【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(15日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる15日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

習近平国家主席とプーチン大統領が電話会談

中国外務省によりますと、習近平国家主席とロシアのプーチン大統領は15日午後、電話で会談を行いました。

この中で、習主席は、「世界的な激動に直面しながらも中ロ関係は良好な発展の勢いを維持してきた」と指摘したうえで、中国としてロシア側と実務的な協力を安定的に推進させたいという考えを示しました。

これに対し、プーチン大統領は、「習主席の強力なリーダーシップのもとで、中国は際立った発展を遂げている」と述べたうえで、中国とともに、より公正で合理的な国際秩序を築くため、建設的な努力を行いたいという考えを示したということです。

そして、ウクライナ情勢をめぐって、習主席は、「中国は常に、ウクライナの問題の歴史的経緯を踏まえ、独立した判断を下し、世界の平和や経済秩序の安定を積極的に推進してきた」と述べ、ロシアへの制裁を強める欧米とは一線を画す対応をとってきたことを強調しました。

そのうえで、習主席は、「各国は責任ある方法で、ウクライナ危機の適切な解決を推し進めるべきで、中国は、引き続き、しかるべき役割を果たしていきたい」と述べたということです。

両首脳は、ことし2月4日に北京オリンピックの開会式に合わせて会談したあと、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まった直後の2月25日にも電話で会談していました。

ウクライナ国防次官「求めた兵器の10%しか受け取れていない」

ウクライナのマリャル国防次官は14日、地元メディアのインタビューの中で欧米からの軍事支援について「われわれが必要だと求めた兵器のうち現時点では10%しか受け取れていない。状況はとても厳しく、長く待つことはできない」と述べ、兵器の供与を加速するよう訴えました。
またロシア軍は1日にウクライナ軍の10倍近くの砲弾を使っていると指摘し「どんなにウクライナが頑張っても、どれだけわれわれの軍がプロフェッショナルでも欧米からの支援がなければこの戦争に勝つことはできない」と述べ、迅速な支援がなければ民間人や兵士の被害がさらに拡大していくという認識を示しました。

ウクライナ語や文化を学んでもらう区民講座 東京 板橋区

日本に避難してきたウクライナの人たちを地域でしっかりと受け入れていこうと、区民にウクライナ語や文化を学んでもらう講座が東京 板橋区で開かれました。
講座はウクライナから避難してきた人たちを地域で支えるために、区民にウクライナのことばや文化を学んでもらい交流を深めてもらおうと区の社会福祉協議会などが企画しました。講座にはおよそ30人が参加し、2年前にウクライナから来日して区内に住んでいるバレンティーナ・ロマノバさん(40)から「こんにちは」や「ありがとう」などのウクライナ語でのあいさつを教わっていました。またウクライナの観光地や料理などについても教わっていました。
バレンティーナさんは「ことばが通じなくても簡単なあいさつなどを通して気軽にコミュニケーションを取ってほしい」と話していました。

ウクライナから避難した大学生などが日本文化を体験

ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナから避難して前橋市の日本語学校に通う大学生などが着物でお茶会に参加しました。
ウクライナから先月群馬県に避難してきた10人の大学生などは、日本での自立を目指して前橋市の日本語学校に通っています。15日は日本語学校が学生たちに日本文化を体験してもらおうと催しを企画し、まず学校の和室で着付けの指導を受けて講師の動きをまねながら40分ほどかけて着物を着ました。
そして市内の公民館に移動して市民グループが主催したお茶会に参加し、あじさいをかたどったミント味の和菓子を食べたあと、茶わんに入った抹茶を飲み「おいしい」などと話しながら堪能していました。お茶会ではウクライナ国旗の青と黄色が塗られた茶道具の1つである「水差し」が用意されていて、学生たちはうれしそうに写真を撮っていました。
お茶会に参加したアンナ・ベルドホールドさんは「着物を着るのは初めてでとても楽しかったです。和菓子はウクライナでは食べたことがない味でしたが気に入りました」と話していました。

ユニセフ「ウクライナの3分の2近くの子どもたちが国内外に避難」

ロシアによる軍事侵攻によって多くのウクライナの子どもたちが国内外で避難生活を送る中、先週ウクライナを訪れたユニセフ=国連児童基金の欧州・中央アジア地域事務所のカーン代表が14日、ニューヨークで記者会見し「ウクライナの3分の2近くの子どもたちが自宅を追われ、国内外に避難している」と明らかにしました。カーン代表は「人口密集地や民間のインフラ施設への攻撃を止めなければならない。子どもたちが殺され、傷つけられ、通常の生活に戻ることを妨げられている」と述べ、速やかな停戦を呼びかけました。

