ロシアで国際経済会議 欧米の参加ほとんどなく断絶鮮明に

ロシアでウクライナへの軍事侵攻後はじめてとなる、大規模な国際経済会議が15日、始まりました。プーチン大統領が重視する恒例の会議ですが、今回の参加者は、中東、アフリカなど、ロシアと結び付きが強い国ばかりで、制裁を強める欧米との断絶が一層鮮明になっています。

ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで15日に始まった「国際経済フォーラム」は、主催団体の発表によりますと、115の国と地域から企業の代表や政府関係者などが参加する見通しです。

プーチン大統領も重視するこの会議には、かつては、安倍元総理大臣やフランスのマクロン大統領など、G7=主要7か国の首脳も出席してきましたが、今回は、例年と違って欧米からの参加はほとんどありません。

参加するのは、中東、アフリカや南米、旧ソビエト諸国など、ロシアと結び付きが強い国ばかりで、ロシアとの経済協力などを話し合う個別のセッションも、中国やトルコ、イランなどにかぎられ、制裁を強める欧米との断絶が一層鮮明になっています。

ロシア大統領府によりますと、今回は海外から参加する企業がおよそ260社にとどまったのに対して国内からは1200社を超えるなど、ロシア企業の参加が目立つということです。

ロシア大統領府の報道官は、プーチン大統領が17日に行う演説で、世界の資源価格の高騰や食料安全保障について言及するとしたうえで「非友好国がロシアに仕掛けた経済戦争で、事態が深刻化した」と述べるなど、強気の構えを崩していません。

ロシアとしては、一連の会議を通じてウクライナ侵攻を改めて正当化しながら、欧米との対抗軸を築きたいねらいもありそうです。

「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」とは

「サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」は、プーチン大統領の出身地でもあるロシア第2の都市、サンクトペテルブルクで1997年から開かれている、ロシアで最大規模の国際経済会議です。

海外の企業経営者や政府の代表などを招き、ロシアへの投資やロシア企業との合弁事業を促進するのが目的で、▽2018年には安倍元総理大臣やフランスのマクロン大統領が、▽2019年には中国の習近平国家主席が出席しました。

おととしは新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止されましたが、主催団体によりますと、去年は140以上の国と地域から、1万3000人以上が参加したということです。

しかし、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて▽欧米や日本がロシアへの制裁を強化したほか、▽外資系企業のロシアからの撤退も相次ぐ中、ことしは、欧米や日本の企業関係者の多くが参加を見合わせています。

主催団体によりますと、ことしで25回目になるのを記念して190以上の国と地域の企業や政府の代表に招待状を送りましたが、参加するのは、今月1日の時点で115の国と地域からの企業の代表や政府関係者などにとどまるということです。

フォーラムは、今月18日まで4日間にわたって開催され、中国やトルコ、イランなどと経済協力について議論するセッションが行われるほか、エネルギーや食料の安全保障も主要なテーマになっていて、ロシアの立場をアピールするものとみられます。