大相撲夏場所 横綱 照ノ富士が7回目の優勝 12勝3敗

大相撲夏場所は千秋楽の22日、横綱 照ノ富士が12勝3敗の成績で優勝しました。今場所、休場明けだった照ノ富士の優勝は3場所ぶり7回目です。

夏場所の優勝争いは14日目を終えて、横綱 照ノ富士と平幕の隆の勝が3敗で並んでいました。

千秋楽の22日、先に取組があった隆の勝が平幕の佐田の海に敗れて4敗となり、結びの一番で、照ノ富士が大関 御嶽海に寄り切りで勝ちました。

この結果、照ノ富士が12勝3敗で3場所ぶり7回目の優勝を果たしました。

先場所、右のかかとと左ひざのけがで途中休場した照ノ富士は、今場所は初日から敗れるなど前半戦は押し相撲の力士に苦しみ8日目までに3敗を喫しました。

しかし後半戦は次第に調子を上げて、突き押しが得意な相手にも危なげない相撲を見せるなど安定感を取り戻し、9日目からは7連勝で優勝を果たしました。

照ノ富士はモンゴル出身の力士の優勝回数としては元横綱・鶴竜の6回を抜き、白鵬、朝青龍、日馬富士に次いで4番目となりました。横綱が休場明けの場所で優勝するのは、去年7月の名古屋場所で白鵬が優勝した時以来です。

休場明けの場所で8日目までに3敗も後半戦は修正

横綱 照ノ富士は休場明けの今場所、押し相撲に苦しみながら立ち合いの修正に努めて後半戦は安定した相撲を見せました。

照ノ富士は先場所、右足のかかとと左ひざのけがで、横綱に昇進してから初めて休場しました。

休場明けとなった今場所の初日の相手は小結 大栄翔。
通算の対戦成績では勝ち越しているものの、去年の秋場所で敗れて以来、苦戦が続き、先場所も金星を許していました。
この日も、立ち合いから勢いよく前に出る大栄翔に対し、照ノ富士は土俵際でふんばりきれず押し出されて敗れました。
元横綱・白鵬の間垣親方が「ふだんはすり足で下がるが、歩いてしまった」と指摘するなど、ひざなどの状態に不安を感じさせる内容でした。

6日目にはここ2場所続けて金星を許しているベテラン玉鷲の強烈な突きにこの日もふんばりきれずに、敗れました。

さらに8日目は好調の平幕 隆の勝に立ち合い鋭く攻め込まれ、3敗目を喫しました。押し相撲の相手にいいところなく敗れ、8日目までに3敗を喫し、後半戦に向けて大きな不安を残しましたが、ここから立ち直ります。

11日目の関脇 阿炎戦は突き押し相撲の相手に下がることなく、逆に引いた相手に対して一気に前に出て押し出し。

13日目、大関 貴景勝の強烈な突きや変化に動じずに、退けました。

場所中「立ち合いの感覚がしっくり来ないのが気になる」と口にしていた横綱は、貴景勝との取組のあとには「徐々に感覚を取り戻している」と立ち合いの修正に手応えをつかんでいました。
ケガを抱えて苦しみながらも場所中、課題を修正した横綱がことしに入って初めての優勝を果たしました。

「お客さんがいっぱいいてその前でやるのは気持ちも燃えた」

照ノ富士は「やっと終わったなという感じだ。ちょっといつもより長く感じたが、15日間全部取りきるつもりで臨んでいた。結果はどうであれと思っていたが、結果的によかった」と話しました。

今場所は休場明けの場所だったことについて「場所前に焦りもあり、焦りで飛ばしすぎたかなと思う。場所の途中からよくなってきた。横綱になった以上は成績は残さなければいけないと自分の中でずっと考えてやっている。先場所の悔しい思いを今場所にぶつけていこうとやっていた」と振り返りました。

また今場所は会場の国技館の入場者数の上限が緩和され、多くファンの前で相撲が出来たことについて「少ないお客さんの中でも、テレビの前で見ていると思ってやっていたが、お客さんがいっぱいいて、その前でやるのは気持ちも燃えた」と述べたうえで「来場所からも頑張っていきたい」と意気込んでいました。

八角理事長「さすが横綱」大関陣には「一から出直して」

日本相撲協会の八角理事長は、優勝した照ノ富士について「今場所は本調子ではなく横綱に昇進してから一番苦しかったと思うが、さすが横綱という姿を見せてくれた。体調が万全ではなく大関陣が不振のなか、よく精神的に頑張った。これまでで一番大変な優勝だったのではないか、それだけに価値がある」と評価しました。

また、千秋楽まで優勝争いを盛り上げた平幕 隆の勝については「終盤は体が動いていなかった。優勝争いのなかで相当のプレッシャーがあったと思う。こういうところを経験して精神的に強くなると思うが、優勝というのはそれだけプレッシャーがかかる」と話していました。

一方、優勝争いに加われず、2人が負け越した大関陣については「一から出直してほしい。けがをしているのであればしっかりと治して相撲だけに集中してほしい。大関という地位に責任を感じてもらいたい」と指摘しました。

伊勢ヶ濱審判部長「価値のある優勝」

日本相撲協会の伊勢ヶ濱審判部長は弟子である横綱 照ノ富士について「休場明けの場所は横綱になってから初めての体験だったので本人もだいぶ集中できたのではないか。けがの影響でいまも稽古は思い切りできずやれることをやっているだけ。そのなかでも変に気負わずにいつも通り一番一番取るという感じで相撲を取っていたのでは」と話していました。

