新型コロナ新規感染者 全国で横ばいも23都県では前週より増加

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、全国では横ばいで、人口の多い首都圏を含む23の都県では、前の週より多くなっていて下げ止まりの傾向が見られています。

NHKは、各地の自治体で発表された感染者数をもとに、1週間平均での新規感染者数の傾向について、前の週と比較してまとめました。

全国

大型連休明け以降、
▽5月26日までの1週間では、前の週に比べて0.87倍
▽6月2日は0.68倍
▽6月9日は0.75倍
▽6月16日は0.87倍と、
5週連続で減少傾向となっていました。

しかし23日まででは1.00倍と、横ばいになっていて、1日当たりの平均の新規感染者数は、およそ1万4248人となっています。

新規感染者数は、東京都や神奈川県など、首都圏や東北や山陰、九州など23の都県で前の週より多くなっています。

沖縄県

▽6月9日までの1週間は、前の週の0.97倍
▽6月16日は0.98倍
▽6月23日まででは0.99倍と、
3週連続でほぼ横ばいとなっています。

1日当たりの新規感染者数は、およそ1209人で、直近1週間の、人口10万当たりの感染者数は576.63人と、全国で最も多い状態が続いています。

1都3県

【東京都】
▽6月9日までの1週間は、前の週の0.78倍
▽6月16日は0.89倍と、5週連続で減少傾向となっていましたが、
▽6月23日まででは1.15倍と増加していて、
1日当たりの新規感染者数は、およそ1811人となっています。

【神奈川県】
▽6月9日までの1週間は、前の週の0.72倍
▽6月16日は0.84倍
▽6月23日まででは1.16倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数は、およそ834人となっています。

【埼玉県】
▽6月9日までの1週間は、前の週の0.70倍
▽6月16日は0.95倍
▽6月23日まででは1.09倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数は、およそ614人となっています。

【千葉県】
▽6月9日までの1週間は、前の週の0.70倍
▽6月16日は0.97倍
▽6月23日まででは1.06倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数は451人となっています。

関西

【大阪府】
▽6月9日までの1週間は、前の週の0.78倍
▽6月16日は0.85倍
▽6月23日まででは0.96倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数は、およそ1119人となっています。

【京都府】
▽6月9日までの1週間は、前の週の0.66倍
▽6月16日は0.92倍
▽6月23日まででは0.97倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数は、およそ286人となっています。

【兵庫県】
▽6月9日までの1週間は、前の週の0.78倍
▽6月16日は0.82倍
▽6月23日まででは1.01倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数は、およそ573人となっています。

東海

【愛知県】
▽6月9日までの1週間は、前の週の0.74倍
▽6月16日は0.79倍
▽6月23日まででは0.99倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数は、およそ798人となっています。

【岐阜県】
▽6月9日までの1週間は、前の週の0.79倍
▽6月16日は0.70倍
▽6月23日まででは0.72倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数は、およそ175人となっています。

【三重県】
▽6月9日までの1週間は、前の週の0.67倍
▽6月16日は0.82倍
▽6月23日まででは1.09倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数は、およそ152人となっています。

その他の地域

【北海道】
▽6月9日までの1週間は、前の週の0.74倍
▽6月16日は0.88倍
▽6月23日まででは0.81倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数は、およそ653人となっています。

【宮城県】
▽6月9日までの1週間は、前の週の0.80倍
▽6月16日は1.06倍
▽6月23日まででは0.84倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数は、およそ221人となっています。

【広島県】
▽6月9日までの1週間は、前の週の0.76倍
▽6月16日は0.81倍
▽6月23日まででは0.86倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数は、およそ330人となっています。

【福岡県】
▽6月9日までの1週間は、前の週の0.68倍
▽今月16日は0.81倍
▽6月23日まででは1.02倍となっていて、
1日当たりの新規感染者数は、およそ675人となっています。

このほか、6月23日までの1週間では、
【島根県】前の週の3.77倍
【鳥取県】前の週の1.54倍
【青森県】前の週の1.18倍
【新潟県】前の週の1.15倍
【福島県】前の週の1.14倍
などとなっています。

専門家 “基本的な感染対策徹底し現状維持を”

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は、現在の感染状況について「これまでゆっくりとした減少傾向で推移してきたが、下げ止まりの状態が見えてきている。いま以上に厳しい感染対策がとりづらい状況の中で、ここから減少していくとは考えにくく、どれだけ横ばいの状態で維持できるのかが重要になってくるのではないか」と指摘しました。

そのうえで、「これからの季節、人々の接触の機会が増え、暑くなって窓を開けて換気がしづらくなり、3回目のワクチンも時間がたつと効果が下がってくる。一度、増加し始めると、増加傾向がしばらく続くというリスクが高まっていると考えるべきだ。横ばいの状態を長く維持するため、3密を避ける、マスクを効果的に使う、換気に注意するなど、今までやってきた基本的な感染対策をもう一度考え、徹底していくことが大事だ」と話しています。

オミクロン株の「BA.4」や「BA.5」などが国内でも確認されていることについて「海外では、こうしたウイルスの増加が報告されていて、今後、国内での広がりには注意しておかなければいけない。すでに東京、大阪などで『BA.5』の市中感染とみられる事例が見つかっていて、今後、市中で広がるリスクが高いことを考えておく必要がある。どんな変異ウイルスが広がっているのかをゲノム解析などで監視し、把握していくことが重要だ」と話しています。

インフルエンザと同時流行の可能性も

インフルエンザと新型コロナウイルスの同時流行が懸念されていることについて、東邦大学の舘田一博教授は「冬を迎えているオーストラリアでは、新型コロナとインフルエンザの同時流行がみられている。この2年間は新型コロナ対策をとっていたことで、インフルエンザの流行も抑えられてきたが、それを緩めてしまうと、インフルエンザも流行してしまう。日本でも、これから夏を越えて秋冬になってくると、同時流行する可能性を考えておかなければいけない」と話しています。

そして、「この2年間、インフルエンザはほとんど流行しなかったため、インフルエンザに対する免疫が下がって感染しやすい人たちが増えていると考えられる。新型コロナとインフルエンザは、症状だけでは見分けるのは難しいので、医療機関で検査を受けて診断してもらい、適切な治療を受ける必要がある。対策としてはインフルエンザも含めて、早め早めにワクチンを接種し、マスクや手指消毒などを徹底していくことが大事だ」と話しています。