プーチン大統領 欧米からウクライナへの兵器供与について警告

ロシア軍はウクライナ東部ルハンシク州の全域の掌握をねらって攻勢を強めています。こうした中、プーチン大統領はフランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相との電話会談を行い、欧米からウクライナへの相次ぐ兵器の供与について「事態のさらなる不安定化と人道危機の悪化を招く」と警告しました。

ロシア軍はウクライナ東部2州のうちルハンシク州全域の掌握をねらって、ここ数日、ウクライナ側にとって州内で最後の拠点とされるセベロドネツクを包囲しようと部隊を進めています。

ロシア国防省は28日、セベロドネツクから西におよそ40キロ離れた戦略拠点の1つ、ドネツク州のリマンを支配下に置いたと主張しました。

イギリス国防省はロシア軍がリマンを足がかりにセベロドネツクへさらに進軍する可能性を指摘していて、ロシア軍が東部で攻勢を強めています。

徹底抗戦の構えを崩さないウクライナのゼレンスキー政権が欧米からの軍事支援の強化を求めるなか、レズニコフ国防相は28日、国防省の公式サイトで、対艦ミサイル「ハープーン」が供与されるとして、「黒海を解放して安全を取り戻し、オデーサを確実に守ることにつながると確信する」と自信を示しました。

「ハープーン」は、ロシア軍の艦船が南部の黒海の港を封鎖するなどして海上輸送を妨害し、ウクライナからの穀物輸出が滞る中、デンマークが供与を表明していました。

一方、ロシアのプーチン大統領は28日、フランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相との3者による電話会談を行いました。

ロシア大統領府によりますと、この中でプーチン大統領は、欧米によるウクライナへの相次ぐ兵器の供与について「事態のさらなる不安定化と人道危機の悪化を招くおそれがある」と警告しました。

また、マクロン大統領とショルツ首相が港の封鎖を解除するよう求めたのに対して、プーチン大統領は「ウクライナからの輸出を含め、穀物輸出が妨げられないような選択肢を見つけることに貢献する用意がある」と伝えるとともに、世界的な食糧危機を招かないためにもロシアに対する制裁の解除が必要だと改めて主張しました。