ゼレンスキー大統領 “東部で劣勢 欧米各国の軍事支援を”

ロシア軍はウクライナ東部ルハンシク州で、全域の掌握をねらって攻勢を強めています。ウクライナのゼレンスキー大統領は「情勢はことばで表せないほど厳しい」と、東部で劣勢に立たされているとしたうえで、欧米各国によるさらなる軍事支援の重要性を強調しました。

ウクライナ東部2州の掌握をねらうロシア軍は、このうちルハンシク州で、ウクライナ側の最後の拠点とされるセベロドネツクを包囲しようと部隊を進めています。

ロシア国防省は28日、セベロドネツクから西におよそ40キロ離れた戦略拠点の1つ、ドネツク州のリマンを支配下に置いたと主張し、ロシア側がリマンを足がかりにさらに進軍する可能性が指摘されています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は28日に公開した動画で、ロシア軍の攻撃がセベロドネツクなどいくつかの町に集中し、これに対しウクライナ軍が持ちこたえているとしながらも「情勢はことばで表せないほど厳しい」と述べ、東部で劣勢に立たされているという見方を示しました。

そのうえで「ウクライナ軍は技術的にも攻撃能力的にもロシア側を上回る局面に近づいている。ただ、それはウクライナのパートナーたちがわれわれの自由を守るために必要なものを提供する用意がどれだけあるかにかかっている」と述べ、欧米各国によるさらなる軍事支援の重要性を強調しました。

一方、ロシアのプーチン大統領は28日、フランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相との3者による電話会談を行いました。

ロシア大統領府によりますと、この中でプーチン大統領は、欧米によるウクライナへの相次ぐ兵器の供与について「事態のさらなる不安定化と人道危機の悪化を招くおそれがある」と警告しました。

また、マクロン大統領とショルツ首相が南部の黒海に面する港の封鎖を解除するよう求めたのに対し、プーチン大統領は「ウクライナからの輸出を含め、穀物輸出が妨げられないような選択肢を見つけることに貢献する用意がある」と伝えるとともに、世界的な食糧危機を招かないためにもロシアへの制裁の解除が必要だと改めて主張しました。