アメリカ バイデン大統領 G7などに向け欧州へ出発

アメリカのバイデン大統領はG7=主要7か国の首脳会議とNATO=北大西洋条約機構の首脳会議に出席するため、日本時間の25日夜、ヨーロッパに向けて出発しました。

各国と連携しウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアへの圧力を強化するとともに、インド太平洋地域へのNATOの関与を推進し、地域で影響力を拡大させる中国への抑止力を高めたい考えです。

アメリカのバイデン大統領は26日からドイツで開かれるG7の首脳会議と、29日からスペインで開かれるNATOの首脳会議に出席するため、日本時間の25日午後10時すぎ首都ワシントン近郊のアメリカ軍基地を大統領専用機で出発しました。

G7の首脳会議ではロシアによるウクライナへの軍事侵攻の長期化を背景に価格が高騰する食料やエネルギーの安定供給に向けて議論を主導するとともに、各国と連携しロシアへの圧力の強化とウクライナに対する持続的な支援を打ち出したい考えです。

またNATOの首脳会議ではロシアの脅威に直面するヨーロッパ東部の同盟国の防衛力を強化する方針を示し、ヨーロッパとの結束を強調することにしています。

今回の会議には日本の岸田総理大臣をはじめ、韓国やオーストラリアなどNATOの非加盟国の首脳も招かれていて、バイデン大統領としてはインド太平洋地域へのNATOの関与を推進することで、地域で影響力を拡大させる中国への抑止力を高めたい考えです。

専門家「同盟国 友好国と支援強化とのメッセージ送ること重要」

バイデン大統領のねらいについて、アメリカ国務省の元高官でシンクタンク、CSIS=戦略国際問題研究所のマックス・バーグマン氏がNHKのインタビューに答えました。

バーグマン氏は「ウクライナでの戦闘が劇的でなくなり、メディアで大きく取り上げられなくなったことでヨーロッパやアメリカ、アジアの国々では関心が低下し始めている」と指摘しました。

そのうえで「バイデン大統領はウクライナへの支援を強化すると同時に、NATOの結束を維持し、アジアの同盟国や友好国との連携に焦点を当てる。プーチン大統領がウクライナへ戦力を投入すればするほどわれわれは同盟国や友好国とともに支援を強化していくとメッセージを送ることは非常に重要だ」と述べ、軍事侵攻が長期化するなか同盟国や友好国とともに、ウクライナへの支援を続けると強調するねらいがあるという見方を示しました。

また、インド太平洋地域へのNATOの関与の推進については「中国はアジアだけでなく、世界中で軍事的なプレゼンスを高めている。アメリカはアジアの同盟国が攻撃されアメリカが軍事的な紛争に関与した場合、ヨーロッパの同盟国や友好国がともに行動することを期待している」と述べました。

そのうえで「アメリカとヨーロッパはNATOを通じて非常にうまく機能しており、互いをよく理解している。もしアメリカが中国に対抗するため、アジアの同盟国と連携するならヨーロッパの同盟国にも参加してもらいたいのだ」と述べ、バイデン政権としては地域を越えて同盟国や友好国と連携することで最大の競合国と位置づける中国への抑止力を高めたい思惑があるという見方を示しました。