ロシア軍 ドネツク州完全掌握に向けてウクライナ側拠点に攻勢

ロシア国防省は、ウクライナ東部ドネツク州でウクライナ側の拠点への攻撃を仕掛け、完全掌握に向けて攻勢を強めています。こうした中、ロシアのラブロフ外相は、G20=主要20か国の外相会合を前にベトナムを訪問して良好な関係をアピールし、欧米に対抗していく構えです。

ロシア国防省は、ウクライナ東部ルハンシク州を掌握したと宣言し、隣接する東部ドネツク州の完全掌握に向けて戦力を集中させ、攻勢を強めています。

戦況を分析しているイギリス国防省は6日、ウクライナ側が拠点の1つとするスロビャンシクに対し、ロシア軍の部隊が北におよそ16キロの位置に迫っているとする分析を示しました。

そのうえで、「スロビャンシクでの戦いが、東部ドンバス地域での戦況を左右する次のカギとなる可能性がある」と指摘しています。

ロシア外相 G20外相会合出席へ

こうした中、ロシアのラブロフ外相はベトナムを訪問し、6日に首都ハノイでブイ・タイン・ソン外相と会談しました。

ベトナムは、ロシアとは旧ソビエト時代から兵器の売却などで結び付きが深く、ラブロフ外相は会談後の記者会見で、「ベトナムはロシアに対する制裁に加わることを拒否するなど、バランスをとった立場を示していることに感謝している」と述べ、良好な関係をアピールし、欧米に対抗していく構えです。

さらにラブロフ外相は、7日からはインドネシアで始まるG20外相会合に出席する予定です。

欧米などが軍事支援や制裁でロシアに対する圧力を強める中、G20の場を通じて中国やインドなどとも関係を深める思惑があるものとみられます。

ドネツク州 スロビャンシクで少なくとも2人死亡

ドネツク州のキリレンコ知事はSNSでロシア軍が5日、スロビャンシクの中央市場を砲撃し少なくとも2人が死亡、7人がけがをしたと発表しました。

そのうえでキリレンコ知事は、「ロシア軍は、市民が集まる場所を故意にねらっている。完全なテロだ」と非難しました。

現場の映像では、建物から炎と大量の黒い煙が立ちのぼり、駆けつけた消防士が消火にあたる様子が確認できます。