【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(7月2日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる7月2日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

米国防総省 “対艦ミサイルなど攻撃に効果”

アメリカ国防総省の高官は1日、記者団に対し、アメリカなどがウクライナに供与した対艦ミサイルや高機動ロケット砲システムがロシア軍に対する攻撃に効果を上げているという認識を示しました。

この高官はロシア軍が占拠していた黒海のズミイヌイ島をウクライナ側が奪還したとしていることについて、アメリカなどが供与した対艦ミサイル「ハープーン」による攻撃などがロシア軍の撤退に貢献したという見方を示しました。

また、ロシア側が攻勢を強めているウクライナ東部では、ウクライナ軍がこれまでに到着した高機動ロケット砲システム=ハイマースでロシア側の指揮所を狙って攻撃するなど、戦闘に効果的に活用しているとして「東部での戦闘における非常によい進展だ」という認識を示しました。

一方、この高官はアメリカがこの日発表した新たな軍事支援のうち、防空ミサイルシステム「ナサムス」などについては、新たに調達する必要があるため提供までに数週間から数か月かかる可能性があると説明しました。

ゼレンスキー大統領 “米の軍事支援に感謝”

ウクライナのゼレンスキー大統領は7月1日、動画を公開し、アメリカが発表した新たな軍事支援について「非常に強力な防空ミサイルシステム『ナサムス』が含まれていて、アメリカに感謝している。これはわれわれの防衛力を大幅に強化する」と述べました。

そのうえで「必要な新たな兵器についてもパートナーと積極的に交渉している」と述べ、新たな軍事支援に向け欧米各国に協力を求めていることを明らかにしました。

また、1日未明に南部オデーサ州で、9階建ての集合住宅と保養施設がロシア軍によってミサイルで攻撃されたことについて、12歳の子どもを含む21人が死亡したと明らかにしたうえで「意図的なテロであり、ミスや偶発的なものではない」と非難しました。

アメリカ ウクライナに8億2000万ドルの新たな軍事支援へ

アメリカの国防総省は7月1日、ウクライナに対して8億2000万ドル、日本円にしておよそ1100億円の新たな軍事支援を行うと発表しました。

この方針は前日にバイデン大統領が明らかにしていたもので、具体的には防空ミサイルシステム「ナサムス」2基や、高機動ロケット砲システム=ハイマースに使われるロケット弾、移動式レーダーシステム4基、最大15万発のりゅう弾砲の砲弾を供与するとしています。

このうち、防空ミサイルシステム「ナサムス」について、アメリカのCNNは首都ワシントンを防衛するために使われているものと同様のタイプだと報じています。

国防総省によりますと、アメリカによるウクライナへの軍事支援はことし2月下旬にロシアが軍事侵攻を開始して以降、合わせておよそ69億ドル、日本円でおよそ9300億円に上ります。

これは世界の軍事情勢を分析するスウェーデンのストックホルム国際平和研究所が推計した、2021年のウクライナの国防予算、59億ドルを上回る額となっています。

ユネスコ ボルシチを無形文化遺産に登録 “緊急に保護が必要”

ユネスコ=国連教育科学文化機関は、ウクライナで広く食べられている「ボルシチ」の伝統がロシアによる軍事侵攻で脅かされているとして「緊急に保護する必要がある無形文化遺産」に登録しました。

ボルシチは根菜のビーツを使ったスープで、ウクライナ全土に古くから伝わっています。

この伝統文化についてユネスコの政府間委員会は7月1日「緊急に保護する必要がある無形文化遺産」に登録しました。
ロシアによる軍事侵攻で存続が脅かされていることを理由としていて「ボルシチの調理や素材となる野菜の栽培ができなくなるだけでなく、集まってそれを楽しむコミュニティーが危険にさらされている」と指摘しています。

この審議は当初、来年行われる予定でしたが、ロシアの軍事侵攻を受けて前倒しされました。

ボルシチはロシアや旧ソビエト諸国でも食べられていて、ユネスコは今回の登録がウクライナ固有の料理と認めたものではないとしています。

ロシア “4人に1人が今後1年以上 軍事作戦続くと予想” 世論調査

ウクライナへの軍事侵攻をめぐり、ロシア国内では、4人に1人が、今後1年以上にわたって軍事作戦が続くと予想していることが、ロシアの独立系の世論調査機関の調査で明らかになりました。

世論調査機関のレバダセンターは先月23日から29日にかけて、ロシア国内の1600人余りを対象に対面形式で調査を行いました。

この中で、ウクライナ侵攻をめぐり「今後どれだけ続くか」という質問に対して「1年以上」と答えた人が27%と、前の月と比べて6ポイント増えました。

「半年から1年」と答えた人は22%で、これらを合わせると2人に1人が、さらなる長期化を懸念していることが分かりました。

一方「ロシア軍の行動を支持するか」という質問に対して「支持しない」は20%と、調査を始めたことし3月以降最も高くなり、戦闘の長期化に伴い、ウクライナ侵攻に反対する人が増えていることをうかがわせています。

レバダセンターは、政府からいわゆる外国のスパイを意味する「外国の代理人」に指定され、政権側の圧力を受けながらも、独自の世論調査活動や分析を続けています。

南部オデーサ州 ミサイル攻撃を受けた現場は

ロシア軍によるミサイル攻撃を受けた南部オデーサ州の現場を撮影した映像からは、建物が原形が分からないほどに崩れ落ちがれきの山となっている様子がわかります。

現場ではクレーンなどを使ってがれきを取り除く作業が行われています。

また、別の映像では集合住宅の一部の壁やベランダが崩れ落ちている様子が確認できます。

ほかの部分もほとんどの窓が割れ、壁が剥がれ落ちています。
消防隊員たちが建物の中で崩れたがれきを撤去している姿も見られます。

地元の住民は「近くに住んでいるので攻撃の音を聞きました。現場に駆けつけて、救急隊や地元の人たちとともに生き残った人たちを助け、亡くなった人たちを運び出しました」と話していました。