ドイツ向け天然ガス削減で隣国も影響 ロシアへの警戒感高まる

ロシア最大の政府系ガス会社が、ドイツ向けのパイプラインを通して供給している天然ガスの量を大幅に減らすと発表する中、ドイツ政府は、ドイツを経由してガスの供給を受けるフランスなど、隣国にも影響が出ていると明らかにし、ロシアの動きに警戒感が高まっています。

ロシア最大の政府系ガス会社ガスプロムは15日、ドイツ向けの主要なガスパイプライン「ノルドストリーム」を通して供給する天然ガスの量が、設備の修理期限が過ぎたとして当初の計画よりおよそ60%減ると発表し、ドイツ側は反発しています。

ドイツ政府は、17日の天然ガスの供給状況を公表し「ノルドストリーム」を通して送られるガスの量がおよそ60%減り、ドイツとパイプラインでつながる隣国のフランス、オーストリア、チェコといった国への供給にも影響が出ていると明らかにしました。

また、フランスでは17日、天然ガスのパイプラインの運営会社が、ドイツを経由してロシアから輸入しているガスの供給が15日から止まっていると発表しました。

各国とも減少したガスは、ほかの市場から調達するなどして補えていると強調しています。

ただ、ロシアにエネルギーで大きく依存するドイツは、ガスプロムの今回の対応はガス価格を高騰させ、ドイツに経済的な打撃を加えるねらいがあるなどと非難していて、警戒感が高まっています。

イタリアも“50%削減”の連絡

ロシアからの天然ガスをドイツとは別のパイプラインで輸入しているイタリアの大手石油ガス会社ENIは17日、ロシアの「ガスプロム」からガスの供給量を50%削減するという連絡があったことを明らかしました。

イタリアは、輸入する天然ガスの40%をロシアに依存していますが、ウクライナ情勢を受けて、備蓄を増やしているほか、調達先の多角化も進めていて、イタリア政府は、供給状況を注意深く監視しながら対応を検討するとしています。