「みんなの畑」育てているのは野菜だけじゃない

大阪・茨木市の中心部の一角に、ちょっと変わった畑があります。
その名も「みんなの畑」

育てているのは、野菜だけではありません。

災害に備える地域のつながりや、コロナ禍で失われかけていた子どもたちの元気も育てようとしています。

(大阪放送局 記者 井上幸子)

みんな集まる「みんなの畑」

茨木市役所にほど近い住宅街の一角にある、20メートル四方ほどの畑。
「みんなの畑」と呼ばれているこの場所に、ことし5月、子どもから大人までおよそ50人が集まりました。
この日はみんなで協力して、さつまいもやナスなどの苗を植えました。
子ども
「みんなで収穫して食べたりするのが、楽しい、嬉しい」

母親
「なかなか人と関われる機会があまりないので、こういうところに来て、親も子も人とも関わってちょっと気が楽になる」

大学生
「子どもといっしょに遊べて楽しいです」

大阪北部地震で壊れた住宅の跡地に

この畑のあった場所には、もともと古い民家が建っていました。
しかし4年前に大阪北部で起きた震度6弱の揺れを観測した地震で屋根などが壊れたため、解体され、更地になりました。

子どもたちのために

土地の所有者の木村三津子さんは、自身も高齢になったこともあり、更地になった場所に再び新たな建物を建てるのではなく、これからの子どもたちのために使って欲しいと、地域で子育て支援を行う団体「シェアリンク茨木」に相談しました。

そしておととし、木村さんが趣味にしている畑を子どもたちと一緒に作ることになりました。

畑で人とつながる

目指したのは畑仕事をしながら、人とつながること。
地域の子ども達などに声をかけ、畑作りを始めました。
近くの高校の生徒や教員、ボランティアの大学生など参加者は徐々に増えています。
土地の所有者の木村三津子さん
「いまコロナでなかなか人と集まることが出来ない状況ですが、屋外なので集まりやすい。子どもの笑う声が聞こえるのがいちばん嬉しいです」
畑の管理を行う「シェアリンク茨木」の辻由起子代表は、畑で体を動かしながら作業をすることで人と人とがつながりやすくなると感じています。
辻由起子代表
「特にルールがあるわけではなく、来られるときに来られる人が来てお世話をしています。農作業はいろんな作業が必要で、それぞれに自分の役割を見つけられるし、知らない人同士でも自然とつながっていく」

畑で元気になる

みんなの畑に集まることで、元気になった子どももいます。

中学3年生の石河浩幸さんです。
軽度の発達障害がある石河さんは、新型コロナの影響による休校などをきっかけに家に閉じこもりがちになり、学校にも行きづらくなりました。

いつもと違う、ということが苦手で、コロナの「非日常」という感じがしんどかったといいます。

そんなとき、畑に来ないかと声をかけられた石河さん。
畑づくりをしながら地域の人たちと交わるうちに落ち着いてきたそうです。
いまでは子ども班のリーダーとして活躍し、学校にも通えるようになりました。

石河さん
「コロナはしんどかったけど、この畑でちょっとしたことをするとなんだか落ち着きました」

石河さんの母親・愛子さん
「外に出るモチベーションになりましたし、畑で働くことで人の役に立っていると感じさせてくれたようです。作業しながらみんなと話すのも嬉しいようです」

畑には、孤立しがちな親子や発達障害の子どもなども多く集まるようになりました。

“つながる畑”防災にも

この畑では植え付けや収穫で集まるたびに、防災教室も開いています。

この日はアルファ化米を作りながら、4年前の地震の被害などについても振り返りました。茨木市では1週間ほどガスが止まり、食事に困った人も多くいたためです。

災害時には避難場所としてこの畑に集まったり、畑の作物を食べたりして活用できると期待しています。

辻さんは、畑でできたつながりが、地震など、いざという時の支えになると感じています。

辻由起子代表
「災害時に備蓄があったとしてもひとりぼっちはしんどい。誰かとつながっていることがいちばんの支えになる。畑を中心に地域の人が集まって声をかけあうつながりを作っていけたら」

野菜以外も育ってます

「みんなの畑」でできた作物は子どもたちと収穫して食べるほか、近くの子ども食堂にも提供しているということです。

知らない人同士でも打ち解けやすくなる。

人とコミュニケーションをとるのが苦手な発達障害がある子どもたちも作業をしながら自然に話ができる。

「みんなの畑」での体験は、野菜だけでなく地域のつながりも大きく育てているようです。

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