参院予算委 集中審議 ウクライナへの軍事侵攻などで論戦

参議院予算委員会では、集中審議が行われました。
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐって、岸田総理大臣は、プーチン大統領の強硬な姿勢が変わらない中、強い制裁とウクライナへの支援が大事だとして、現時点でプーチン大統領との会談は予定していないと説明しました。

自民 片山元地方創生相 物価上昇への対応について

自民党の片山元地方創生担当大臣は「物価上昇は諸外国と比べれば低いが、今までの日本の水準から見れば高く、先行きは油断できない。岸田内閣として、どう対応していくのか」と質問しました。

岸田総理大臣は「日本では、ガソリンや小麦の国内価格、それに、家庭向けの電気代の上昇を抑える政策が寄与している。今後の不透明な事態に備えて5.5兆円の予備費を確保していて、去年11月の79兆円の経済対策とことし4月の13兆円の総合緊急対策、そして今年度の補正予算を切れ目なく実行していくことで国民生活を守っていく」と述べました。

立民 福山氏 ウクライナ避難民の受け入れについて

立憲民主党の福山哲郎氏は、ウクライナからの避難民の受け入れに関連し「戦争や内戦で逃げてくる状況は、アフガニスタンやシリア、ミャンマーも同じだ。ウクライナだけ特別で、ほかの国から来た人は相変わらずシャットアウトという話は国際社会に認められない」とただしました。

岸田総理大臣は「ウクライナの避難民への対応は緊急措置として取り組んでいて、それ以外と一概に比較できるものではない。一方、人道的な観点から法務省で、難民に準じた保護の仕組みの創設や制度の在り方の検討を進めていて、補完的な保護措置制度をしっかり考えていきたい」と述べました。

公明 秋野氏 コロナワクチンの生産や開発について

公明党の秋野公造氏は、国内での新型コロナワクチンの生産や開発をめぐり「新型コロナの変異株がこれからまだ出てくるかもしれず、国内で信用できるワクチンを持っておくことは非常に重要だ。どう取り組むのか」と質問しました。

岸田総理大臣は「国内で質の高いワクチンを開発し、生産できる体制を確立しておくことは危機管理上も極めて重要だ。政府としてさまざまな企業とコミュニケーションを図りながら、国内でのワクチンの開発や生産の基盤整備を後押ししていきたい」と述べました。

国民 礒崎氏 国際的なルールづくりについて

国民民主党の礒崎哲史氏は、国際条約や製品の規格を含めた国際的なルールづくりを日本が主導する必要性について「日本が非常に弱い分野であり、政府全体で取り組むため『ルール形成担当大臣』という専門のポストを設けるべきではないか」と求めました。

岸田総理大臣は「世界で保護主義的な動きが広がる中、安全保障の観点も踏まえ、ルールにもとづく国際経済秩序の強化を図っていく必要がある。国際的なルールといっても自動車や金融、医療などがあり、担当大臣の設置は考えていないが、政府全体として国際ルールづくりに取り組んでいく姿勢は大事にしたい」と述べました。

維新 音喜多政調会長 経済の下支え策について

日本維新の会の音喜多政務調査会長は、経済の下支え策をめぐって「時限的にGDP=国内総生産の需給ギャップを埋める範囲内で、減税策を用いることは安定した社会保障の実現を毀損するものではない。経済対策として時限的な消費税の減税を行うべきだ」と質問しました。

岸田総理大臣は「消費税が社会保障の安定財源という点と、消費税率を動かすことになればシステムなどを変えなければならなず、中小企業や零細企業の負担や準備期間を考えるとなかなか難しい。GDPの需給ギャップを埋める方法として消費税減税は考えていない」と述べました。

共産 山添氏 「桜を見る会」前日夜の懇親会について

共産党の山添拓氏は「桜を見る会」の前日夜に開催された懇親会をめぐり「大手飲料メーカーのサントリーホールディングスは『開催は安倍事務所から教えて頂き、多くの方が集まる会だとお聞きし、製品を知ってもらういい機会だと考え、協賛した』と回答している。安倍元総理大臣に説明し直してもらう必要があると思うが、いかがか」とただしました。

岸田総理大臣は「関係者が説明することが基本だ。個別の案件について私の立場から申し上げることは控える。いずれにせよ、少なくとも私の内閣においては『桜を見る会』を開催することは考えていない」と述べました。

岸田首相「現時点でプーチン大統領との会談は予定していない」

また、岸田総理大臣は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をめぐって「みずからを正当化するプーチン大統領の強硬な姿勢が変わらない中、まずは強い制裁とウクライナへの支援が大事だ。直接、働きかける前に、国際社会の一致した強いメッセージを発することに専念する」と述べ、現時点でプーチン大統領との会談は予定していないと説明しました。