ロシア軍 ウクライナ側拠点に攻勢強めるも戦闘長期化の見通し

ロシア軍は、ウクライナ東部2州全域の掌握に向け、ウクライナ側の拠点の1つ、セベロドネツクへの攻勢を強めていますが、ウクライナ軍による反撃で戦闘は長期化する見通しです。またイギリス国防省は、軍事侵攻から3か月を前にロシア軍の死者数はおよそ1万5000人に上るという分析を示し、ロシア側の厳しい現状が浮き彫りとなっています。

ロシア国防省は23日、ウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州の指揮所や弾薬庫、対空ミサイルシステムなどを攻撃し、破壊したと発表しました。

また、北西部ジトーミル州の鉄道の駅周辺を巡航ミサイルで攻撃して、東部のウクライナ軍の前線に移送されようとしていた兵器を破壊したと主張しています。

ロシア軍は今月20日、東部ドネツク州の要衝マリウポリを完全に掌握したと発表したあと、ドネツク州とルハンシク州の全域の掌握をねらって攻勢を強めています。

中でも激しい攻防が続いているのが、ルハンシク州の都市でウクライナ側の拠点の1つセベロドネツクです。

ウクライナの公共放送は21日、このセベロドネツクで、子どもを含む200人以上が避難していた学校がロシア軍の砲撃を受け、2人が死亡したと伝えています。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、セベロドネツクはルハンシク州におけるウクライナ側の最後の拠点で、ロシア軍が包囲しようとしていると分析しています。
ゼレンスキー大統領は、21日「われわれはセベロドネツクなどでロシアの進撃を阻止している。今後も勝利に向かって戦い続ける必要がある」と国民に抗戦を呼びかけ、ウクライナ軍による反撃で戦闘は長期化する見通しとなっています。

一方、イギリス国防省は23日に発表した分析で「ロシア軍は軍事作戦の最初の3か月間で、旧ソビエトがアフガニスタンに侵攻した9年間で経験したのと同様の死者数が出ている可能性が高い」と指摘しました。

1979年からのアフガニスタンへの軍事侵攻で、旧ソビエト側ではおよそ1万5000人の死者が出たとされ、今回の軍事侵攻によるロシア側の厳しい現状が浮き彫りとなっています。

そのうえで、要因として戦術の貧弱さ、航空戦力が限定的であること、柔軟性の欠如、そして失敗とミスを繰り返す指揮などをあげ、ロシア軍の損害がさらに増え続ければ、ロシア国内で軍事侵攻に対する市民の不満が強まり、それを表明する社会の機運が高まるかもしれないと分析しています。