ロシア ウクライナ東部リマン掌握と主張 さらに進軍の可能性も

ロシア軍はウクライナ東部2州のうちルハンシク州の完全掌握に向けて州内最後の拠点ともされるセベロドネツクへの攻勢を強めています。こうした中、ロシア国防省はウクライナ東部のドネツク州リマンについて「全域を掌握した」と主張し、ここを足がかりにウクライナ軍の東部の拠点へさらに進軍する可能性も出ています。

ロシア軍はウクライナ東部ルハンシク州の95%をすでに掌握したとみられ、全域の掌握に向けてウクライナ側の州内最後の拠点ともされるセベロドネツクを包囲しようと部隊を進めています。

ロシア軍に抵抗するルハンシク州のガイダイ知事はセベロドネツクの状況について28日、SNSでロシア軍を一部の地域から押し戻していると強調したうえで「敵は至近距離から激しく砲撃し、市街戦が始まったところもある」と明らかにしました。

また、ドネツク州のキリレンコ知事はSNSで、ロシア軍による攻撃で27日、市民5人が死亡し、4人が負傷したと発表しました。

こうした中、ロシア国防省は28日の発表で、ウクライナ東部のドネツク州リマンについて「全域を掌握した」と主張しました。リマンはウクライナ東部の鉄道の重要な拠点とされる戦略的にも重要な場所で、南側にはウクライナ軍の東部の拠点にもなっているクラマトルスクやスラビャンスクなど、ドネツク州の主要都市があることからロシア軍は攻勢を強めていました。

また、イギリス国防省も28日、ウクライナでの最新の戦況分析で「ロシア軍は27日までにドネツク州北部リマンのほぼ全域を掌握した」としています。そのうえで「ロシア軍のねらいはリマンから東に40キロのセベロドネツクだ。これから数日間、ロシア軍の部隊はドネツ川を渡ることに力を入れるとみられていて、リマンを掌握することはロシア軍にとって有利となる」として、ロシア軍がリマンを足がかりにウクライナ軍の東部の拠点へさらに進軍する可能性を指摘しています。

また、イギリス国防省は「ウクライナ軍は統制がとれた防衛作戦を続けていて、ロシア軍に多くの死傷者が出ている」として、ウクライナ側による抵抗も続いているとしています。

一方、ロシア国防省は北西部のバレンツ海で海上発射型の極超音速ミサイル「ツィルコン」の発射実験を行い、成功したと28日、発表しました。

ロシアは、北欧のスウェーデンとフィンランドがNATO=北大西洋条約機構への加盟を申請したことに強く反発していて、今回の実験は両国をけん制するねらいもあるとみられます。