厚労省 専門家会合「10歳未満の感染者が顕著に増加」

新型コロナウイルス対策について助言する、厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の感染者数は一部の地域を除いて減少傾向が続いている一方、多くの地域で10歳未満の感染者が顕著に増加しているほか、夜間の人出の増加傾向が見られるとして、引き続き基本的な感染対策や体調管理を徹底するよう呼びかけました。

専門家会合は、現在の感染状況について、大型連休の後半以降に見られた全国的な増加傾向は続かず、首都圏などでは去年夏の第5波のピークを下回っている一方、特に沖縄県では去年の年末からのピークを上回り、感染者数が全国で最も多い状況が続いていて注意が必要だとしています。

年代別に見ると、10歳未満の感染者が多くの地域で顕著な増加となっていて、感染場所のうち、学校や保育所、幼稚園が占める割合が高止まりの状態となっているとしています。

また、夜間の繁華街の人出については、全国の半数以上の地域で増加傾向が見られ、中には去年の年末のピーク時に迫るほど増加する地域もあり、今後の感染状況への影響に注意が必要だと指摘しました。

一方で、医療体制については全国では半分近くの地域で、病床使用率の減少傾向が見られ、これまで悪化が続いていた沖縄県でも、入院者数や病床使用率が減少に転じましたが、重症病床の使用率は2割台のままで横ばいだとしています。

こうした感染や医療体制の状況を踏まえたうえで、専門家会合は感染の再拡大も懸念されるため、ワクチンの3回目の接種をさらに進めるとともに、少しでも体調が悪ければ外出を控えること、不織布マスクの正しい着用、手洗い、1つの密でも避けるといった基本的な感染対策を徹底することなどを呼びかけました。

ただ、マスクの着用については、屋外で周りの人との距離が確保できる場合や、距離がとれなくても会話が少ない場合は必ずしも必要ないとしていて、小学校入学前の子どもにはマスクの着用を一律に求めないことを幅広く周知することが必要だと指摘しました。

1週間の新規感染者数 前の週の0.91倍

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、24日までの1週間の新規感染者数は全国では前の週と比べて0.91倍と減少しています。

首都圏の1都3県では
▽東京都で0.92倍
▽神奈川県で0.91倍
▽埼玉県で0.82倍
▽千葉県で0.90倍

関西では
▽大阪府で0.92倍
▽兵庫県で0.91倍
▽京都府で0.99倍
▽東海では愛知県で0.95倍
▽岐阜県で0.99倍
▽三重県で0.98倍と各地で横ばいから減少となっています。

また
▽北海道は0.81倍
▽宮城県は1.00倍
▽広島県は0.91倍
▽福岡県は0.95倍
人口当たりの感染者数が最も多い
▽沖縄県は0.91倍などとなっています。

前の週より新規感染者数が多くなったのは5つの県で
▽徳島県は1.09倍
▽熊本県は1.03倍
▽長野県と滋賀県と愛媛県が1.02倍となっています。

人口10万当たりの直近1週間の感染者数は
▽前の週からは減少したものの、沖縄県が突出して多く931.32人となっています。

次いで
▽宮崎県が297.69人
▽北海道が290.61人
▽石川県が288.74人
▽広島県が279.67人
▽鹿児島県が275.52人
そして
▽大阪府が219.20人
▽東京都が172.11人などとなっていて
▽全国では187.80人となっています。

脇田座長 変異ウイルス「しっかり監視していく必要がある」

厚生労働省の専門家会合のあとに開かれた記者会見で、脇田隆字座長は感染の拡大が懸念されるオミクロン株の「BA.4」や「BA.5」などの変異ウイルスについて「海外のいくつかの国では、オミクロン株の中でもこうしたウイルスの割合が増えてきていることが報告されている。今後、水際の対策が緩和されると新たな流入リスクがあるという議論もあった。これまでのオミクロン株よりも増殖力が高い可能性が示唆されているので、しっかり監視していく必要がある」と話していました。

マスクの着用については「まだ、どういった場面でマスクを外してよいかといったことが十分に周知されていなかったり、なかなか実行できなかったりということがあるかもしれない。分かりやすく理解を促していくことが大事だと思う。屋外でも屋内でもリスクに応じてマスクを外せる場面があることをしっかり理解してもらうことが大事だ」と話していました。

また、ワクチンの4回目接種については「4回目接種の目的は主に重症化予防なので、接種の対象者は60歳以上や重症化リスクのある人となっている。対象となっている人たちは積極的に接種することが重要だ。4回目接種の対象者を広げていくかについてはまだ、十分に科学的なデータがそろっていないので、今後、情報を収集し、しっかり議論して検討を続けていきたい」と話していました。

後藤厚労相 4回目接種「自治体と密接に連携」

後藤厚生労働大臣は、新型コロナワクチンの4回目の接種について「きょうから開始できるようになったが、円滑に実施できるよう、引き続き自治体と密接に連携しながら取り組んでいきたい」と述べました。

また医療提供体制については「先月28日に協力医療機関を事前に確保できた高齢者施設などは全施設の65%と報告したが、取り組みを徹底した結果、24日時点で94%で、体制の構築を確認できた」と報告しました。

そのうえで「国民の皆様には、日常を取り戻していく状況の中でも、先に示したマスク着用の考え方も踏まえ、改めてマスクの着用、手洗い、3密の回避や換気などの基本的感染防止策の徹底を心がけてほしい」と呼びかけました。