ロシア軍 ウクライナ東部で攻勢強める 攻防激化で被害拡大懸念

ロシア軍はウクライナ東部2州のうちルハンシク州で全域の掌握をねらって、ウクライナ側の最後の拠点とされるセベロドネツクを包囲しながら攻勢を強めています。
今後、攻防が激しくなり、被害が拡大することが懸念されています。

ロシア軍はウクライナ東部のルハンシク州で全域の掌握をねらって、中心都市セベロドネツクを包囲しながら攻勢を強めていて、親ロシア派の指導者は州の95%を掌握したと主張しました。

セベロドネツクの当局者はイギリスの公共放送BBCに対し、ここ数日で市内の住宅の9割が破壊され、今もおよそ1万3000人が地下や避難所に身を寄せていると話しています。

ルハンシク州の知事は「今週が決定的なものになるだろう」と述べ、ロシア側との攻防が重要な局面に差しかかっているという認識を示していて、攻防が激しくなり、被害が拡大することが懸念されています。

また、ルハンシク州の北西に位置するハルキウ州のシネグボフ知事は26日、ウクライナ第2の都市ハルキウでロシア軍の砲撃により7人が死亡し、9歳の子どもを含む17人がけがをしたと明らかにしました。

ロシアが掌握したと主張する地域では支配の既成事実化が進んでいて、国営タス通信は、東部の要衝マリウポリで26日、ロシア政府が大型モニターを備えたトラックを中心部に運び込んで国営テレビのニュース放送を始めたと伝え、ロシア側のプロパガンダを拡散するねらいがあるものと見られます。

こうした中、ロシアのプーチン大統領は26日、イタリアのドラギ首相と電話会談を行い、ロシア大統領府によりますと、ウクライナ南部に面した黒海とアゾフ海の港で、民間の船が出られるように「海の人道回廊を毎日開放する」と伝えたということです。

さらに、世界的な食糧危機の問題について「西側諸国の政治的な動機による規制が解除されれば、穀物と肥料の輸出によって食糧危機への対処に大きく貢献する用意がある」と述べたということで、解決のためには欧米による厳しい制裁の解除が必要だと主張しました。