EU ウクライナの穀物 陸路での輸出取り組み 加速で合意

EU=ヨーロッパ連合は首脳会議でウクライナ情勢を受けた食糧危機への対応などについて協議し、ロシアに港を封鎖され輸出できなくなっている穀物を陸路でEU域内に運び、輸出する取り組みを加速させることなどで合意しました。

EUはベルギーのブリュッセルで2日間にわたって首脳会議を開き、2日目の31日はウクライナ情勢を受けた食糧危機への対応や、エネルギー分野におけるロシア依存からの脱却などについて協議しました。

EUはこれまで、ロシアに港を封鎖され輸出できなくなっているウクライナの穀物などを、隣国でEU加盟国のルーマニアなどに陸路で運び、港から輸出する方針を打ち出していますが、首脳会議では輸出の本格化に向けた各国間の連携を加速させることで合意しました。

さらに会議後の記者会見でEUのフォンデアライエン委員長は、一部の国で農産品の輸出を禁止し国内向けの供給を優先させる動きが出ていることを念頭に「加盟国や国際社会は輸出制限をすべきではない」と述べ、食糧危機の解決に向けて各国が足並みをそろえるべきだと強調しました。

そのうえで「中長期的には、新たな技術を活用してアフリカでの食料の生産性を高めるなど、よりよい戦略を立てる必要がある」と述べ、6月中旬にエジプトを訪れ、シシ大統領と協議する考えを示しました。

フランス マクロン大統領「さらなる制裁を排除しない」

フランスのマクロン大統領はEU=ヨーロッパ連合の首脳会議のあと、記者団に対し、各国がロシア産の石油の輸入禁止で合意したことを歓迎したうえで「さらなる制裁を排除しない」と述べ、ロシアに軍事侵攻をやめさせるためにはさらなる制裁を科すこともありうるという考えを示しました。

またマクロン大統領は、軍事侵攻の影響で世界的に穀物価格が高騰する中、ウクライナからの穀物の輸出を可能にするため、南部オデーサの港の封鎖を解除するようロシアに求める国連決議を提案する考えを示しました。

プーチン大統領にも5月28日、ドイツのショルツ首相とともに行った電話会談で直接その考えを伝え、現在、ロシア側の反応を待っているということです。