11歳の子どもで2回目までのワクチン接種を終えた人は、7日公表分までで127万4761人で対象の17.2%となっています。

全国では1週間前の約2倍 鳥取・佐賀では過去最多

7日の全国の感染者の発表は4万7977人で、1週間前のおよそ2倍となりました。
このうち鳥取県で219人、佐賀県で694人と過去最多の発表がありました。
沖縄県は2389人で3日連続で2000人を超え、兵庫県は2007人と4月16日以来、2000人を超えました。

【確認を!】感染者や濃厚接触者の自宅待機の期間は?

新型コロナウイルスに感染したり、濃厚接触者になったりした場合はどうすればいいのか。
国が求めている自宅待機の期間などについて、改めて整理しました。

■感染した場合

検査で陽性となった人で症状がある場合、厚生労働省は発症日を0日目として10日目が終わるまでは入院するか自宅やホテルなどで待機してもらうことにしています。
10日たっても症状が続く場合は軽快してから72時間が経過するまで入院や待機を求めます。
この間、通院や選挙などやむをえない場合を除いて不要不急の外出は控えてほしいとしています。
無症状の人は、検体の採取日を0日目として7日目が終わるまで待機が続きます。
発症した場合は、さらに10日間の待機となります。

■濃厚接触した場合

感染者と濃厚接触した人も引き続き自宅待機などが求められます。
濃厚接触者にあたるかどうかは原則として保健所が判断しますが、感染者と同居する家族のほか、マスクなどの感染対策をせずにおよそ1メートル以内で15分以上接触した人などが該当します。

一方、厚生労働省はオミクロン株の感染拡大を受け、社会経済活動を維持するためにことしに入って濃厚接触者への対応を見直しました。
以前は、会社や事業所、それに中学校や高校、大学などで感染者が出た場合、会社などが濃厚接触者を特定して自宅待機などを求めていましたが今は原則として感染者が自分で接触した人に連絡してリスクのある行動を控えるよう伝えることになっています。

一方、医療機関や高齢者施設などで感染者が出た場合は保健所が濃厚接触者を特定し、入院や自宅待機などを求めます。

保育所や幼稚園、小学校で感染者が出た場合に濃厚接触者を特定して自宅待機などを求めるかは各自治体の判断に任されています。
自宅待機などの期間も以前は14日間でしたが今は7日間に短縮されています。

具体的には接触があった感染者の発症日か検体を採取した日、または感染が判明して家庭などで感染対策を取り始めた日の中で最も遅い日を0日目とし、7日目が終わって症状がなければ待機が解除されます。

さらに、4日目と5日目に抗原定性検査キットを使っていずれも陰性であれば、その時点で待機が解除されます。

ただし、その場合も7日目が終わるまでは自分で検温などをして体調を確認し、高齢者との接触を控えることなどが求められます。

医療従事者のほか、高齢者施設や保育所の職員などのいわゆる「エッセンシャルワーカー」は毎日検査をして陰性と確認されれば、無症状でかつ、3回目のワクチン接種を受けていることなどを条件に出勤して勤務を続けられることになっています。

木原官房副長官「現時点では行動制限を行う考えはない」

感染再拡大への対応をめぐって、木原官房副長官は記者会見で「重症化防止を念頭に保健医療体制の維持・強化やワクチン接種などを着実に進めていく。今月中旬の3連休や夏休みで人と人との接触の増加が予想されるため基本的な感染防止対策と日頃の体調管理の徹底をお願いしたい」と述べました。
そのうえで、まん延防止等重点措置の適用など行動制限については「現時点では、都道府県から重点措置の適用要請はなく行動制限を行うことは考えていない」と説明しました。

一方、「県民割」に代わる観光需要の喚起策「全国旅行支援」を開始するかどうかについては「足元の状況も踏まえ、新規感染者数や病床使用率などの動向を含め総合的に見極めたうえで、今月前半に適切に判断したい。その際『県民割』の取り扱いも適切に判断する」と述べました。

日本旅行業協会会長「『全国旅行支援』早期に実施を」

「県民割」に変わる観光需要の喚起策「全国旅行支援」を政府が開始するかどうか検討していることについて、日本旅行業協会の会長を務めるJTBの高橋広行会長は7日、記者団に対し「もし全国旅行支援の開始が延期されれば、旅行そのものが感染拡大に直結しているという印象を与えかねず、非常に遺憾だ」と述べました。
そのうえで「最終的には政府の判断に従わざるをえないが、地域経済の活性化のためには早期に実施すべきだ」として、予定どおり今月前半に実施すべきだという考えを示しました。

新規感染者が “世界で3割増” WHOが警鐘

日本以外でも、このところ感染者数が増えています。

WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は6日の定例会見で、オミクロン株の「BA.4」と「BA.5」がヨーロッパやアメリカ大陸で主流となる中、世界で確認された1週間当たりの新規感染者数が2週間前に比べて30%近く増えたと述べました。
ただ、多くの国で検査態勢が縮小していることから、実際の感染者数はさらに多い可能性があるとしました。
また、ワクチンの接種は依然として、重症化や死亡のリスクを下げるのに有効だとしながらも、変異を続けるウイルスに対して効果が弱まっていることが、感染者数が増えている背景にあると指摘しました。

テドロス事務局長は「課題に立ち向かうには、世界レベル、国レベル、それに地域レベルでの行動が必要だ」と述べ、高齢者や医療従事者などへのワクチンの追加接種や、人の多い場所や換気の悪い室内でのマスク着用といった感染対策を引き続き徹底するよう呼びかけました。

韓国 感染者が1週間前のおよそ2倍に

感染者の増加は韓国でも。
韓国の保健当局の発表によりますと6日、一日に新たに確認された新型コロナウイルスの感染者は1万8511人と、1週間前と比べておよそ2倍に増加しました。
韓国では、先月には多くの日で一日の感染者が1万人を下回るなど、感染者が減少傾向にありましたが、韓国政府はここにきて「増加の傾向に転じた」との認識を示しています。
背景には、規制緩和が進む中で市民の活動量が増えていることや、オミクロン株のうち、より感染が広がりやすいとされる「BA.5」というタイプの変異ウイルスが広がりを見せていることなどが指摘されています。
さらに、観光ビザの発給も再開するなど海外との往来も活発になり、外国から感染者が流入する事例も増加傾向にあるということです。
これを受けて韓国政府は、国民に対して改めてマスクの着用や換気などの基本的な対策を徹底するよう求めたり、60歳以上には4回目のワクチン接種を呼びかけたりするなど、警戒を強めています。

中国 変異ウイルス「BA.5」相次いで確認 警戒強める

新型コロナウイルスのオミクロン株のうち、「BA.5」というタイプの変異ウイルスが中国でも今週、首都・北京などで相次いで確認されました。

北京の保健当局によりますと、5日に確認された新型コロナウイルスの感染者3人がオミクロン株のうち、「BA.5」というタイプの変異ウイルスに感染していたことがわかりました。
北京市当局は、11日からワクチンを接種している人しか博物館や映画館、ジムなどに入れないようにするとして、市民に対し改めてワクチンの接種を促しています。
一方、陝西省の中心都市、西安の保健当局によりますと、今月に入っておよそ30人の感染者が確認され、「BA.5」の変異ウイルスに感染していた人も含まれていたということです。
これを受けて当局は6日からの1週間、西安全域を対象に飲食店での食事を禁止したり、娯楽施設を閉鎖したりする措置をとったほか、幼稚園や小中学校の夏休みを前倒しするなど感染拡大への警戒を強めています。