ウクライナ東部2州で攻防戦 ロシアは支配の既成事実化強める

ロシア軍はウクライナ東部2州で軍用機による爆撃を続けるなど攻勢を強めていて、抵抗するウクライナ軍との間で各地で激しい攻防戦となっています。

ロシア軍はウクライナ東部2州の完全掌握を目指して攻勢を強めていて、このうちルハンシク州では、ウクライナ側の主要な拠点とされるセベロドネツクの大半の地域を掌握したとみられます。

ルハンシク州のガイダイ知事はセベロドネツクについて3日、SNSで「われわれはこれまでにおよそ20%を取り返した」と述べましたが、4日には「ロシア軍は街への攻撃を続けており、市街戦が続いている」として、激しい戦闘のため住民に食料や医薬品を届けることができないと訴えました。

またイギリス国防省は4日、最新の戦況について「ドンバス地域ではロシア軍の軍用機が誘導弾と精密な誘導ができない爆弾の両方を使用した爆撃を行っていて、活動が依然として活発だ」としたうえで「精密な誘導ができない爆弾の使用が増えたことで市街地が広範囲にわたって破壊され、かなりの巻き添えの被害や民間人の犠牲が出ているのはほぼ間違いない」と指摘しています。

一方、抵抗を続けるウクライナ軍もルハンシク州や南部ヘルソン州の一部で押し戻しているもようで、各地で激しい攻防戦が続いています。

こうした中、ロシアは掌握したとする地域で支配の既成事実化を強めています。

ヘルソン州の親ロシア派勢力の幹部ストレモウソフ氏は3日、ロシアメディアに対し、住民がロシア国籍を取得する手続きを行う施設がヘルソンに設置され、これまでにおよそ1500件の申請があったと主張しました。

今後、こうした施設を増やすとしていて「ヘルソンはロシアの不可欠な一部となり、誰もこれを防ぐことはできない」と述べました。

またプーチン大統領の側近の1人で首都モスクワのソビャーニン市長が3日、親ロシア派勢力が事実上支配するルハンシク市を訪れ、現地の学校などを視察しました。

ソビャーニン市長はSNSで「大統領の指示だ」と強調したうえで、今後ルハンシクやドネツクで人道支援やインフラの復旧の支援を行うと主張し、ロシアによる支配を誇示するねらいがあるものとみられます