ウクライナ侵攻 戦闘長期化でアフリカは深刻な食糧危機の懸念

ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始してから24日で3か月となります。
戦闘の長期化が見込まれる中、世界の食料安全保障にも影響が広がり、特にアフリカでは、深刻な食糧危機を懸念する声が強まっています。

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアは、東部の要衝マリウポリを完全に掌握したと発表したあと、東部のドネツク州とルハンシク州の全域の掌握をねらって攻勢を強めています。

ロシア国防省は22日、2つの州にあるウクライナ軍の指揮所や弾薬庫をミサイルで破壊したと発表したほか、ルハンシク州セベロドネツクの西方では、司令部などを攻撃して200人以上を殺害したと主張しました。

ウクライナの公共放送は21日に公開した動画で、東部の被害の様子を伝え、このうち、セベロドネツクでは子どもを含む200人以上が避難していた学校がロシア軍の砲撃を受け、2人が死亡したということです。

セベロドネツクをめぐっては、イギリス国防省が22日、「ロシアにとって戦術的な優先地域の1つだ」としたほか、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も、「ルハンシク州におけるウクライナ側の最後の拠点」だとして、ロシア軍が包囲に動くとみられると分析しています。

こうした中、ウクライナの議会の「最高会議」は22日、ロシア軍の侵攻直後に出された戒厳令と総動員令を、今月25日からさらに90日間延長する大統領令を承認しました。

ゼレンスキー大統領は、これに先立つ21日、「われわれはセベロドネツクなどでロシアの進撃を阻止している。今後も勝利に向かって戦い続ける必要がある」と国民に呼びかけ、長期戦に備える構えを示しています。
ウクライナは、小麦やトウモロコシといった穀物の、世界有数の輸出国で、戦闘の長期化が見込まれるなか、世界の食料安全保障にも影響が広がっています。

AU=アフリカ連合の議長国、セネガルのサル大統領は22日、「平和を望み、停戦と対話に向けて動く。これはアフリカ全体の立場だ」と述べ、今後ロシアとウクライナを訪れ、停戦を呼びかける考えを示しました。

ウクライナ情勢の悪化に伴い、アフリカでは穀物や燃料の価格が高騰していることから、深刻な食糧危機への懸念を両国に訴えるねらいがあるとみられます。