天然痘に似た症状「サル痘」イギリス アメリカなど患者相次ぐ

イギリスやアメリカなどで天然痘に似た症状が出る「サル痘」の患者が相次いで報告され、各国の保健当局は感染経路の調査を急いでいます。

イギリスの保健当局は、今月18日までにサル痘の患者が合わせて9人確認されたと発表しました。

最初に確認された患者は西アフリカのナイジェリアへの旅行から帰ってきた人で、家族2人にも感染したとみられるということです。

一方、残る6人の患者の感染経路は明らかになっておらず、現在調査が行われています。

また、アメリカのCDC=疾病対策センターは18日、東部マサチューセッツ州でサル痘の患者が確認されたと発表しました。

患者は最近カナダへ旅行したことがあるということですが、どこで感染したかは調査中としています。

サル痘は、主にアフリカでみられるウイルス性の感染症ですが、CDCはイギリスのほかスペインやポルトガルといった通常サル痘の患者が報告されない国からも複数の患者が報告されているとして、感染の広がりを調査するとしています。

また、WHO=世界保健機関も各国の保健当局に対し患者を早期に発見したり、患者が見つかった場合に接触した人を迅速に追跡したりする態勢の強化を呼びかけています。

特徴的な発疹や発熱などの症状

「サル痘」は天然痘ウイルスに似た「サル痘ウイルス」に感染することで起き、国立感染症研究所によりますと、顔や体に特徴的な発疹が出るほか、発熱やのどの痛み、リンパ節が腫れるなどの症状が出ます。

過去にアフリカで感染が起きた際には、致死率は数%から10%程度に上ったと報告されています。

1958年に実験施設のカニクイザルで初めて報告されたあと、ヒトへの感染は1970年に今のコンゴ民主共和国で初めて確認され、その後、中央アフリカや西アフリカの熱帯雨林地域で散発的に感染が広がっているとしています。

また、2003年にはアフリカからペットとして輸入された小動物を通じてアメリカにウイルスが持ち込まれたあと、合わせて71人が感染しましたが亡くなった人はいなかったということです。

このウイルスは、ネズミやリスなど感染した動物にかまれたり、血液や体液、発疹に触れたりすることで感染することがあるほか、感染した人の発疹や体液に触れたり、飛まつを浴びたりすることで、ヒトからヒトに感染する可能性があるということです。

ただ、WHO=世界保健機関は、ヒトからヒトへの感染は密接な接触によるもので、比較的限られているとしています。

治療法はありませんが、1980年に根絶された天然痘に対するワクチンが、サル痘にも高い予防効果があるとされています。

サル痘に詳しい岡山理科大学の森川茂教授は「天然痘の根絶によって若い世代はワクチンを接種していないので、基礎疾患があり、免疫力が低い人は重症化するおそれがある。新型コロナウイルスのように飛まつ感染で広がりやすいウイルスではないので、世界中に一気に広がる可能性は低いと思うが、海外の感染が広がっている地域で、野生動物にむやみに触れるようなことは避けてほしい」と話しています。