G7財務相・中央銀行総裁会議 ウクライナに198億ドル支援で合意

ドイツで開かれたG7=主要7か国の財務相・中央銀行総裁会議で、ロシアからの軍事侵攻を受けるウクライナに対し、ことし中に合わせて198億ドル、日本円でおよそ2兆5000億円の財政支援を行うことで合意しました。

ドイツ西部のボン近郊で開かれたG7の財務相・中央銀行総裁会議は日本時間の20日夜閉幕し、2日間の討議の成果をまとめた声明を発表しました。

この中で、ロシアからの軍事侵攻を受けるウクライナの市民生活を支えるため、ことし中に合わせて198億ドル、日本円でおよそ2兆5000億円の財政支援を行うことで合意したとしています。

また、ロシアに対する経済制裁については、ロシアを世界経済から孤立させることで戦争の代償を高めるとし、経済制裁や金融制裁を続ける姿勢を強調しています。

さらに、ロシアの軍事侵攻によってエネルギーや食糧の価格が高騰し、各国で記録的なインフレになっているとしたうえで、各国の中央銀行は物価の上昇が人々のインフレに対する見通しに与える影響を注意深く監視するとしています。

また、為替相場の過度な変動は経済に悪影響を与えるという認識を改めて確認したとしています。

鈴木財務相「対岸の火として見過ごすことできない」

鈴木財務大臣は、ドイツのボン近郊で行われたG7=主要7か国の財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後に行われた記者会見で、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「対岸の火として見過ごすことはできない」として、G7各国と連携して制裁を強化していくことの意義を強調しました。

この中で鈴木大臣は「ロシアの行為は力による現状の一方的な変更であり、領土と国土の一体性を損なうものだ。しかも、その過程で女性や子どもを含む、罪のない市民を虐殺しており、絶対に許すことができず、外交的な圧力をかけて、これをやめさせるのは当然だ。ウクライナは日本から見れば距離は遠いわけだが、決して対岸の火という意識で見過ごすわけにはいかない」と述べ、G7各国と連携して制裁を強化することの意義を強調しました。

また、このところの円相場の動向について、鈴木大臣は「為替については今までのG7の合意事項に従って対処する。そして、対応にあたってはアメリカをはじめとするさまざまな国と連携しながら取り組みを進めるということだ」と述べ、引き続き各国と連携して市場の動向を注意して見ていく考えを示しました。

一方、日銀の黒田総裁は、先月の消費者物価指数の上昇率が目標としている2%を超えたことに関連して「従来から4月には携帯電話料金引き下げの効果がはく落することで、2%に達する見通しだったが、来年度・2023年度には1.1%程度に下がり、2%が続くことにはならない。われわれとしては、引き続き金融緩和を粘り強く続けることで経済を安定させ、賃金や物価の伸びが2%に向かっていくと期待している」と述べました。