ロシア軍 東部ルハンシク州 完全掌握目指し拠点包囲へ部隊前進

ロシア軍は、ウクライナ東部ルハンシク州の完全掌握を目指し、ウクライナ側が拠点とするセベロドネツクを包囲しようと、部隊を前進させています。さらに隣接するドネツク州でも、北部の町を掌握するなど攻勢を強めています。

ロシア軍は、ウクライナ東部ルハンシク州の95%をすでに掌握したとみられ、現在は、全域の掌握に向けて、ウクライナ側の州内最後の拠点ともされるセベロドネツクを包囲しようと部隊を前進させています。

イギリス国防省は27日、セベロドネツクの南にあるポパスナの周辺で、ロシア軍がいくつかの村を占領するなど、圧力を強めていると指摘しました。

ロシア軍に抵抗するルハンシク州のガイダイ知事は27日、SNSで「われわれは防衛のための十分な力を持っているが、ロシア軍の包囲を避けるためには、撤退しなければならなくなる可能性もある」として、今後の戦況によっては撤退もあり得るとの考えを示しました。

ロシア軍は、ルハンシク州に隣接する東部ドネツク州でも攻勢を強め、親ロシア派の武装勢力は27日、ロシア側が州北部の町リマンを掌握したと主張しました。

これについて、ウクライナ大統領府の顧問を務めるアレストビッチ氏は26日、「われわれはリマンを失った。ロシア軍の戦術的なレベルが上がっている」と述べました。

ロシア大統領府によりますと、こうした中、プーチン大統領は27日、オーストリアのネハンマー首相と電話で会談し、ウクライナ情勢について意見を交わしました。

黒海に面したウクライナ南部の港をロシア軍が封鎖しているため、ウクライナからの穀物輸出が滞り、世界的な穀物価格の高騰を招いているという批判が高まっていることについて、プーチン大統領は「ロシアに責任を転嫁することは根拠がない」と、強調したということです。

そのうえで、「欧米の対ロシア制裁が原因だ」と述べたということで、制裁を解除するよう主張したとみられます。

各国で食糧危機への懸念が強まる中、プーチン大統領としては制裁の解除を目指し、欧米諸国に揺さぶりをかけるねらいがあるとみられます。