そのうえで「もともと責任があるから体調が万全でなくても出場している。そのなかでの価値のある優勝だった。本人にとってもそうだと思う」と評価していました。

一方で、2人が負け越した大関陣については「本人たちが恥ずかしいのではないか。自分の相撲をもう1度、見つめ直してしっかり稽古に励んでから出てきてほしい」と述べました。

三賞 殊勲賞に隆の勝と大栄翔 敢闘賞に佐田の海

三賞選考委員会は千秋楽の22日、東京 両国の国技館で開かれ、殊勲賞には平幕の隆の勝と小結の大栄翔が選ばれました。

隆の勝は今場所、持ち味の押し相撲が好調で8日目に横綱・照ノ富士を破るなど11勝4敗の成績で最後まで優勝争いに絡みました。
また大栄翔は初日に照ノ富士に勝ち優勝争いにも絡むなど、今場所11勝4敗の成績でした。
殊勲賞は隆の勝は初めて、大栄翔は去年の秋場所以来5回目です。

また敢闘賞には平幕の佐田の海が選ばれました。35歳の佐田の海は今場所、得意の右四つからの投げや寄りの相撲で白星を重ねて優勝争いに加わり、千秋楽の取組では隆の勝を破って11勝4敗の成績でした。佐田の海の敢闘賞受賞は新入幕だった平成26年夏場所以来、2回目です。

技能賞は該当者がいませんでした。

十両は25歳の錦富士(青森県出身)が初優勝

十両は、錦富士が優勝決定戦を制して、初めての十両優勝を果たしました。

夏場所の十両は14日目まで4敗で3人が並んでいました。

千秋楽で、追手風部屋の大奄美と、伊勢ヶ濱部屋の錦富士の2人が勝って優勝決定戦が行われ、錦富士が大奄美に勝って、初めての十両優勝を果たしました。

錦富士は青森県十和田市出身の25歳。

平成28年の秋場所で初土俵を踏み、ひじのけがに苦しんだ時期はありましたが、おととしの秋場所で十両に昇進しました。

その後、一度幕下に番付を下げましたが、去年の春場所で再び十両に上がり、今場所は十両6枚目で臨んでいました。

錦富士は「うれしいなというのと、やっと終わったなという思いだ。緊張もなく思い切って行けた」と振り返りました。

同じ部屋の横綱・照ノ富士からは場所中の朝稽古での話を明かし「自分が序盤から調子がいいことを知って『一緒に優勝しよう』と声をかけてもらった」と述べました。

そして「ちょっとずつ形になってきている。一日一番にかける思いを忘れずに、来場所もしっかり取りたい」と意気込みました。

序ノ口は22歳の風賢央(愛媛県出身)

序ノ口は愛媛県出身の風賢央が千秋楽の優勝決定戦を制して優勝を果たしました。

夏場所の序ノ口は出羽海部屋の山藤と荒汐部屋の丹治、時津風部屋の有瀬、押尾川部屋の風賢央の4人が6勝1敗で並び、千秋楽の22日、トーナメント方式による優勝決定戦が行われました。

決定戦では最初に風賢央が丹治に押し倒しで勝ち、次に山藤が有瀬に足取りで勝ちました。

そして、風賢央が山藤に突き落としで勝ち優勝を果たしました。

風賢央は愛媛県西予市の22歳。

中央大からことし2月に新設された押尾川部屋に入門しました。

東の序ノ口22枚目で臨んだ今場所、身長1メートル83センチ、体重147キロの体格を生かした力強い押し相撲を中心に白星を重ねました。

風賢央は13日目に山藤に負けていて「『意地でも勝たないと』と思っていたので、勝ててよかった」と話しました。

そのうえで今後について「同級生には三段目、幕下、関取がいる。一番一番勝って確実に番付を上げないと、同級生には追いつかない。来場所も目の前の一番に集中し、また優勝できるように頑張りたい」と意気込んでいました。

序二段は18歳の琴手計(千葉県出身)

序二段は、千秋楽の22日に優勝決定戦が行われ、琴手計が優勝しました。

夏場所の序二段は7戦全勝で並んでいた佐渡ヶ嶽部屋の琴手計と二所ノ関部屋の花房が優勝決定戦で対戦しました。

この一番で琴手計が花房に勝って、優勝を果たしました。

琴手計は千葉県柏市出身の18歳。

高校相撲の強豪、埼玉栄高校から兄で幕内力士の琴勝峰が所属する佐渡ヶ嶽部屋に入門しました。

ことしの初場所で初土俵を踏み、先場所は序ノ口で全勝優勝を果たしました。

今場所は東の序二段21枚目で臨んで持ち味の四つの相撲で白星を重ねました。

琴手計は「先場所は緊張していたが、今場所は気持ちを楽に取れたのでよかった。土俵際残せたのは、勝利への執念が強かったのかなと思うし、大事にしていきたい」と振り返りました。

琴手計は今場所優勝争いに加わった幕内の隆の勝と同じ出身地で、「出身が同じということで、相撲を見て勇気をもらったり、こういう姿になりたいと思った」と話していました。

そして今後に向けて「これから番付を上げていくと体が大きい人が増える。がっぷり四つだけでは勝てないので、中に入る相撲で勝っていきたい」と意気込みました。