ロシア軍 ルハンシク州完全掌握目指し攻勢 東部で攻防続く

ロシア軍はウクライナ東部ルハンシク州の完全掌握を目指し、攻勢を強めています。
一方、ウクライナ側は州内の拠点としてきたセベロドネツクから撤退を始めたものの、隣接する都市で抗戦する構えで、東部では引き続き、攻防が続く見通しです。

ロシア軍は東部2州のうちルハンシク州の完全掌握を目指し、ウクライナ側が拠点としてきたセベロドネツクと、川を挟んで隣接するリシチャンシクへの攻勢を強めています。

このうち、セベロドネツクからウクライナ側の部隊が撤退すると述べた地元知事は「ロシア軍はセベロドネツクの工業地帯を攻撃した」とSNSに投稿し、24日も攻撃が続いたことを明らかにしました。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は24日、ウクライナ側の部隊は数日以内にセベロドネツクから撤退するという見方を示しています。

そのうえで、「ロシア軍がセベロドネツクの掌握を試みてから3か月以上がたち、兵力と装備が疲弊している。ウクライナ軍はセベロドネツクが陥落したあともリシチャンシク周辺の防衛を維持し、ロシア軍を疲弊させ続けるだろう」と分析し、今後はリシチャンシクがウクライナ側の抗戦の中心になると指摘しました。

現在、ロシア軍はリシチャンシクの南方から部隊を進軍させ、ロシア国防省は24日、周辺の集落を相次いで掌握し、リシチャンシクを南側から封鎖していると主張しました。

イギリス国防省は25日に発表した分析で、ウクライナ側がセベロドネツクからリシチャンシクにかけて防衛線を再構築する可能性があるとして、引き続き攻防が続くという見通しを示しました。

一方、イギリス国防省は侵攻を続けるロシア軍の内情について、「6月以降、ウクライナの戦争における主要な作戦指揮官から数名の将軍が排除された可能性が高い」と指摘し、具体的には軍事侵攻の総司令官を務めていたとされる南部軍管区のトップ、ドボルニコフ氏や、空てい部隊の司令官が更迭されたという見方を示しました。

ウクライナでは戦闘が行われている各地で地雷が埋められ、非常事態庁の報道官は24日、国内のすべての地雷を除去するのに少なくとも10年はかかるという見通しを明らかにしました。

戦闘の終結に向けた道筋が見えない中、大量の地雷が市民生活に及ぼす影響も懸念されています。

州知事「ロシア軍はリシチャンシクを包囲しようとしている」

ルハンシク州のハイダイ知事は「ロシア軍は24日にセベロドネツクの工業地帯を攻撃し、リシチャンシクに南から侵入して街を包囲しようとしている」と25日、SNSに投稿しました。

また、「リシチャンシクは空爆され、セベロドネツクも砲撃を受けた。市内の『アゾト化学工場』やプラスチック工場などが攻撃された」として、セベロドネツクではウクライナ軍の撤退が始まる一方、24日の時点では依然として市内への攻撃が続いていたことを明らかにしました。