子どものベランダ転落 対策どうする?

「子どものベランダ転落、うちの手すりは高いから大丈夫」
そう思っていませんか。
実は、私たちが思っているより高い手すりでも子どもは乗り越え、転落するおそれがあります。
コロナ禍で風通しをよくしようと窓やベランダを開ける機会が増え、リスクはより高まっています。
あなたの家のベランダは大丈夫ですか?

(大阪放送局 記者 中本史)

知ってる?子どものキケン

換気で窓をあけるため春から秋にかけて増える子どものベランダからの転落事故。
NHKがその危険性を紹介する動画を公開したところ、さまざまなご意見や体験談が寄せられています。

転落しないためにはどうすれば?

寄せられた中で多かったのが「どうしたらいいのか」という声でした。
そこで、子どものベランダ事故の研究をしているNPO法人「Safe Kids Japan」の大野美喜子理事に、対策をききました。

1 高さだけでは防げない

建築基準法で定められている2階以上の手すりの高さの安全基準は110センチです。

ただ、2021年、NPOなどが行った実験で、3~6歳児の7割以上が120センチの高さを乗り越えました。その時間は、平均でわずか10秒ほどです。

また、2歳ぐらいになると、自分でいすを持ってくるなどして乗り越えようと工夫します。

大野理事は、実は高さだけでは転落防止にはならないと指摘しています。

2 足台を置かない工夫を

洗濯かごや植木鉢を足がかりに、高い手すりをのぼってしまうので、ベランダに置かないようにすることが重要だといいます。

室外機も足台になってしまいますが、ベランダに設置せざるをえないケースもよくあります。

手すりから60センチ離せばよいとされていますが、手狭なベランダだとスペースがありません。

大野理事はその場合、板を斜めにはりつけたりして、足をおけない工夫をしてほしいと話しています。

3 ベランダにネットを

導入する家庭が出てきているのが、ネットの設置です。
ホームセンターなどで販売され、設置する専門業者もいます。

はさみで切れるものであれば消防法上も問題はないですが、ネットなどの費用がかかるほか、マンションの管理会社に許可をとる必要があります。

4 ベランダに慣れさせない

このほか、小さい頃から『ベランダに出てはダメだ』と言い聞かせる方法もあります。

大野理事はプールをしたり、くつろいだり、ベランダで過ごすのが生活の一部という家庭もあり、事情はそれぞれなので、できそうなご家庭で実践してほしいと指摘しています。

5 二重ロックを

NPOが最も推奨しているのが二重ロックです。
窓の上部の子どもには届かない高さの位置に設置します。
換気のため少し開けた状態で固定できる製品もあり、インターネットや赤ちゃん用品店などで購入できます。

大野理事はだれでもすぐにできる対策なので、子どもがいる家ではぜひ試みてほしいと話しています。

新たな対策も

現在、開発中の対策もあります。
Safe Kids Japanが考案した『回転する手すり』です。
子どもがのぼろうと手すりに手をかけると、くるくると手すりが回転し、力を込められない構造です。

2022年に行われた実験では、3歳まではのぼれなかったそうですが、4歳以上では工夫してのぼろうとする姿もみられたということです。
今後、よりのぼりにくいように改良していくということです。

そして『子どもがベランダに出たら検知してアラームでお知らせする装置』です。
研究機関で開発が進められています。
実用化はまだ先で、賛同してくれる企業を募集中だということです。

窓にも注意

視聴者からの体験で「子どもが網戸を押して外側に倒れてひやりとした」とか「窓によじ登り、半身を乗り出して、歩行者に手を振っていた」といった声も寄せられました。

NPOによりますと、実はベランダだけでなく窓からも、網戸が外れて子どもが転落するケースがよくあるということです。

大野理事は、窓の下に足台になるもの置かないように、また、窓の下にベッドなど動かせない家具がある場合は、窓に二重ロックを設置してほしいと呼びかけています。

親がベランダに閉じ込められるケースも

子どもが転落する事故ではありませんが「ベランダで洗濯を干している間に、1歳の子が窓の鍵をかけてしまい、親が閉め出された」という体験が複数、寄せられました。

これについて、大野理事は「子どもは親の行動をみてまねようとする。1歳くらいには窓の鍵をかけることもできてしまう」と指摘したうえで、窓が完全に閉まらないように、例えば、スリッパやタオルなど何かを挟み込む習慣をつけてほしいと話しています。

今回、寄せられた声からは、多くの親がひやりとした体験をしたり、どうすればいいのか、悩んだりしている状況がうかがえました。

大野理事は、“親が子どもから目を離さない”ことは不可能だと言い、安全に過ごせる環境づくりが必要だと指摘しています。
Safe Kids Japan 大野美喜子理事
「荷物を受け取ったり、電話がかかってきたり、特にいまはスマホにメッセージが届いたりと、親がちょっと子どもから目を離すことは日常茶飯事にあります。ベランダからの転落は10秒程度で起こり得ると考えると、やはり、目を離す事は誰にでもありえて『全く目を離すな』というのは難しいのが実情だと思います。わずかな間、目を離しても大丈夫なよう、対策をとっておくことは非常に大事だと思います」

体験をお寄せください

NHK大阪放送局では、子どもとの日々の生活の中で、ひやっとした体験などを募集しています。投稿フォームからお寄せください。