吉川元農相に猶予付き懲役2年6か月 在任中の収賄事件 東京地裁

大臣在任中に広島県の大手鶏卵生産会社の元代表から合わせて500万円の賄賂を受け取った罪に問われ、無罪を主張していた、吉川貴盛 元農林水産大臣に、東京地方裁判所は、受け取った現金すべてについて賄賂だと認め、執行猶予の付いた懲役2年6か月の有罪判決を言い渡しました。

元農林水産大臣の吉川貴盛被告(71)は、大臣在任中だった令和元年までの2年間に広島県福山市の大手鶏卵生産会社「アキタフーズ」の元代表から、大臣室などで3回にわたって現金合わせて500万円の賄賂を受け取ったとして、収賄の罪に問われました。

裁判で吉川元大臣は、現金を受け取ったことは認めたうえで、賄賂ではないと無罪を主張していました。

26日の判決で、東京地方裁判所の向井香津子裁判長は「家畜の飼育環境に関する国際的な基準案に国として反対するなど、養鶏業者に有利な取り計らいをしてほしいとの趣旨を含む現金だろうと認識していた」と指摘し、受け取った500万円すべてを賄賂だと認定しました。

さらに、現金を受け取ったあと、元大臣がそれについて検討する会議の開催を職員に指示し、便宜を図ったことも認めました。

そのうえで「養鶏業界に強い影響力を持つ元代表から多額の現金を繰り返し受け取ったことは、大臣の職務や農林水産行政の公正さを害する危険性が高く、非常に悪質だ。業界側から繰り返し陳情を受ける中で安易に収賄行為に及び、受け取った現金をすべて使った。高い倫理性などが求められる大臣としての自覚が欠けていたというほかない」として、懲役2年6か月、執行猶予4年、追徴金500万円の有罪を言い渡しました。

吉川元大臣 弁護士通じコメント「誠に残念」

判決について吉川貴盛元大臣は、弁護士を通じてコメントを出しました。

「私の主張が受け入れられなかったことは誠に残念です。判決内容を精査し、弁護士とも協議のうえで適切に対応したいと考えています」としています。

岸田首相「政治不信招いたことは重く受け止める必要」

岸田総理大臣は、衆議院予算委員会で「個別の裁判所の判断について、私の立場から政府としてコメントすることは控えなければならないが、本件で国民の政治不信を招いたことは重く受け止める必要がある。政治家は、その責任を自覚し、国民に疑念を持たれないよう襟を正し、緊張感をもって仕事に取り組むことが重要だ」と述べました。

松野官房長官「政治家は常に責任自覚を」

松野官房長官は、午前の記者会見で「個別事件の裁判所の判断について、政府としてコメントは差し控える。一般論として言えば、政治家は常にその責任を自覚し、国民に疑念を持たれないよう、常に襟を正していかなければならない」と述べました。

立民 泉代表「政治家として極めて不適切 断罪されるべき行為」

立憲民主党の泉代表は、記者団に対し「業者から収支報告書に記載のない資金を受け取って許認可に関わるという賄賂性の高い授受を行っていたのは、政治家として極めて不適切で、断罪されるべき行為だ」と述べました。

公明 北側副代表「国会議員が身を正していかなければならない」

公明党の北側副代表は、記者会見で「極めて遺憾であり、二度とこのようなことがないようにしなければならない。わが党も含めて、国会議員が身を正していかなければならない」と述べました。

維新 遠藤国対委員長「閣僚や政治家 より一層襟を正すべき」

日本維新の会の遠藤国会対策委員長は、記者団に対し「吉川元大臣が国民に疑念を持たれることは、役所への疑念にもなり、行政全体に対する信頼度が低下してしまう。閣僚や政治家は、より一層襟を正すべきだ」と述べました。

共産 志位委員長「自民党の政治責任が問われる」

共産党の志位委員長は記者会見で「自民党の政治責任が問われる。この問題は司法任せにせず、自民党がみずから、究明責任、説明責任を果たすことがどうしても必要だ」と述べました。

自民 北海道連会長「誠に遺憾であり厳粛に受け止めている」

自民党北海道連の伊東良孝会長は「かつて、わが党に所属した元国会議員をめぐり、このような事態に至ったことは誠に遺憾であり、厳粛に受け止めている。国民の皆さまには改めておわび申し上げたい。しっかりと襟を正し、政治の信頼回復のために全力で取り組んでいきたい」というコメントを出しました。