日銀短観 急激なコスト上昇 価格に十分転嫁できず 収益圧迫

日銀が発表した、短観=企業短期経済観測調査では、企業の間で急激なコストの上昇分を製品やサービスの価格に十分に転嫁できておらず、収益が圧迫されている状況が改めて浮き彫りになりました。

日銀が1日に公表した短観によりますと、
▽大企業の製造業の仕入れ価格の動向を示す「仕入価格判断」はプラス65で、前回3月調査から7ポイント上昇し、42年ぶりの高い水準となりました。

これに対し、
▽製品の販売価格の動向を示す「販売価格判断」は、前回から10ポイント上昇し、プラス34でした。

この結果、仕入と販売の指数の差は31となり、前回からやや縮小したものの依然として開きは大きくなっています。

また、
▽大企業の非製造業の「仕入価格判断」はプラス43で、前回から8ポイント上昇し、統計開始以来、最も高くなりました。

これに対し「販売価格判断」はプラス19で、6ポイントの上昇にとどまり、仕入と販売の指数の差は前回より広がって24となりました。

製造業と非製造業いずれも、原材料などの急激なコスト上昇分を製品やサービスの価格に十分に転嫁できておらず、収益が圧迫されている状況が続いていることが改めて浮き彫りになりました。

日銀では「企業の間で値上げの動きは徐々に広がっているが、より消費者に近いいわゆる川下の企業ほど転嫁ができていない現状があり、今後の景況感に与える影響を注意深く見ていく」としています。