米バイデン大統領 ウクライナの穀物輸出計画進める

アメリカのバイデン大統領は14日に演説し、ウクライナからの穀物輸出が困難となっている状況について「鉄道を利用してほかの国々を経由しながら穀物を輸出する計画を進めている」と述べ、鉄道を使ってウクライナの穀物をヨーロッパ側に運び出す計画を関係国と進めていることを明らかにしました。
またウクライナは周辺国と線路の幅が異なるため穀物を積み替える必要があるとしたうえで「ポーランドを含むウクライナとの国境付近に一時的な保管施設を建設することになる」と述べ、中継施設として周辺国に穀物倉庫を建設する考えを示しました。

ロシア軍が「人道回廊」発表

ロシア軍はルハンシク州のセベロドネツクを包囲しようと攻勢を強めていて、現地のハイダイ知事はウクライナ側が拠点とする「アゾト化学工場」について「およそ500人の市民が残っていて、そのうち40人は子どもだ」として危機感を示しています。
こうした中、ロシア国防省は14日の声明で「アゾト化学工場」から市民を避難させるための「人道回廊」を現地時間の15日午前8時、日本時間の15日午後2時から設置すると発表しました。セベロドネツクから北に50キロ余り離れたロシア側が掌握しているスバトボに向けて市民を安全に避難させる計画だとしています。

ウクライナ側 軍事支援の強化を訴え

ウクライナのレズニコフ国防相はメディアのインタビューで「一部の戦闘地域ではロシア軍の火力がウクライナ軍の10倍ある。兵器さえもらえれば任務を遂行する」と呼びかけました。
15日にはベルギーの首都ブリュッセルでウクライナを支援する関係国が会合を開く予定で、アメリカのオースティン国防長官がレズニコフ国防相と現地で会談する意向を示しています。ウクライナ側としては兵器や弾薬が不足している窮状を訴え、軍事支援の強化を求めたい考えとみられます。

ゼレンスキー大統領「ドンバス地域で持ちこたえることが重要だ」

ウクライナのゼレンスキー大統領は14日、新たに公開した動画でロシア軍が完全掌握を目指す東部ルハンシク州などについて「最も激しい戦闘はセベロドネツクとその近郊のすべての都市や地域で以前と同様に行われている。残念ながら損失は痛ましい」として厳しい戦いが続いているという認識を示しました。そのうえで「ドンバス地域で持ちこたえることが重要だ。敵がそこで損失を出せば出すほど侵略を続ける力は弱まる。ドンバス地域は今後数週間で誰が優位に立つかを決定する鍵になる」と述べました。
またロシア軍のミサイル攻撃を一部しか迎撃できず犠牲者が出ているとして「ウクライナにはミサイルに対抗する最新の兵器が必要だと支援国に言い続けている。わが国にはまだ十分なレベルのものがないが、今まさにそのような兵器を必要としていて、その供与の遅れは正当化できない」として迅速な軍事支援の必要性を強調しました。

ウクライナ ロシア軍の戦争犯罪立証へ 証拠集め続ける

ウクライナではロシア軍の戦争犯罪を立証するための捜査が進められ、ロシア軍が一時占拠した首都キーウ近郊の町では警察や検察が証拠集めを続けています。首都キーウ近郊のホストメリでは侵攻が始まったことし2月24日にアントノフ空港がロシア軍に襲撃され、すぐ近くにある集合住宅も砲弾や銃撃で大きく破壊されました。
検察によりますと、ホストメリではこれまでに86人の死亡が確認されているほか、多くの人の行方がわからないままで、地元の検察当局はロシア軍の戦争犯罪を裁判で明らかにするため捜査を進めています。警察官や検察官は集合住宅でロシア軍の兵士が残したとみられる銃弾のケースや食料の容器などを証拠品として回収していました。

ロシア 英ジャーナリストや軍事関係者に入国禁止措置

ロシア外務省は14日、声明を出し、イギリスのジャーナリスト29人と軍事関係者20人に対しロシアへの入国を禁止する措置をとると発表しました。イギリス政府がロシアの報道関係者や軍事関係者などに制裁を科したことへの報復措置だとしています。
報道関係者のリストにはイギリスの公共放送BBCのデイビー会長や、有力紙「ガーディアン」の編集長のほか、イギリスメディアの記者が含まれていて、ロシア外務省は「ロシアやウクライナ、ドンバス地域での出来事についてうその情報を意図的に流している」などと一方的に主張しています。

ロシアのガス会社 ドイツ向けパイプラインの供給量を減らす

ロシア最大の政府系ガス会社ガスプロムは14日、ロシアからドイツへの主要なガスパイプライン「ノルドストリーム」を経由する天然ガスの供給量をおよそ40%減らすと発表しました。ガスプロムはドイツの会社が手がける設備の修理に遅れが生じている影響だと説明しています。これについてドイツに本社があるシーメンス・エナジーの広報担当者は「ノルドストリーム」で使われるタービンの1つについて、ロシアに対する制裁の影響で整備を行ったカナダの工場から現地に戻せなくなっていると明らかにしました。