米大統領きょう訪日 首脳会談で中国対応など緊密連携確認へ

岸田総理大臣は、22日から日本を訪れるアメリカのバイデン大統領と、23日に日米首脳会談に臨みます。両首脳は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻や中国の覇権主義的行動など、国際情勢に対する厳しい認識を共有し、緊密な連携を確認する見通しです。

今月20日から韓国を訪れているアメリカのバイデン大統領は22日午後、ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領と首都ソウル近郊のオサン空軍基地にある司令部を視察し、韓国での一連の日程を終えます。そして22日夕方には東京のアメリカ軍横田基地に到着し、大統領就任後初めて日本を訪れます。

岸田総理大臣は23日に日米首脳会談に臨むほか、24日には日米両国にオーストラリアとインドを加えた4か国の枠組み、クアッドの首脳会合を行います。

日米首脳会談で両首脳は、ウクライナ情勢をめぐって意見を交わし、引き続きG7=主要7か国で結束し、ロシアに対する厳しい制裁とウクライナへの支援を継続するとともに、アジアやアフリカ諸国に連携を働きかけていく方針を確認する見通しです。

また、東シナ海などへの進出や各国への経済的威圧を強める中国を念頭に、世界のいかなる地域でも力による一方的な現状変更は認められないという認識を共有し日米両国で抑止力と対処力を強化する方針で一致するものとみられます。

そして岸田総理大臣は、弾道ミサイルに対処するための「反撃能力」の保有や防衛費の増額を求める自民党の提言も念頭に、防衛力を抜本的に強化する考えを伝えるほか、アメリカの核戦力と通常戦力の抑止力によって日本を守る「拡大抑止」の強化をめぐっても意見を交わしたい考えです。

また核・ミサイル技術の開発を強化する北朝鮮への対応をめぐって、日米両国や、韓国を加えた3か国で緊密に連携していく方針を確認するとともに、さらなる挑発行動の可能性について最新の情勢を踏まえ協議が行われる見通しです。

一方でバイデン大統領は、日本滞在中に中国への対抗を念頭においたIPEF=インド太平洋経済枠組みの立ち上げに向けた協議の開始を表明する見通しで、岸田総理大臣は参加の意向を伝える方向で調整を進めています。

都内では警察官が都内の関係先や駅などで厳重警戒

警視庁は、ウクライナ情勢で国際的な緊張が高まっていることからアメリカ大統領の来日時としては最大規模となる、1万8000人の警察官を動員し警戒にあたっています。

このうち23日に日米首脳会談が行われる東京 港区の迎賓館の周辺では、機動隊の車両などが次々に配置につき、制服姿の警察官が不審物がないか周辺を見回っていました。

また、アメリカ大使館の前では可動式のバリケードを設けて車両の検問が行われ、警察官が通りかかった車を1台ずつ止めて行き先などを確認していました。

警視庁は大勢の人が集まるターミナル駅や空港などのいわゆる「ソフトターゲット」と呼ばれる場所でも警戒を強化し、爆発物を探知する警備犬によるパトロールなども行います。

また、バイデン大統領の滞在中は一部で首都高速道路や一般道路の通行が規制されることになっています。

半導体 部品の安定的確保や研究開発で協力する方針

今回の首脳会談では、あらゆる電子製品の製造に欠かすことのできない半導体について、部品の安定的な確保や研究開発で協力していく方針です。

半導体をめぐっては各国がしれつな開発競争に繰り広げる一方で新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ情勢をうけていかに安定的に供給できる体制を構築するかが課題になっています。

このため日本政府は有事の際にアメリカや同志国と連携して、国内で半導体を供給できる体制づくりを構築していく方針です。

また日米両政府で最先端の半導体の共同研究にむけた作業部会を立ち上げ、量子コンピューターや人工知能=AIの実用化に必要な次世代の半導体の研究開発で協力していく方針です。

今月上旬には萩生田経済産業大臣がアメリカ東部ニューヨーク州にある半導体の研究施設を視察し、次世代の半導体技術の研究開発やサプライチェーンの協力などでアメリカと連携を進めていく方針で合意しています。

エネルギー安全保障をめぐり議論交わされる見通し

今回の首脳会談ではエネルギー安全保障をめぐっても議論が交わされる見通しです。

G7=主要7か国などはウクライナ情勢をうけてロシア産の天然ガスへの依存度を減らそうという動きを進めていますが各国がそろってロシア産にかわる調達先を確保しようとすることで天然ガスの需給ひっ迫が懸念されています。

こうした中、日米両政府は需給ひっ迫の緩和に向けてアメリカ産のLNG=液化天然ガスが重要な役割を果たすとして増産や安定的な調達に向けた協議を行う見通しです。

また、脱炭素社会の実現に向けて▽二酸化炭素を燃料として再利用したり、地中に封じ込めて貯留したりするCCUSと呼ばれる技術や、▽再生可能エネルギー普及の切り札とされる洋上風力発電、▽それに原子力など、幅広い分野での技術開発に共同で取り組んでいくことを目指して意見を交わす見通しです。

日本も参加の月探査「アルテミス計画」

「アルテミス計画」はアメリカが中心となって行う国際的な月探査計画で、日本とヨーロッパ、それにカナダが参加しています。

計画では、月を周回する新たな宇宙ステーション、「ゲートウェイ」を建設するほか、2025年以降を目標にアポロ計画以来となる人類の月面着陸が計画されています。

日本はこの計画の中で無人の宇宙輸送船を開発して「ゲートウェイ」への物資を補給するほか、人を乗せて月面を移動する探査車を開発するなどして貢献することになっています。

そして、日本として、2020年代後半に日本人宇宙飛行士が月面に降り立つことを目指すと表明しています。

また「衛星コンステレーション」は、多数の小型衛星を打ち上げて互いに連携させることで、大規模な災害の状況把握を迅速に行うほか、将来の新しい通信手段に利用することも目的としていて、アメリカで検討が進められているほか、日本でも今後の態勢の整備などが検討されています。